11月6日(土)に行われたバーレーン8時間レースで、トヨタがハイパーカー初年度ダブルタイトル獲得と全戦制覇という輝かしい記録を成し遂げ、2021年シーズンFIA世界耐久選手権(WEC)は幕を閉じた。しかし、チームは休む間もなく、今季最後の舞台となったバーレーン・インターナショナル・サーキットで、7日(日)に行われたルーキーテストに参加。このテストで、2人の将来有望なルーキーが初めてGR010 HYBRIDをドライブした。
世界ラリー選手権(WRC)7度の世界チャンピオンで、現在トヨタのラリーチームからWRCに参戦しているセバスチャン・オジエが、このルーキーテストに参加し、初めてGR010 HYBRIDのステアリングを握った。オジエはすぐにチームに溶け込み、計84周を走破。走行を重ねるごとにGR010 HYBRIDへの理解を深めていった。ラリーフィールドでオジエの駆るヤリスWRCとGR010 HYBRIDは、4輪駆動車という点では共通だが、この2つのチャンピオンカーには多くの違いがある。WECのハイパーカーは世界中のサーキットを走ることに特化して開発されており、非常に高いダウンフォースを生むシャシーに、700馬力のハイブリッド・パワートレーンが組み合わされている。セバスチャン・オジエは午前中の2時間のセッションで32周に渡ってドライブし、GR010 HYBRIDのハンドリング特性をつかむと、午後のセッションではさらに52周を走破。この午後の走行では20周にわたる連続走行もこなすなど、成長ぶりを見せた。今回のルーキーテストでは、前日のバーレーン8時間レースで、ラストレースとなった中嶋一貴、ブレンドン・ハートレーとGR010 HYBRID 8号車で勝利を挙げたばかりのセバスチャン・ブエミが共に8号車を駆り、オジエへのサポートとアドバイスを送った。また、今季のWEC LMP2クラスでチャンピオンとなった若き新星、シャルル・ミレッシがGR010 HYBRID 7号車をドライブし、午前中のセッションで31周を走破した。午後のセッションでは、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスと共にWEC世界チャンピオンとなったばかりのマイク・コンウェイが7号車のテストを引き継いだ。セバスチャン・オジエ:GR010 HYBRIDをドライブするのはとてもエキサイティングな体験で、本当に楽しむことができました。初めてのことがあまりにも多かったので、結果面でプレッシャーを感じることはありませんでした。コーナーリングスピードやブレーキング、コーナーでのクルマの挙動や特別なハイブリッド・システム等、多くのことを身体にたたき込む必要がありました。1周毎に、次の周回ではもっと良いタイムを、とトライするのは、常に違うコーナーに挑戦し続けるラリーとは、心構えが全く別物でした。耐久レースの世界を体験するという、特別な機会を与えてくれたTOYOTA GAZOO Racingに感謝しています。シャルル・ミレッシ:GR010 HYBRIDを初めてドライブできるというのは、私にとってとても特別なことです。耐久レースを戦うドライバーなら誰もが、このような車両をドライブすることを夢見るものです。最初のうちは、私が今季乗ってきたLMP2カーとは異なるブレーキングなどに慣れる必要がありましたが、チームが助けてくれたおかげで適応できるようになりました。高速コーナーでのグリップと、車両のパワーは初めて体験するレベルで、本当に驚きました。車両にはすぐに慣れましたし、今日の結果には満足しています。私にとってとても良い一日でしたし、GR010 HYBRIDのようなクルマに乗ると、もっと乗ってみたいと思うようになります。