元F1ドライバーのエイドリアン・スーティルを巡り、モナコのガレージから総額約1700万ユーロ(約31億円)相当の高級車9台が消失した。家族側は、ロシアの民間軍事組織を名乗る人物による脅迫と恐喝の被害を受けたと訴えている。スーティルは現在、詐欺および横領の疑いでドイツ・シュトゥットガルトのシュタムハイム刑務所に勾留されているが、家族によれば、車両消失は本人の拘束後に起きたという。
“ワグナー・グループ”を名乗る男からの脅迫家族の説明によると、発端は匿名の電話だった。電話の主は「ワグナー・グループ」に属すると名乗り、「モナコでは誰も自分たちを止められない」と主張したという。数日後、複数の男がモナコのガレージを訪れ、車両の引き渡しを要求した。代理人弁護士のディルク・シュミッツによれば、家族は強い心理的圧力を受け、身体的危害を示唆する脅迫もあったという。「メッセージは明確だった。車を出せ、さもなければ何かが起きる」そうした状況の中で、車両は次々と運び出され、その行方はいまも分かっていない。国際捜査に発展、インターポールも関与家族は2025年12月31日、恐喝および窃盗の疑いで刑事告訴を行った。捜査はシュトゥットガルト検察とバーデン=ヴュルテンベルク州刑事局(LKA)が主導し、モナコ当局と連携して進められている。さらに、インターポールも捜査に関与し、国境を越えた組織的犯行の可能性が調べられている。当局は、車両が国外に持ち出された可能性も含め、輸送ルートや関与した業者の特定を進めている。失われたのは“唯一無二”のコレクション消えた車両の中で最も注目されるのが、ケーニグセグ・アゲーラ・ワン:1だ。1360馬力を誇るハイパーカーで、世界限定7台のみが製造された。推定価値は約1000万ユーロとされる。そのほか、ケーニグセグ・レゲーラ、ロールス・ロイス・ファントム、フェラーリ・カリフォルニア、ランボルギーニ、複数のポルシェ、そして1970年代にエルヴィス・プレスリーが所有していたメルセデス・ベンツ600サルーンも含まれている。このメルセデス600は、国際的な車両登録にも記載される著名なコレクターズカーとして知られている。別件の捜査と複雑に絡む事件の全容エイドリアン・スーティルは2025年11月末に拘束され、高級車を複数回にわたって担保として申告した疑いを持たれている。本人は容疑を否認し、捜査に全面的に協力していると主張している。これまでにモナコ、スイス、ジンデルフィンゲンでの捜索により約20台の車両が押収されたが、ガレージに残されていた9台が、その後に消失した。家族は、脅迫が始まったのはスーティルの拘束後だったと説明している。手掛かりは自動車業界に当局は国際手配を継続しており、すでに1台の車両は確保されたとされる。一方で、残る車両の行方は依然として不明だ。弁護士と家族は、車両の希少性から「どこかで必ず目立つ存在だ」として、自動車業界や愛好家からの情報提供に期待を寄せている。警察は、ケーニグセグ各車やメルセデス600に関する目撃情報を、最寄りの警察署またはLKAシュトゥットガルトまで提供するよう呼びかけている。
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