2021年 SUPER GT 第8戦(最終戦)の予選が11月27日(土)に富士スピードウェイで行われ、GT500クラスはNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)の山下が、彼が持つ富士のコースレコードを更新して今季初ポールポジションを獲得。GT300クラスのポールポジションはNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)の山内が、こちらもコースレコードで獲得した。
2021年のシリーズを締めくくる第8戦の予選日は好天に恵まれ、午後3時03分からGT500クラスのQ1が開始された。天気は晴れで日も差していたが、気温は9度とこの時間にしては低めで路面温度も13度。いつもなら走行時間が10分間でも、ほとんどのマシンは残り8分台に入らないとコースインしないが、今回はピット出口のオープンと共に続々とコースへ。残り8分になると最後の3台もピットを離れた。各マシンは3〜4周掛けて入念にタイヤのウォームアップを行い、ラスト2分からアタックに入る。まずトップに立ったのが、No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(千代勝正)で、タイムは1分26秒513。直後にNo.1 STANLEY NSX-GT(牧野任祐)が、いきなりコースレコード(1分26秒386)を破る1分26秒011をマークする。さらにNo.38 ZENT CERUMO GR Supra(石浦宏明)とNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(中山雄一)もレコードタイムだったが、1号車には及ばず。さらに次の周もアタックした1号車は1分26秒000と、自らのレコードを書き換えてQ1トップ通過を確定。富士ではTOYOTA GR Supra GT500勢が優位という下馬評を覆して見せる。Q1の2、3番手は38号車、39号車。そして、逆転タイトルを狙うNo.8 ARTA NSX-GT(野尻智紀)、No.36 au TOM'S GR Supra(関口雄飛)が4、5番手。6番手はNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(千代勝正)でNISSAN GT-R NISMO GT500勢で唯一、Q2に進出した。また、タイトルを争うNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也)は7番手だった。対して、No.17 Astemo NSX-GT(塚越広大)は10番手、No.12 カルソニック IMPUL GT-R(平峰一貴)は14番手とQ2進出を逃して、タイトル争いでは厳しい状況に追い込まれた。Q1のトップ8台が争うQ2は、午後3時41分に10分間でスタート。No.1 STANLEY NSX-GT(山本尚貴)を先頭に7台がまずコースイン。Q1と同様にNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平)は最後にコースイン。そして残り3分を切ってから本格的なアタックが始まった。最初にNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(ヘイキ・コバライネン)が1分26秒127でトップに立つが、ここでも1号車が速さを見せて、Q1より速い1分25秒867を記録してトップを奪う。No.37 KeePer TOM'S GR Supra(平川亮)も25秒台をマークするがわずかに届かず。このまま1号車のポールポジションが濃厚と思われた。だが、チェッカーラップでそれを上回る1分25秒764を叩き出したのはNo.14 ENEOS X PRIME GR Supraの山下健太だった。これまでのコースレコード1分26秒386は山下が昨年の最終戦で記録したもので、今大会では自ら書き換えたいと語っていた。それだけに有言実行を果たし、最後の最後に逆転のポールポジション獲得となった。そして、No.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)は貴重な1ポイントを加算して、逆転タイトルを狙って明日の決勝レースに挑むことになった。1号車も最後のアタックを行うが、タイム更新はならずに予選2位が確定。それでもランキングトップはNo.1 STANLEY NSX-GTの山本で変わらず(牧野は1戦欠場)。しかもフロントロウからの決勝スタートと連覇の可能性を大きく引き上げた。予選3位はNo.37 KeePer TOM'S GR Supra(平川亮/サッシャ・フェネストラズ)。予選4位はNo.36 au TOM'S GR Supra(関口雄飛/坪井翔)で、タイトルに向けてトップまでポジションを上げるしかない。そしてNISSANは今季限りで主力車種の変更を発表し、この第8戦がGT-R NISMO GT500のラストレースとなる。その予選最上位は8位のNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/千代勝正)。予選9位のNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)、13位のNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R(高星明誠/佐々木大樹)、14位のNo.12 カルソニック IMPUL GT-R(平峰一貴/松下信治)と共に表彰台を目指していく。GT500No.14 ENEOS X PRIME GR Supra大嶋和也「結構路面温度が低くなってきていて、タイヤ的にウォームアップが厳しいだろうなと予想して、早めにピットから(コースへと)出ていったんですが、想定していたよりもウォームアップが遅くて、僕はギリギリでアタック1周目終わったあとにチェッカーを受けてしまったのですが、その次の周もまだタイヤのグリップも高くて、十分ポール(ポジション)が狙えるくらいのフィーリングを感じていたので、それだけチームに伝えました。(タイヤの)内圧と温め方……その辺を(うまく)やっていけば、山下(健太)選手なら十分ポールを狙えるだろうなと思っていました。僕的にはちょっとヒヤッとはしたのですが、1周目(のアタック)で無事にQ1を通るタイムになっていたので良かったなと思います。去年から(新型コロナウイルス禍で)なかなかファンの人たちとの距離ができてしまって、残念だなという気持ちもありました。その中で、『本当にみんなレースを観てくれているのかな』とたまに不安になることもありましたが、緊急事態宣言も明けて、またたくさんの人達が応援に来てくれていてありがたいなと思っています。僕らはチャンピオンには(手が)届かないかもしれませんが、最終戦を優勝で締めくくり、楽しいレースを皆さんに見せて恩返ししたいと思います」山下健太「本当にチームがいいクルマを用意してくれました。今日の走りはじめから調子が良くて、公式練習から他のチームよりも速いタイムを出していたのでポール(ポジション)は獲れるかなと思っていたのですが、そこからさらにQ1でセットアップを変更したり、大嶋(和也)選手がそれを評価してくれて、クルマがまたいい方向に行きました。(タイヤの)ウォームアップの仕方も教わっていたので、もともと良かったものがさらに良くなって(ポールポジションが)獲れたかなという感じです。自分のアタックは完璧ではなかったのですが、それ(でもポールポジションが獲得できる)ほどクルマが速かったという感じです。チャンピオン争いは厳しいですが、今年はGR Supra勢がだいぶ苦戦気味なシーズンを送ってきたので、最後を勝って終われたら来年にもつながると思うし、ここまできた...
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