佐藤琢磨が、8位で終えた2013年インディカー開幕戦セントピーターズバーグを振り返った。IZODインディカー・シリーズの開幕戦セントピーターズバーグにおいて、佐藤琢磨は予選でフロントロウを獲得し、決勝でも上位争いを演じた。最終的な成績は残念な8位に終わったが、それでもシーズン序盤にポイントを手に入れられたのは素晴らしいことだ。
また、インディカー・シリーズに参戦して4シーズン目を迎えた佐藤琢磨は、今季よりAJフォイト・レーシングのダラーラ・ホンダを駆ることになったが、彼らとともにレースを戦うのも今回が初めてだった。シーズン前のテストで抜群の成績を残した佐藤琢磨とチームは良好な関係を築きつつある。「開幕戦に挑むときはいつでもワクワクするものですが、新しいチームと新たな挑戦をスタートする今年は、特にエキサイティングな気分を味わっていました」と佐藤琢磨は振り返る。「開幕前に行ったテストはたったの3日間でしたが、準備は整っており、僕たちは勢いにのっていました。チームの誰もがやる気満々で、マシンへの改良も行いました」「セブリングのテストでは強い手応えを感じました。僕たちはトップタイムをマークしましたが、それ自体はさほど重要ではありません。大切なのは、これが僕たちにとって最初のテストで、メカニックたちのチームワークを考えても素晴らしいことでした。とにかく皆が笑顔を浮かべていました」「その後、僕たちはコースのタイプがまったく異なるバーバー・モータースポーツ・パークでテストを行ないました。ハイスピードで、流れるようなレイアウトのこのコースでは、パフォーマンスを向上させる手がかりをいくつか見つけ出しました。チームは素晴らしい働き振りで、誰もがハードワークをこなしてくれました。僕たちはセントピーターズバーグに向かう前から好調だったのです」金曜日と土曜日に行われたプラクティスでチームはマシンのさらなる改良に成功し、3回目のセッションで佐藤琢磨はファステストラップをマークした。「最初のセッションは思い通りにいきませんでした。あまり満足のできないシャシー・バランスでしたが、問題点を突き詰めるのはそれほど難しくなく、それらはすぐに解決されました」「今回、ファイアストーンは仕様を変更したコンパウンドと構造を持ち込んできました。それらとのマッチングは素早く終えられたので、僕たちは力強い走りを見せることができました」「これらの結果から、僕たちはとても自信を持っていたし、落ち着いていられました。それでも、予選を迎えるときはいつも未知の部分が残されているものです。なぜなら、オプションのレッドタイアがどんなパフォーマンスを発揮するかは、実際に走らせてみるまでわからないからです。したがってチームは、プラクティスで得られたデータをもとに、推測で予選用セッティングを決めることになります」予選が始まると、このセッティングが良好だったことが明らかになる。最初に行われたグループごとの予選で佐藤琢磨はウィル・パワーに続く2番手。12台が臨む第2ラウンドでも佐藤琢磨はパワーに続く2番手で、ポールポジションを決めるファイアーストン・ファスト6でも琢磨を破ったのはパワーひとりだけだった。「本当にうまくいきました。チームのことを誇りに思うと同時に、とても頼もしく感じました。彼らは最高の準備をしてくれたのです。ポールを狙っていて、それが手に入らなければガッカリするのは当然ですが、これがこのチームでの初戦だったから、本当に素晴らしい働き振りだったと思います」「僕たちのマシンはレースでも安定して速いと予想されました。もちろん、楽観視しすぎるのは問題ですが、“いい仕事ができる”という自信はレース前のウォームアップに臨んでも変わりありませんでした。今回、僕たちはオプションタイアをウォームアップで試しませんでした。今年のセントピーターズバーグはレースの周回数が10ラップ増えたため、3ストップ作戦となることがほぼ確実と思われていました。つまり、決勝中に4セットのタイアを使うことになります。また、レッドタイアは決勝でも好パフォーマンスを発揮すると予想されましたが、予選以降に使えるレッドタイアは2セットまでと制限されているので、ウォームアップではこれらを使わずに温存することにしたのです」トップ10グリッドのドライバーはそのほとんどが新品のレッドタイアを装着してスタートに臨んだが、佐藤琢磨は予選で使用した中古のレッドタイアを履いてグリッドについた。「これでうまくいくと考えていましたが、実際は逆でした。スタートではプッシュ・トゥ・パスなどを使って全力を振り絞ったものの、ウィルを攻略できませんでした。その代わり、たくさんのシボレー勢に追いつかれました。僕はバランスが完璧とは言いがたいマシンで、なんとかそれを防がなければいけませんでした。やがてウィルには引き離され、背後には多くのドライバーが迫っていました。僕は、彼らの履くニュータイアに大きなデグラレーションが起きることを期待しましたが、それは実際には起きませんでした」「チーム・ペンスキーはレッドタイアを見事に使いこなしていました。ウィルは前方に逃げ、直後にはエリオ・カストロネヴェスがつけています。しばらくするとペンスキーの1-2となり、僕は3番手に後退しました。その後、この日最初のコーションとなります。そのリスタートでは、今度もプッシュ・トゥ・パスを使いましたが、どうにもできませんでした」「エリオとウィルはサイド・バイ・サイドになってターン1とターン2をクリアしていきます。2台はいまにも絡んでしまいそうなくらいの接近戦を繰り広げていました。僕はふたりの直後につけていましたが、エリオが首位に立ったとき、ウィルのコーナーからの立ち上がりが遅れた影響で、僕はフロントウィングを彼のマシンと接触させてしまいました」この段階では、ウィングにダメージが及んでいたかどうかは、はっきりとしていなかった。「とりあえずドライブはできましたが、ペースはよくありません。僕はタイアかフロントウィングのどちらかがよくないのだろうと思っていました。ただし、スポッターにも状況は把握できなかったので、そのまま走り続けましたが、やがてジェイムス・ヒンチクリフらに追い越されてしまいます。本当に苦しい状況でした」「2回目のピットストップではタイアを交換し、ウィング調整を行いましたがバランスは相変わらずよくありません。3回目のストップ...