10月30日(土)~31日(日)、三重県の鈴鹿サーキットで2021年度全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ最終戦(第7戦)が、JAF鈴鹿グランプリのタイトルを冠して開催された。土曜日は朝から晴天となったが、気温、路面温度ともに冷え込んだ。午前中の公式練習では前回のレースで今季のシリーズチャンピオンを決めた#16 野尻智紀(TEAM MUGEN)がベストタイムを記録しベンチマークとなり、そのまま走行を終えた。
#6 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が4番手、#5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が5番手につけた。午後からの公式予選も晴天の下で行われた。ここでもホンダ勢は快調で、公式予選Q1A組では#1 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)がノックアウトされる一方、#15 大津弘樹(RedBull MUGEN Team Goh)、#6 牧野がQ2へ進出。Q1B組では#12 タチアナ・カルデロン(ThreeBond DragoCORSE)がノックアウトされたが、#64 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)、#5 福住、#51 松下信治(B-MAX Racing Team)、#16 野尻がQ2セッションへ進出した。Q2AセッションおよびQ2Bセッションに出走した6台のホンダ勢の選手は、それぞれのセッションで上位に並び全車がQ3へ進出。Q3では#51 松下がポールポジションを獲得、2番手以降に#64 大湯、#5 福住、#6 牧野、#16 野尻が並び、ホンダ勢が上位5番手までのポジションを独占することとなった。前回のレースで初優勝を遂げた#15 大津は7番手につけた。決勝日は曇天となり、時折り小雨も降って朝のフリー走行はウエットコンデイションで行われたが、決勝レースに向けては天候が回復し、コースはドライコンディションとなった。決勝レースのスタートが切られると、ポールポジションの#51 松下、2番手の#64 大湯はポジションを守ってレースを始めた。後方からは#16 野尻が好スタートで3番手へ進出し、すぐに#64 大湯に攻め寄りましたが2周目のS字で2台はわずかに接触。#64 大湯はオーバーランして大きく遅れてしまった。一方、トップを独走し始めた#51 松下にはスタート違反があったとしてペナルティーが下り、5周目にドライブスルーを行ったため順位を下げた。替わってトップに立ったのは#16 野尻だった。その後方にはいったん順位を下げた#5 福住、20号車を挟んで#15 大津、#6 牧野が続いた。レースは10周を過ぎ、義務づけられたタイヤ交換のためピットインが始まった。2番手の#5 福住は11周目にピットイン、トップの#16 野尻は12周目にピットインしてレースに復帰した。この間に見かけ上のトップには20号車が立ったが、事実上は#5 福住と、その目の前にコース復帰した#16 野尻がトップ争いを繰り広げることになった。#5 福住は、タイヤ交換を終えたばかりでタイヤが温まっていない#16 野尻に攻め寄り、13周目の逆バンクでオーバーテイクして順位を入れ替えた。一方、見かけ上のトップに立っていた20号車は14周目にピットインしてタイヤを交換、素早く作業を終えて#5 福住の直前でレースに復帰した。しかし、すでにタイヤが温まっていた#5 福住は一気に間隔を縮めて、2コーナーで順位を入れ替えて前に出た。この時点ではまだピットイン義務を消化していない19号車がトップを走っていたが、事実上のトップは#5 福住、その後方1秒強の間隔を置いて2番手が20号車、そして3秒強の間隔を置いて3番手が#16 野尻、その背後に#15 大津という展開になった。上位はほぼ同じ間隔を保って緊迫したレースを続けたが、最終ラップに向け2番手の20号車がオーバーテイクシステムを使って#5 福住に迫った。しかし、#5 福住は最終ラップのスプーンカーブでそれまで残していたオーバーテイクシステムを発動させて突き放し、そのままトップの座を譲らず今季2回目の優勝を飾った。3位には#16 野尻が入賞し、今季4度目の表彰台登壇。残り3周までタイヤ交換ピットインを引き延ばしてコースに戻った19号車の背後、5位でレースを終えた#15 大津がシリーズポイントを重ねて今季のルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いた。福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)「この週末に走り出したときは、まさか勝てるとは思いもしませんでした。前回の鈴鹿では悔しい終わり方をしてしまい(タイヤバーストによるリタイア)、その後も落ち込むレースが続きましたが、今年最後の鈴鹿で勝てて本当にうれしいです。練習からスタートがうまくいかず、レースでもスタート直後に順位を落としてしまいましたが、クルマの調子がよかったので抜き返せる自信はありました。だから焦ることなく、すぐに順位を戻すことができました。最後の最後に(20号車に)攻め込まれたときも、鈴鹿はオーバーテイクが難しいコースですし「セクター3まで守り切れば抜かれない」と思って自分のオーバーテイクシステムを残しておき、最後に使って振り切りました。自分にとって大きな価値のある勝利でした」野尻智紀(TEAM MUGEN)「2周目の接触については大湯選手、TCS NAKAJIMA RACINGの皆さん、ファンの皆さんにおわびします。あの状態では私も絶対に引けませんでしたが、完全にマシンをコントロールすることができず接触してしまったことについては私に非があります。今後、ああいう局面でも接触することなくギリギリで戦う技量を身につけるよう努力します。レースは5番手からのスタートでどうなることかと思いましたが、表彰台に上がれてまずまずの結果で終われました。その一方でピット戦略など課題がいくつか残って、勝てるレースを落としたかもしれないと反省しています。今シーズンも多くのご声援をいただき、多くの皆さんに助けられてシリーズチャンピオンを獲得できました。ありがとうございました」大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)「今日のレースではスタートがよくて3番手になれましたが、そこからのペースが上がらず、結局5位でレースを終えました。1年の集大成としては納得いかないところもありましたが、こうしてルーキー・オブ・ザ・イヤーというタイトルを獲れて、いいシーズンになったと思います。チームに助けられ、アドバイザーにも力づけられ、チームメートの野尻選手からは多くのことを学びとって成長できました。感謝しています。僕のドライバー人生はこれからです。もっと速くて強いドライバーになろうと思っています。応援をよろしくお願いします」
全文を読む