トヨタは、トルコGPでも大幅なアップデートを予定している。それは、スペインGP用アップグレードの延長上にあるという。トヨタF1チームのシャシー部門シニアゼネラル・マネージャーのパスカル・バセロンがTF108のアップデートについて語った。トルコGPが間近に迫っていますが、イスタンブールサーキットはクルマに対しどういった負荷を強いるコースなのでしょう?「ブレーキやダウンフォースなど、様々な要素のほとんどに関してトルコは平均的なサーキットと言える。ただしトルコには特別なコーナーが一つある。それは長い左カーブのタ...
今年はトルコGPの開催時期が昨年までより早まっています。例年より気温が低くなりますが、これは何か影響があるでしょうか?「かなり暑かった昨年までと比べると確かに気温はやや低くなるだろう。とは言え、コース条件はバルセロナに似ているはずだと考えている。従ってそれほど大きな影響はないはずだ。違いがありそうなのは、タイヤ内部の温度とエンジンの冷却まわりの二つだろう。トルコで8月にレースが開催されていた時はこの要素が特に厳しかったからね」どんなレースになると予想していますか?「開幕からの4戦で我々のクルマは競争力が高く、トップ6に挑むことができた。スペインでは混乱が生じたせいでヤルノが6位を逃し残念だったが、再度あの位置で戦えたのは励みになった。従って、今週末の目標は当然ポイント圏内の上位でフィニッシュすることになる。願わくば2台そろってね。今シーズンここまでティモは潜在能力の高さを示してくれているが、その努力が結果に結びついていない。今回は彼に運が向いてくれることを期待している」トルコGPでは技術面で何か進化はあるのでしょうか?「今回はパッケージにかなり大幅なアップグレードを施す。これによりパフォーマンスが改善されるものと考えている。これは、バルセロナ用アップグレードと同じ開発線上にあるものだ。一連の改善は特にトルコGPを狙って計画されたものではなく、今回が投入できる一番早い機会になったということだ」いわゆる“新パッケージ”ではないのですね?「何をもって新パッケージとするのかはかなり曖昧だと思う。シーズン序盤の海外でのレースで大きなアップグレードを実施するのは難しい。ロジスティクスも問題だし、その時期にはテストができないという問題もあるからね。このため我々のアップグレードのほとんどはヨーロッパラウンドの緒戦となるバルセロナで投入される。バルセロナ用パッケージを投入した後も空力開発は休みなく続けられ、何か一つの改善、あるいはその組み合わせの効果が確認された段階で、出来る限り早期にクルマに採用する。基本パッケージに関連する空力開発は全て休みなく続けられている。我々はシーズン中に達成すべき目標を設定しているが、どんな改善であれ、それがしっかり機能すると分かればすぐにでも実戦投入している」新パッケージはいつ開発されるのですか?「通常とは異なる性格のレースに備える際は、特別なパッケージを用意している。例えばモナコとモンツァでは異なるパッケージを用意する。そういったコースでは要求されるダウンフォースの幅が正反対だからね。その場合、大きく異なる空力効率レベルに対応すべく、新しいフロントウィングとリアウィング、ボディワークなどが必要になる。パッケージの開発のため厳密に締め切りを設定するのは、クルマに特別な仕様が必要になるサーキットでレースが行われる時だけだ」個別に進行中の開発を一つにまとめた時にパッケージ全体のパフォーマンスがちゃんと向上するようにしておくため、どういった形で確認作業を行っているのでしょう?「開発中の各パーツがお互いにどう作用し合うのかを常に考えておかなければならない。絶え間なく進化していくクルマと空力開発プロセスの足並みを揃えておくには、まさにこれが基本条件の一つになる。1年中続く開発ではそういった相関関係を踏まえつつ全体の作業が進行していく」バルセロナで投入したアップグレードをどう評価していますか?「バルセロナに投入したアップグレードが一歩前進に繋がったのは間違いない。レースでのヤルノのパフォーマンスはかなり力強いものだったが、我々としてはもっと上の順位を予想していた。そこで我々は、このパッケージから最大限の力を引き出すべく、また開発作業に戻っている」