佐藤琢磨は、インディ500の2度目の優勝、そして、ホンダでのキャリアについてHonda Racing F1のインタビューに答えた。佐藤琢磨は8月23日(日)にインディアナポリスで開催された伝統のインディ500で2度目の優勝という快挙を成し遂げた。104回を数えるインディ500の歴史のなかで複数回の優勝を果たしたのは20人目ということからも、その偉業の凄さがわかる。
インディ500のレース翌日、佐藤琢磨はHonda Racing F1のインタビューに答え、レースについて、F1を含めたホンダドライバーとしてのこれまでのキャリアについて語った。インディ500で2度目の優勝を果たされましたが、レースを終えての24時間はどう過ごされましたか?優勝してからは、まさに“ノンストップ”という感じです。アドレナリンが出ていて目が冴えてしまい数時間しか眠れていません。膨大な量の写真撮影があって、インタビューも30~40くらい答えました。驚くほど忙しいですが、そのすべてが心地いいですね。昨日(レースで)起きたことを思い出すと、改めてすばらしいイベントだったと感じますし、偉大な仕事を果たしたチームの一員であることを誇りに思っています。だれもが困難な状況に直面している中、例年とは様子が全く異なるインディアナポリス・モーター・スピードウェイで、非常にスペクタルなレースができて、特別な1日になりました。おっしゃる通り、困難の中での開催となりました。前回インディ500で優勝したときと比較すると、なにが違うのでしょうか?いまはまだサーキットにいらっしゃるのですよね?はい、僕はまだパゴタのスピードウェイ(インディ500の会場)にいます。まだ出られていません。前回との違いをどう表現すればいいのかというと難しいですね。30万人もの観客が詰めかけていたときに比べたら明らかに違います。ファンの皆さんの応援と熱狂はエネルギーになり、何物にも代えがたいものです。昨日はそれがありませんでした。似たように見えるかもしれませんが多くの面で普段と違います。何が違うのかを説明することは難しいです。僕たちは観客がいないことや、どんな状況になるかも事前に説明を受けて理解していました。事前説明がない状態であればおそらくパニックになってしまったでしょう。インディアナポリスの熱心なファンの皆さんは状況を理解されています。皆さん会場に来たいと思っていたでしょうが今年は安全を取って家でテレビ観戦をしてくれました。昨日も何百万人ものファンがテレビで見てくれました。レースが無事にできたことを改めて感謝します。来年は皆さんがサーキットに来られればといいと思います。そうなることを信じています。無観客開催の影響については分かっていたとのことですが、予選3番手でフロントローのスタートとなることで、レースの行方も分かっていたのではないでしょうか。優勝争いをする自信がありましたか?おっしゃる通りです。予選でのフロントロー獲得は(インディ500では)初めてで、マシンのパフォーマンスを見て相当な競争力があると分かりましたし、予選では全ラップ通じて安定していました。それは僕らのマシンに競争力があることを示していますし、チームをとても誇りに感じました。僕らのマシンには、ライバルのような最高速はなかったかもしれませんが、僕らが目指していたのは“強さ”で、僕らのマシンは間違いなく最強でした。そして、フロントローを獲得できたことも大きかったです。中団は本当に荒れたレースになる一方で、フロントローが最も安全なスタート位置でレースをコントロールできることは間違いありません。インディ500で前回優勝したとき、アンドレッティ・オートスポーツのマシンはほかと比較して明らかに優位性がありました。2017年のホンダのエンジンを搭載したマシンは強力でホンダのエアロパッケージもすばらしくアンドレッティ・オートスポーツのマシンは間違いなくスピードに乗っていました。でも、今年はそれと違い、どのマシンも僅差でした。なかでも強かったのはスコット・ディクソン選手だったと思います。プラクティスや予選でコンディションに左右されずにパフォーマンスを発揮していました。僕にとっては倒すべき相手でした。でも、それ以外のマシンはあまり差がありませんでした。それは素晴らしいことだと思います。ゼロからという訳ではないですが、すべてのドライバーにチャンスがありましたし、僕がフロントローを獲得できたのもそれが理由です。競争力のあるマシンで戦えるので、ミスをしなければ必ず優勝するチャンスはあると思っていました。スコット・ディクソン選手の話題が出ましたが、レース終盤にかけて周りにはたくさんのホンダマシンがいました。そうした中で、琢磨選手は優勝経験者だったわけですが、その経験が活きた部分はありますか?もしくは違う感覚があったのでしょうか?ある意味、それはあると思います。2017年は、レース中ずっと集中し続けていなくてはなりませんでした。そして、僕にとっては経験したことのない新たな世界を見ることができました。もちろん、2012年のレースでは、リードラップも経験しましたし、ダリオ(フランキッティ)と最後まで勝利を賭けて戦いましたが、勝者にはなれなかったわけで、2017年の経験は、僕に新たなものをもたらしてくれたと思います。こうした経験があることで、昨日は特にそうでしたが、フロントローからのスタートでもとてもリラックスできていました。マルコ(アンドレッティ)がポールポジションからスタートしたものの、ディクシー(スコット・ディクソン)がそれをオーバーテイク。僕はディクソンについていきながら、後ろで彼が単独走行するときの様子をうかがっていました。後方にはライアン・ハンター-レイがいましたが、僕のマシンには力強さがあったので、この段階で激しいレースを展開するつもりはなく、ライアンはあっさり抜いていきました。それで3番手になったわけですが、先行する2台のコーナリングの様子を確認していました。燃料のコントロールだけでなく、マシンバランス、タイヤの摩耗具合などを、最初の100~150周で細部まで確認して調整し、勝負所となる最後の2スティントに備えていました。そして、プラン通りにいった。そこが2017年の優勝時と大きく異なる点です。2017年の際も盛り上がりましたが、今回もSNSを中心に大きな反響があります。琢磨選手には長いキャリアがあって、今も大きなレースで結果を残しています。あなたのキャリアを通じて常にホンダのサポートが...
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