午後3時15分のスタート予定が計時トラブルにより42分遅延する波乱の幕開けとなった全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦・富士。セーフティーカーの導入を含む波乱の41周を制し、今季3勝目を挙げたのは太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だった。太田はこの勝利でランキング2位に浮上し、ポイントリーダーの坪井翔(VANTELIN TEAM TOM'S)を射程圏内に捉えた。
午前中の予選から約4時間後、静岡・富士スピードウェイにはトランスポンダーのバッテリー低下による計時不能のトラブルが発生。スタートは大幅に遅れ、午後3時57分にようやくフォーメーションラップが開始された。スタートでは2番グリッドから太田がホールショットを奪うも、ダンロップコーナーでのオーバーランを突かれて坪井が首位を奪取する展開となった。早めのピット戦略が功を奏した岩佐戦略面で注目を集めたのは岩佐歩夢(TEAM MUGEN)の早めのピットインだった。7周目にタイヤ交換を敢行し、18周目に発生した野中誠太のマシントラブルによるセーフティーカー導入の際に順位を一気に上げ、トップに浮上。後方では坪井と太田が2番手、3番手でリスタートを迎えた。勝負を分けた後半のバトルリスタート後は3台による接近戦が続いたが、勝負が動いたのは30周目以降。まずは2番手の坪井がOTS(オーバーテイクシステム)を駆使して岩佐攻略を試みるも失敗。その隙を突いた太田が31周目に坪井を、33周目には岩佐を連続でオーバーテイク。冷静なタイヤマネジメントと巧みな駆け引きが光り、トップチェッカーを受けた。優勝した太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は富士で初勝利上位勢のコメント太田格之進(優勝)「富士では絶対に止めないといけないと思っていたので、『明日は勝つ』と宣言して臨みました。ピット戦略も含め、すべてが計画通りで、特に坪井選手とのガチンコ勝負で勝てたのが嬉しいです。冷静にOTSの使いどころを見極め、ここしかないという瞬間に勝負をかけました」岩佐歩夢(2位)「タイヤの寿命差を考えると厳しい状況でしたが、できることはすべてやり切れたと思っています。太田選手の動きも見えていましたし、最終的に2位でフィニッシュできたのは自分にとっても最高の結果だと思います」坪井翔(3位)「3位という結果は十分です。今日の展開では勝ち切るのは難しかったですが、次の富士に向けて課題も見えましたし、また強くなって戻ってきます」レース後半の混戦と佐藤蓮のペナルティ4位争いでは佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)が好走を見せたが、セーフティーカー明け直後のコースオフにより5秒加算のペナルティを受け、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)に順位を譲った。その他のポイント獲得者にはサッシャ・フェネストラズ、山下健太、大湯都史樹、大嶋和也が名を連ねた。ランキング争いはさらに接戦へ第7戦終了時点で、ランキング首位の坪井が87ポイント、太田が84ポイントと3点差に接近。続くは牧野任祐(73ポイント)、岩佐歩夢(67ポイント)、野尻智紀(57ポイント)。残る2戦に向けて、チャンピオン争いは激化の様相を呈している。次戦は8月9~10日、スポーツランドSUGOで開催予定。毎年波乱含みの展開となる菅生で、誰が主導権を握るのか注目だ。
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