トヨタは、2019年のル・マン24時間レースで7号車(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)が勝利を失ったトラブルの原因がタイヤ空気圧センダーの配線ミスだったことを明らかにした。ホセ・マリア・ロペスがドライバーを担当した残り1時間でタイヤにパンクが発生。本来は左リアタイヤにパンクが発生していたが、タイヤ空気圧センサーは右フロントタイヤの圧力が下がっていることを示していた。
当初、トヨタはセンサーの問題だと述べていたが、実際にはクルマの各タイヤに設置されたセンサーの配線が間違っており、ピットにその情報が伝えられたことが原因だった。トヨタのテクニカルディレクターを務めるパスカル・バセロンは「アンテナの接続が間違っていたことが原因だった」と Autosport にコメント。「間違った方法で配線されていた。センサーの問題ではなかった。すべてのミスと同じように深刻なミスだった」当時、7号車は2番手を走行していた中嶋一貴が運転する8号車に2分以上のリードを築いていた。パンクはラップの後半で発生したため、センダーが表示していた右フロントタイヤを交換したホセ・マリア・ロペスはリードを保ったままコースに復帰することができたが、実際にパンクしていたのは左リアタイヤだったため、システムは再び右フロントタイヤのパンクを表示し続けた。パスカル・バセロナは、トヨタはミシュランのエンジニアにクルマから外した右フロントタイヤの空力圧をチェックするよう依頼したが、正常だった。翌周に再びホセ・マリア・ロペスがピットインした際、チームは4本すべてのタイヤを交換したことで問題は収まった。だが、パンクした左リアタイヤ8.48マイルのサーキットでスロー走行を強いられたことで、1回目のピットアウト後の周回に6分近くかかり、ロペスは8号車の1分後ろでコースに復帰することになった。パスカル・バセロンは、1回目のピットストップで間違ったタイヤが交換されたことが明らかになった際のホセ・マリア・ロペスの冷静さを称賛した。「このようなことが起こった場合、通常、ドライバーは頭に血が上って速く走りすぎ、タイヤが剥離し、マシンの損傷を与えるといったことが起こる」「我々にはタイヤ空気圧の範囲にそった制限速度があり、ホセ・マリアはそれを完全に尊重した。チームとドライバーは大きなドラマに見舞われているなかで多くの成熟度を示してくれた」レース後、ホセ・マリア・ロペスは、2回目のピットストップまでの周回でクルマの中で泣いていたことを認めている。