F1バーレーンGPでは、トロロッソ・ホンダが大きな飛躍を遂げる一方で、マクラーレンのマシン特性が改めて浮き彫りになった。開幕戦オーストラリアGPでトロロッソ・ホンダは、予選Q1敗退、決勝では最下位とMGU-H故障にリタイアという非常に厳しいスタートを切った。一方のマクラーレンはダブル入賞と『トロロッソ・ホンダ vs マクラーレン』の直接対決としては大きな差がつくことになった。
冬の間に信頼性に重点をおいてきたホンダだが、ピエール・ガスリーのMGU-HのトラブルはICEにもダメージが及ぶもので、2台とも年間3基というパワーユニットの使用上限に対して2戦目で2基目を投入しなければならないという厳しい事態ももたらした。そして、迎えた第2戦。舞台はストレートに低・中速コーナーが繋がるバーレン・インターナショナル・サーキット。ここでトロロッソ・ホンダとマクラーレンのマシン特性が浮かび上がった。トロロッソ・ホンダは、開幕戦での導入を見送った新しい空力パッケージを導入。また、ホンダもエネルギー回生の最適化を実施したことでパワー不足を補った。両ドライバーの経験のないメルボルンでは実施できなかったパッケージ全体の最適化を実施したことでマシンは優れたバランスを見せることになる。トロロッソの今季マシンは、基本的に昨年マシンの正常進化版。レッドブルの系譜を引き継ぐ低ドラッグの空力にテクニカルディレクターのジェームス・キーのスパイスが加わったサスペンションを始めとするメカニカル面が特徴的で、低速コーナーに強いマシン特性を持っている。一方のマクラーレンは、伝統的にドラッグが大きいマシン。主に高速コーナーを得意とするダウンフォースマシンだ。昨年、ストレートでのスピード不足を散々ホンダのF1パワーユニットのせいにしていたマクラーレンだが、ルノーのF1パワーユニットに切り替えた今年もストレートでのスピードが不足しており、原因がマクラーレンのシャシー側にあることが浮き彫りになった。その違いが予選に現れた。ピエール・ガスリーがQ3進出を果たして6番手、ブレンドン・ハートレーが11番手だったのに対し、マクラーレンはフェルナンド・アロンソが13番手、ストフェル・バンドーンが14番手とトロロッソ・ホンダに軍配が上がった。ピエール・ガスリーとフェルナンド・アロンソとの差は1.201秒の差がついた。予選でのスピードトラップでの最高速度はトロロッソ・ホンダが322.5km/hであるのに対し、マクラーレンは314.2km/hと10km/hの差がついた。スタートフィニッシュラインの通過速度でも同様の結果となっている。レースでも両マシンのメカニカル特性の違いが出た。ダウンフォース頼りのマクラーレンは低速コーナーでタイヤに厳しく、フェルナンド・アロンソはソフト-ミディアムの1ストップ戦略を成功できず、新品ミディアムを25周しかもたせることができず2ストップ戦略に切り替えている。一方、ピエール・ガスリーは第1スティントと第3スティントを中古のスーパーソフトで走行する2ストップ戦略でハースのケビン・マグヌッセンを抑えてみせた。しかし、レースペースでは、フェルナンド・アロンソが新品のスーパーソフトであるものの、1分34秒168のファステストラップを記録。トロロッソ・ホンダはブレンドン・ハートレーが1分34秒689、ピエール・ガスリーが1分34秒863と及ばなかった。マクラーレンのレースペースの良さ、そして、フェルナンド・アロンソの経験とスキルによる結果だ。開幕戦ではドライバーの経験の違いが大きな違いを生んだ。今後もその部分は変わらない。次戦F1中国GPが開催される上海インターナショナル・サーキットもストップ&ゴー型のレイアウト。そして、全長1.2kmほどの超ロングストレートを有する。バーレーンと異なり気温が低く、タイヤに厳しい。サーキットとの相性という点ではトロロッソ・ホンダに分がある。しかし、バーレーンで4位入賞を果たしたピエール・ガスリーは上海インターナショナル・サーキットは未経験。一方のブレンドン・ハートレーはWECでレースを経験している。マシン特性、ドライバーの経験によって中国でどのような差を生むことになるか非常に興味深いレースとなる。関連:2018年 F1中国GP テレビ放送時間&タイムスケジュール
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