佐藤琢磨は、インディカー第2戦ニューオリンズの決勝レースを22位で終えた。朝方からの雨でファイナルプラクティスが行えないほどコースに水があふれたが、懸命の乾燥作業が行われ、ウエットコンディションで午後2時前に決勝のスタートが切られた。夕方になって再び悪天候が襲う可能性が懸念されたため、インディカーはレースのスタート時刻を早め、同時にレースは予定の75周が完了しない場合でも、スタートから1時間45分が経過した時点で新しいラップには入らないというルールを採用した。
幸いにも決勝スタート後に再び雨が降ることはなく、短時間で路面は乾いていったが、6回ものフルコースコーションが出されたレースは、スタートからの経過時間を計算に入れた作戦が勝利への近道となった。ゴールを告げるチェッカーフラッグは、当初予定されていた75周より28周も少ない47周でイエローフラッグとともに振り下ろされました。佐藤琢磨は、得意のウエットレースでの活躍が期待されていたが、ウエットコンディション用セッティングが芳しくなく、苦戦を強いられた。それでも慎重に走り続けてゴールを目指していた佐藤琢磨だったが、レースが終盤に入ったところで他車に接触され、その衝撃でマシン内側の電装系ラインが破損。39周でピットに入り、レースに復帰できずに22位という結果を得るにとどまった。優勝は、1回のピットストップだけで、燃費セーブを徹底してゴールを目指すという、ある意味ではギャンブルとも取れた作戦を選んだジェームズ・ヒンチクリフとSchmidt Peterson Motorsports。ホンダにとって2015年シーズン最初の勝利となった。インディカー・シリーズは休む間もなく大陸を西へと向い、カリフォルニア州ロングビーチのストリートで第3戦を開催される。佐藤琢磨(22位)「決勝日も自分たちの置かれた状況は厳しいものでした。今日のレースは本当に難しいコンディションでの戦いになっていました。かなりのウエットコンディションで始まり、雨は止み、路面は1周ごとにレーシングラインが乾いていきました。私たちはグリップとマシンのバランスで苦しんでいましたから、早い段階でピットに入り、ソフトタイヤにスイッチしました。その結果ペースが上がり、いくつかのポジションアップも果たせました。しかし、リスタートで2名のドライバーたちが絡み、私にぶつかってきました。そのときの衝撃でサイドポッドが壊れ、内側のコードが破損。ギアシフトができなくなってレースを終えることとなってしまいました。次のロングビーチでは、開幕戦のセントピーターズバーグと同様にマシンは速いはずですから、ぜひともいいレースを戦いたいと考えています」ジェームズ・ヒンチクリフ(優勝)「ステイアウトする作戦でいくと決断したとき、このまま1回のピットストップでゴールまで走りきれてしまったらおもしろいな、と考えました。それが本当になるなんて全く考えていませんでした。実際には、雨の可能性があるのでピットインしない作戦に出たのですが、フルコースコーションの多さが我々の作戦に味方するレース展開となりました。優勝できたことはうれしいのですが、その一方でファンの皆さんにはもっと多くの周回でインディカーらしい激しいバトルをお見せしたかったとも思っています。私たちが勝てたのは、マシンがソフトタイヤ装着でベストの走りができるものに仕上がっていたからでもありました。2台のペンスキー勢をリスタートで突き放すことさえできていました。燃料が持つ限り、私は彼らを封じ込めることができると自信を持って戦っていました。今日、ホンダのため、そしてチームのために今季初勝利を記録できたことを、とてもうれしく思います」