スクーデリア・トロ・ロッソのテクニカルディレクターを務めるジェームス・キーは、F1ファンが考えているよりもマシン開発において多くの独自開発を行っていると語る。レッドブル社が所有するトロ・ロッソは、レッドブルの若手ドライバーに経験を積ませる役割を担っており、レッドブル・レーシングの“Bチーム”と呼ばれることが多い。
しかし、ジェームス・キーは、トロ・ロッソは一般的に考えられているよりもはるかに多い独自開発を行っていると主張する。実際、ジェームス・キー率いるトロ・ロッソが開発するシャシーは高く評価されており、2017年マシンのSTR12はレッドブルとは異なるデザインフィロソフィーを採用。マシンの突起のないノーズをはじめ、メルセデス型のフロントサスペンション、サイドポッドを特徴としている。「人々が考えているよりもトロ・ロッソでは多くのことが行われている。人々はトロ・ロッソのことを知らない。それは本当にフラストレーションが募る」とジョームス・キーはコメント。「可能な部分をレッドブルと一緒にすることは大いに意味のあることだが、我々は自分たちの風洞があるバイチェスターで独自に空力開発を行っており、完全に独立している」「クルマの全体的な設計はファエンツアで行われている。レッドブル・テクノロジーから来るクルマのパーツは共同設計されたギアボックスのインターナルだけだ」2018年からホンダのF1パワーユニットを搭載するトロ・ロッソは、ギアボックスのケーシングはチーム内で設計しており、デザインは前年モデルよりも短い新しいものとなっていると語る。「今年のもと比較して、ホンダのエンジンのためのレイアウトとサイズは異なる。コンセプトは同じだと思うが、アーキテクチャは異なる」とジョームス・キーはコメント。「インターナルのいくつかは引き継がれ、一部は変更され、一部はSTRボックス専用となっている。それ以外は我々が走らせてきたものにかなり近い」「(ホンダのパワーユニットを)同じスペースにはめ込むことはできない。それに適応するためいはかなりのレイアウト作業が必要だ」「我々は可能な限りベストな方法でクルマを適応させた。その結果、シャシーデザイン、ギアボックスの動作方法などでまったく異なるアプローチをとることになった」今季までホンダのF1プロジェクト総責任者を務める長谷川祐介も「トロ・ロッソはすばらしいチームで、我々に対して非常にオープンです」とコメント。「限られたサイズとリソースのチームですが、高い競争力を持っています。私以外のメンバーがどう見ているかは分かりませんが、これまで何回かミーティングを行ってきた経験で言えば、彼らは技術面でも非常にプロフェッショナルです」トロ・ロッソのオープンなスタンスはすでに見られており、ホンダはトロ・ロッソのF1マシンのカラーリングを採用したN-BOXを用意してF1プロモーションを早くもスタートさせている。トロ・ロッソとホンダのパートナーシップには、レッドブル・テクノロジーを通して親チームのレッドブルも協力しており、2018年、トロ・ロッソは親会社のレッドブルの名前を掲げ「レッドブル・トロロッソ・ホンダ(RED BULL TORO ROSSO HONDA)」のチーム名で参戦することが決定している。レッドブルは来シーズン限りでルノーのF1パワーユニットを失うとされており、2019年からホンダのF1パワーユニットを搭載すると予想されている。