トヨタ・レーシングはFIA世界耐久選手権(WEC)第6戦バーレーン6時間レースで、チェッカーまで1時間あまり残したところでアクシデントに見舞われ、レースを終えることとなった。 2週間前のサンパウロで勝利を挙げたTS030 HYBRID #7は、アレックス・ブルツとニコラス・ラピエールのドライビングでスタートから2時間をリードしたが、その後勝利への可能性は遠ざかっていった。
WECのレギュレーションでは、車両の両サイドに描かれた車番がレースの間中、発光していなければならないが、TS030 HYBRID #7は両側とも発光パネルが故障し、チームは修復のために7分を失ってしまった。 しかし、その後チームは猛烈なスピードで漆黒の砂漠のサーキットを疾走、ファステストラップを記録しながら6位から3位へとポジションを上げた。 しかし、残り1時20分の時点でLMP1クラスを戦う他車と接触、サスペンションにダメージを負い、ニコラス・ラピエールはTS030 HYBRID #7をコース脇に止めてリタイアを余儀なくされた。 午後4時、強烈な日差しの下でローリングスタートが切られたとき、スタートドライバーのアレックス・ブルツは3番手グリッドから猛ダッシュを見せ、第1コーナーで2位に上がり、スタート後13分経過した時点でトップに立った。 気温36度を超える状況下では、タイヤの摩耗が勝敗を決める最大の要素となるが、同時にドライバーも最高の状態に保つ必要がある。このため、チームはレース序盤、タイヤ交換のピットインの度にドライバー交代も行った。 スタートからの2時間で、アレックス・ブルツとニコラス・ラピエールはリードを強固なものとしていたが、太陽が沈むと、車番パネルのトラブルにより6位へと順位を落としてしまった。 コースに戻ったニコラス・ラピエールは、ファステストラップを塗り替えながら追い上げを開始。アレックス・ブルツも続いて速さを見せ、レースをリードする2台のアウディとの差を詰めていった。しかし、コース上の混雑の中で起きた接触により、TS030 HYBRID #7はレースを終えることとなった。 トヨタ・レーシングの次なる挑戦は、10月14日(日)に富士スピードウェイで行われる富士6時間レース。このレースではアレックス・ブルツ、ニコラス・ラピエールに加えて、中嶋一貴がTS030 HYBRID #7のコクピットに戻ってくる。 アレックス・ブルツスピードは十分だった。今日は、スポーツカーによるレースがいかに難しいかを知ることになった。ブラジルでの勝利は順調で完璧なものだったが、今日はそれ以上に学ぶところがあった。プラクティスの努力はレースで報われ、スピードが十分であることが確認でき、自信となった。後は単なる不運に過ぎない。今は富士のレースに集中するだけだ。 ニコラス・ラピエールセーフティカーが退出し再スタートが切られたとき、僕は#21の後ろにいた。彼らはストレートで速かったので、抜き去るためにコーナーでイン側に飛び込んだのだが、そこで接触した。もし我々が順位を争っているとすれば僕のミスかも知れないが、彼は周回遅れだった。優勝こそ車番灯のトラブルで叶わないことは分かっていたが、表彰台は確実と思っていただけに、レースがこんな形で終わるのは残念で仕方がない。完走できなかったことは不満だが、レースのペースはアウディに比べても素晴らしいもので、戦闘力の高さは確認できた。次の富士スピードウェイのレースに向けて頑張るしかない。富士は重要なレースであり、好成績を残すべく全力でぶつかるつもりだ。 木下美明 (トヨタ・レーシング チーム代表)エキサイティングなレースだったが、勝てるポジションにいただけに、本当に残念だ。車番灯の問題でピットで時間を失うのはフラストレーションが溜まった。トラブルの原因は熱によるものだ。その後もスピードは十分にあり、表彰台は確実だと思われたが、ニコラス・ラピエールが遭遇した事故のダメージは相当酷く、彼はTS030 HYBRID #7を修理のためにピットまで持ち帰ることが出来なかった。このレースに勝利するチャンスは十分あったが、モータースポーツは時に残酷なもので、今日がその日だったと言うことだ。アウディは素晴らしい仕事をした。彼らには素直に祝福を送ろう。2週間後に富士スピードウェイで彼らと対決できることを楽しみにしており、我々は明日からその準備を始める。
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