2019年のスーパーフォーミュラ選手権 第3戦の決勝が行われ、山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がポール・トゥ・ウィンで今季初優勝を果たした。2位には予選5番手からスタートした小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)。3位には最後までニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)の追撃を振り切ったルーカス・アウアー(B-Max Racing with motopark)が入り、ルーキーとして3戦目にして初表彰台を獲得した。
午後2時20分、雲の間から日差しが降り注ぎ、汗ばむようなコンディションの中でフォーメーションラップがスタート。この時、ソフトタイヤを装着していたのは、ポールポジションの山本、予選3番手のアウアー、7番手の牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)、8番手のアレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)、11番手のハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing with motopark)、15番手の関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、17番手の中嶋一貴(VANTELN TEAM TOM’S)という7台。その他のドライバーはミディアムタイヤで走り始めた。20台のマシンが1周の隊列走行を終えて、正規グリッドに着くと、後方ではグリーンフラッグが振られ、シグナルオールレッドからブラックアウト。全車が68周先のゴールに向けて、一斉に加速した。ここで、いい蹴り出しを見せてホールショットを奪ったのは山本。ミディアムタイヤスタートながら2番手の野尻智紀(TEAM MUGEN)がポジションを守り、アウアーもそれに続く。その後方では、5番手スタートの可夢偉と6番手スタートの福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が4番手スタートの塚越広大(REAL RACING)をオーバーテイク。一つずつポジションを上げてくる。また、パロウはスタートをミス。大きくポジションを落とした。オープニングラップを終えると、ピットでは早くも動きが出る。野尻、可夢偉、福住、ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)、坪井翔(JMS P.MU/cerumo・INGING)、山下健太(KONDO RACING)が早くもピットイン。ソフトタイヤに交換してコースに戻るが、ピット作業時間の差によって順位が変動。可夢偉は給油をしたため福住、キャシディの先行を許してポジションが2つダウン。坪井も作業に時間がかかり、山下の先行を許す。さらに2周を終えたところでは、19番手スタートのダニエル・ティクトゥム(TEAM MUGEN)がピットイン。3周を終えたところでは石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、国本雄資(KONDO RACING)もピットに入ったが、国本は作業を終えてコースに戻る際、左フロントタイヤがエアホースに引っかかってしまい、石浦の先行を許した。また5周を終えたところでは塚越、9周を終えたところでは大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、10周を終えたところではアーテム・マルケロフ(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)もピットインを行なっている。ミディアム組の多くがピットに入ったところでのオーダーは山本、アウアー、牧野、ニューウェイ、平川、パロウ、関口、一貴となる。この中で、平川だけはミディアムスタート。平川は序盤4番手をキープしていたが、6周目にはニューウェイの先行を許している。トップの3台のペースは序盤はほぼイーブン。周回によっては山本よりもアウアーや牧野が速い周もあったが、山本が2人を上回る周もあるという状況で膠着状態となる。15周を終えたところで山本とアウアーの差は1秒991、アウアーと牧野の差は1秒475。これに対し、1周でピットに入った野尻のペースがこの時点ではトップ3人を上回っており、山本からの差は20周を終えたところで37秒171。ピットでのロスタイムが約44秒ということで、このままであれば野尻の逆転も可能かと思われた。しかし、タイヤをマネージメントしていたトップの山本は、20周を超えると燃料が少なくなってクルマが軽くなったこともあり、ペースアップ。1分08秒台のタイムを連発していく。アウアーと牧野は、このペースにはついて行けず、じわじわと引き離されることとなった。一方、この頃になると野尻のタイムも落ち、30周を終えたところで山本と野尻の差は41秒390に拡大。野尻もそこから猛プッシュを続けたが、その後もじわじわと差は開き38周を終えたところで45秒158、45周を終えたところで50秒094と、山本はセーフティーマージンを築くことに成功。この頃になると、山本の前には周回遅れのクルマが現れ始め、タービュランスの影響を受ける恐れが出てきた。そんな状況の中、いよいよソフトでスタートしたグループにもピットインするドライバーが出てくる。まず49周を終えてピットに入ったのは、4番手を走行していたニューウェイ。しかし、ニューウェイは給油中にリグに引火が発生してしまい、コクピットから飛び出す。クルマ自体には大きな損害がなかったものの、消火に時間がかかったこともあり、ここでレースを終えた。これに続き、51周を終えたところでピットに入ったのはトップ3台。山本、アウアー、牧野がピットに入ってくる。また、序盤から激しい6番手争いを演じていた関口と一貴もピットに入った。山本は13秒という素早い作業でピットアウト。余裕を持って、野尻の前でコースに戻った。アウアーも野尻の前でコースに戻ることに成功している。しかし、牧野はアウトラップのレインボーコーナーで野尻にオーバーテイクされただけでなく、馬の背では福住にも先行される。さらには、51周目にキャシディをオーバーテイクしてポジションを上げてきた可夢偉にも抜かれることに。さらに、牧野はピットアウト時に出口のホワイトラインをカット。レース後に35秒のタイム加算のペナルティーを科せられることとなってしまった。この時、見た目上のトップに立っていたのは、まだピットインしていなかったパロウ。これに山本、アウアー、野尻、福住、可夢偉と続いていたが、53周目には可夢偉が福住を捉えてさらに一つポジションアップしてくる。一方、実質的な2番手争いも白熱。ソフトの野尻がミディアムのアウアーに迫った。ところが、56周目の1コーナー。オーバーテイクシステムを使いながら、ものすごい勢いでアウアーのインに飛び込んだ野尻はそのまま止まり切れずにコースアウト。グラベルにストップし、レースを終えることに。この野尻のマシン回収のため、コース上にはセーフティーカーが導入される。そのタイミングでパロウはピットイン。福住と山下の間でコースに戻った。さらにセーフティーカーラン中の59周終了時には、関口が2度目のピットイン。再度ソフトタイヤに履き替えて、終盤のポジションアップを狙っていた。そして、野尻のマシン回収が終わり、レースがリスタートしたのは60周を...
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