8月18日(水)2021年シーズンFIA世界耐久選手権(WEC)第4戦、第89回ル・マン24時間レースの公式な走行セッションが開始され、レースウィークが幕を開けた。トヨタの新型ハイパーカー GR010 HYBRIDは、初日の予選でトップに立った。マイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスの3名がドライブするGR010 HYBRID 7号車は、小林のアタックで3分26秒279というハイパーカーによるサルト・サーキットでの最速タイムをマークした。
セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、ブレンドン・ハートレーのGR010 HYBRID 8号車はハートレーがアタックし3番手。2台のGR010 HYBRIDの間には、アルピーヌの36号車が割って入った。決勝レースのスターティンググリッドは、19日(木)に行われるハイパーポールで決定される。このハイパーポールには、今日の予選で各クラストップ6に入った車両が、現地時間午後9時から30分間のセッションでタイムを競う。トヨタは5年連続のポールポジションを目指し、このハイパーポールに出場することとなる。午後7時から1時間に渡って行われた予選では、小林とハートレーが新品タイヤと軽い燃料搭載量でセッション開始と同時にコースイン。7号車の小林はクリーンな周回でタイムアタックができ、トップタイムをマーク。一方で8号車のハートレーはコース上の混雑に阻まれながらも、その時点で7号車から1.392秒遅れの2番手につけた。予選アタックを順調に終えたことで、チームは決勝レースに向けた準備とタイヤの分析へと目的を切り替えた。規定により、この水曜日と木曜日のトータル11時間にわたる練習走行と予選の間、車両1台につき6セットのタイヤしか使用できないため、残りのセッションは使用済みのタイヤで走ることになる。このため、GR010 HYBRIDの直接のライバルとなるハイパーカークラスの他の車両は、残る予選セッションでトヨタのタイムを上回るべく、アタックを続けた。セッション中、フルコースイエローやスローゾーン制限などが発生し、アタックの機会は限られたものとなったが、セッション終盤にアルピーヌ36号車が2番手に浮上した。ル・マンのレースウィークで公式な走行開始となった18日(水)は、予選以外にも2回に渡る、合計5時間の練習走行セッションが設けられた。エンジニアとドライバーにとっては、去る15日(日)のテストデーのあと、様々なセットアップの変更を検証する貴重な機会となった。最初の3時間の練習走行は、開始早々に赤旗が掲示される波乱のスタートとなった。その後の2時間は比較的順調に走行が続けられたが、終盤にはLMP2車両とGT車両のアクシデントにより23分間に渡る赤旗中断となり、最後はフルコースイエローでセッションが終了した。2台のGR010 HYBRIDは、空力、及びメカニカルセットアップの比較及び、様々なタイヤコンパウンドの評価を行った。このセッションでは7号車のロペスが3分29秒309でトップタイム、8号車は中嶋が0.087秒差の3番手となった。8号車のブエミは、他のレース出場により15日(日)のテストデーを欠席したため、この日の公式練習1回目がGR010 HYBRIDでのサルト・サーキット初走行となったが、公式練習2回目の夜間走行ではセッショントップタイムをマークした。予選を終えた後、現地時間午後10時よりこの日2度目の練習走行が行われ、GR010 HYBRIDはル・マンでの初の夜間走行に挑んだ。ル・マンに出場する全てのドライバーは、これまでの経験にかかわらずこの夜間走行セッションで最低5周を走り切ることがレース出場のために義務づけられているが、全員問題なくこの条件をクリアした。小林可夢偉(GR010 HYBRID #7)いつでもトップタイムは嬉しいことですが、あくまでも予選ですし、まだハイパーポールもあるので、それほど重要視していたわけではありません。GR010 HYBRIDの感触は良く、全てがスムーズで、良いレースウィークのスタートが切れたと思います。24時間という長いレースですから、車両は快適でなくてはなりませんし、安定性も求められます。そのための作業を続けてきましたし、明日の木曜日もこの調子で頑張ります。マイク・コンウェイ(GR010 HYBRID #7)良い一日で、着実なレースウィークのスタートが切れました。今日の主な目的は決勝レースへ向けた準備でした。テストデーでの作業に続き、更なるテスト項目をこなし、とても上手く行きました。今日は涼しくなりましたが、GR010 HYBRIDはテストデーの時と変わらず、決勝レースへ向けて良い兆候だと思います。ホセ・マリア・ロペス(GR010 HYBRID #7)1年で最も重要なレースであるル・マンが、今日のセッションで公式に始まりました。チームは素晴らしい仕事をしてくれており、セッションが進むごとにクルマの感触は良くなっています。GR010 HYBRIDは本当に素晴らしいクルマです。もちろんポールポジション獲得は狙っていますが、最も重要なのは決勝レースだということは良く分かっています。中嶋一貴(GR010 HYBRID #8)レースウィーク最初の走行日となりましたが、テストデーと比べコースの路面温度が大きく変わりました。我々は様々なタイヤと、タイヤコンパウンドに合うセットアップを試すと同時に、制御システムについても色々とテストしました。進展はありましたが、明日へ向けてまだやるべきことは多いです。7号車と比べると少しスピードが足りない感じなので、ハイパーポールまでになんとかしたいと思っています。セバスチャン・ブエミ(GR010 HYBRID #8)テストデーに参加できなかったので、とにかく習熟と学習に費やしました。これまでここル・マンで走ってきた車両とは別物なので、自分を合わせる必要があり、スピードを取り戻すのに数周かかりました。GR010 HYBRIDの感触は予想以上に良く、コースコンディションもセッションが進むごとにグリップが増しています。残るセッションでの更なる進化を期待しています。ブレンドン・ハートレー(GR010 HYBRID #8)とても順調な一日でした。GR010 HYBRIDを再びドライブできて最高です。本当にこの車両はここル・マンで生まれたかのようで、実家に帰ってきたように感じます。テストデーと比べると、路面温度がとても低く、風向きも違ったので、全く異なるコンディションでした。そのおかげで、決勝レースで夜間走行に入るときの適切なタイヤ変更タイミングなど、様々なタイヤコンパウンドについて学ぶことができました。タイヤとセットアップの決定はテストプログラムの大きな要素ですが、全てが上手く行きました。