トヨタは、初のFIA世界耐久選手権(WEC)フル参戦シーズンを締めくくるべく、今週末開催される第8戦バーレーン6時間レースへと挑む。 第7戦上海6時間レースに続き、トヨタは2台のTS030 HYBRIDをバーレーンに持ち込み、TS030 HYBRID #7はアレックス・ブルツ、ニコラス・ラピエールに中嶋一貴が加わった3名、今シーズン全戦参戦となるTS030 HYBRID #8は、アンソニー・デビッドソンとセバスチャン・ブエミ、ステファン・サラザンがドライブする。
4月の第1戦シルバーストン6時間レースに始まった2013年のWECシーズンは、4大陸の8カ国を巡り、60時間以上のレースを戦って来た。 今大会、バーレーンでのレースが今季のシーズン最終戦となり、2012年のデビュー以来4勝を含む10回の表彰台を獲得してきたTS030 HYBRIDにとっても最後の戦いの舞台となる(来年からの車両規定変更に伴い、トヨタのWEC参戦車両も変更となるため)。 TS030 HYBRIDは前戦、上海6時間レースで2位表彰台を獲得したが、この結果はレース後半に不運に見舞われるまでレースをリードしていただけに、望んでいたものではなかった。 トヨタは、上海での雪辱を果たすべく、首都マナマの南に位置する1周5.412kmのバーレーン・インターナショナル・サーキットへと向かう。 昨年のバーレーン戦はシーズン中旬に開催され、非常に暑いコンディションでの戦いとなったが、勝利を目指し力強いレースを戦っていたTS030 HYBRID #7は不運なアクシデントでレースを終えることとなってしまった。 バーレーンでのハイブリッド・ブレーキング・ゾーンは、前3戦よりも3ヶ所増えた7ヶ所に設定されるため、トヨタ・ハイブリッド・システム・レーシングがもたらす300馬力の回生パワーをうまく加速アシストに活用できることを、チームも期待している。 バーレーン6時間レースは28日(木)午後3時15分と午後7時半(日本時間午後9時15分と翌午前1時半)から90分ずつの公式練習で開始。29日(金)は午前10時25分(同午後4時25分)から1時間の公式練習3回目に続き、午後3時45分(同午後9時45分)から、LMPクラスの予選が行われる。6時間の決勝レースは30日(土)の午後3時(同午後9時)にスタートが切られ、日没後の闇に包まれたサーキットでフィニッシュを迎える。 木下美明 チーム代表: 4月にシーズンが開幕してから、随分経つようにも思うが、いろいろなことがあった。私にとって大事なことは、TS030HYBRIDも、チームのパフォーマンスも、シーズンを通じてずっと改良を示せたことだ。幾多の困難を克服して来たことを誇りに思うし、特に上海ではもう少しのところで勝てるところまで来ていたので、バーレーンでも好調のうちにシーズンを終われるよう期待している。昨年は、我々のハイブリッドシステムを非常に効果的に使えるサーキットとして、特にこのバーレーンでTS030 HYBRIDは強かったので、この週末の戦いが楽しみだ。 アレックス・ブルツ #7: バーレーンが今シーズン最後のレースだからと言って、熾烈なトップ争いが止むわけではない。皆、冬の間は大変な仕事をしなければならず、それを乗り切る励みにするためにも、良い成績でシーズンを終わりたいと思っている。ある意味、これがTS030 HYBRIDへの“さよなら”になると思うので、良い形でのお別れにしたいと思っている。いちばん良いのは予選の行われる金曜の夜にポールを獲ってパルクフェルメ(車両保管場)に入れてあげることだろう。 ニコラス・ラピエール #7:我々はバーレーンでやるべき仕事を終えていない。昨年は速さもあり、リードしていたが、ツキがなくてリタイアしたからだ。我々のTS030 HYBRIDは実にこのサーキットに向いていたし、大変な暑さの中で戦った。クルマにもドライバーにもタフなレースだったが、今年はいろいろと改善されているから、熱問題はそれほどでもないだろう。我々のドライバーラインナップは、一貴がまた#7に戻ってきてくれたので完璧だ。第6戦富士では我々全員で勝利を勝ちとったので、願わくばそれをここで再現したい。 中嶋一貴 #7:#7に戻ってアレックスやニコラスとまたいっしょに走るのが楽しみだ。第6戦富士では我々の誰もがレースラップを経験しておらず、私はル・マン以来、TS030 HYBRIDでの全開走行をしていないので土曜日のレースが待ち遠しい。前戦上海は日本のスーパーフォーミュラ出場のためにテレビで観戦しながらチームと気分を共有していたが、あの時と同じようにTS030 HYBRIDの戦闘力があることを期待している。 アンソニー・デビッドソン #8:いろいろな部分で、失望もあり、たくさんの名誉もあった、ジェットコースターのような1年だった。個人的には2013年のWECを本当に楽しんだし、その間にチームが輝きを増し発展していくのを見られた。開幕戦のシルバーストンから最終戦バーレーンまでは長い道のりだった。前戦上海は、勝てるところまで行っていたので大変悔しい思いをした。今回は、チーム全員の頑張りへのご褒美として、勝利を持ち帰りたい。 セバスチャン・ブエミ #8:バーレーンは、国もサーキットも好きなので、ここでのレースを楽しみにしている。願わくば上海と同様のレースペースを再び見せることで良い結果を残したい。11月は、ここでレースをするには理想的で、我々にとっては完璧な条件だと思う。レースは日中に始まり、夜にゴールするのが素敵だ。陽が落ちていくのに合わせてレースを戦うとは、シーズン最後のレースにふさわしい。 ステファン・サラザン #8:上手く行っていたのに、上海では勝てなかったのが我々皆、凄く残念だった。しかし、今は立ち直って、シーズン最後のレースに燃えている。今年、本当によく働いてくれたチームメンバー全員のためにも、バーレーンでは結果を出さねばならない。もちろん、シーズンが終わっても仕事は止まらないどころか、中には新型車開発のためにもっと忙しくなる人もいるけれど、忙しい冬の間、今年の勝利を振り返るのは誰にとっても楽しいことだ。
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