2025年F1モナコGP予選は、歴史的瞬間と波乱の連続が入り混じる劇的な展開となった。マクラーレンのランド・ノリスが最終アタックでコースレコードを更新し、モンテカルロ初ポールを獲得。母国優勝を狙っていたシャルル・ルクレールの前に立ちはだかった。予選では、各チームがソフトとミディアムタイヤを使い分けながらアタックを展開。路面コンディションとトラフィックの影響を受けながらも、ドライバーたちは極限の攻防を繰り広げた。
中盤にはメルセデスのキミ・アントネッリとジョージ・ラッセルが相次いで赤旗の原因となり、Q2以降の流れにも影響を及ぼした。角田裕毅はQ1で好調な走りを見せながらも、Q2では僅差で敗退。トップ15が0.6秒以内にひしめく混戦の中、速さを発揮しながらも最終アタックでの一発を決めきれなかった。一方、アイザック・ハジャーがキャリア最高位となる6番手タイムをマークし、レーシングブルズにとっても明るい結果となった。Q1:ルクレールが最速 アントネッリはクラッシュで敗退3回のプラクティスを経て、いよいよ年間で最も重要とも言われる予選の時間がやってきた。モナコ市街地の狭く曲がりくねったコースでは、グリッドポジションとトラックポジションが決定的な意味を持つ。新たに導入された2ストップ義務ルールがレースに“スパイス”を加えると期待される中、注目は以下の3点だった。ルクレールはプラクティス全セッション最速の勢いを維持できるか。FP3でクラッシュしたハミルトンは、ギアボックスを含むフェラーリのリアセクションをすべて交換して臨む予選でどうなるか。そして、C6のソフトタイヤはC5のミディアムより優位なのか。快晴のコンディションで始まったQ1では、ストロールとベアマンにグリッド降格のペナルティが科される中、モナコ名物の“トラフィック”がすぐに表面化。20人のドライバーが序盤からクリアラップを求めて争う展開となった。全員がタイムを記録した時点で、フェルスタッペンが1分11秒920で暫定トップに立ち、プラクティスで速さを見せたルクレールがこれに続いた。しかし、その後もアタックとクーリングを繰り返す中で順位はめまぐるしく入れ替わっていった。ピアストリは軽く壁に接触したと報告しながらも、1分11秒385のタイムで順位を上げ、さらにルクレールが1分11秒229を記録してホームポール通算4回目を狙う強い意志を示した。ルクレールはホームストリートでの予選序盤から速さを見せた当然ながら、いくつかの妨害行為もスチュワードにより調査対象となった。ガスリーはヌーベル・シケインでのストロールの遅さを「衝撃的」と非難し、フェルスタッペンもマセネでハミルトンと接触しそうになった際に無線で怒りを露わにした。ガスリーとアルピーヌは、唯一ミディアムタイヤでQ1をスタートしたこともあり、序盤は最下位に沈み、チェッカーフラッグに向けた決定的なアタックが求められる展開となった。しかしその終盤、ルーキーのアントネッリがヌーベル・シケインでクラッシュ。イエローフラッグが出され、一部のアタックが妨げられたのち、赤旗に切り替えられてQ1は予定より早く終了となった。この結果、ルクレールがトップ、マクラーレン勢、フェルスタッペン、ラッセル、ハミルトンがこれに続き、アルボン、アロンソ、サインツJr.、角田裕毅もトップ10に滑り込んだ。P1からP15までがわずか0.6秒強の接戦だった。ハジャー、ローソン、オコン、ヒュルケンベルグ、アントネッリがQ2進出を果たした一方、メルセデスのアントネッリはこの後の出走は叶わず。ボルトレト、ベアマン、ガスリー、ストロール、コラピントがQ1敗退となった。Q1敗退: ガブリエル・ボルトレト、オリバー・ベアマン、ピエール・ガスリー、ランス・ストロール、フランコ・コラピントアントネッリは予選Q1終盤にクラッシュを喫し、悔しさをにじませたQ2:ノリスが動く 各車がタイヤ戦略を分ける短いインターバルの後、ドライバーたちは再びピットレーンに整列し、Q2が開始。ここでは、ルクレール、アルボン、ハミルトン、サインツJr.、ラッセルらがミディアムタイヤを選択し、Q1でそれを試したアルピーヌの方針を追従する形となった。一方、ソフトを履いたノリスが1分10秒959をマークして早々にトップに立ち、フェルスタッペン、ルクレール、アルボンが続いた。しかし、ラッセルはトンネル内で電力を失いストップ。これが再び赤旗を招いた。ラッセルのマシンが撤去され、セッション再開時には残り約8分。アルボン、アロンソ、サインツJr.はミディアムを継続した一方、フェラーリ勢はソフトに変更しトップに浮上した。再び最後は混沌としたアタック合戦に。ノリスが1分10秒570で最速を記録し、ルクレール、アルボン(終盤にソフトへ)、ピアストリ、フェルスタッペン、ハミルトンがそれに続いた。レーシングブルズの2台とアロンソ(ミディアムのまま)、そして歓喜のオコンもQ3へ。一方で、サインツJr.は終盤にソフトに切り替えたが改善できず「まったくグリップがなかった」と無線で不満を漏らしP11に。角田裕毅、ヒュルケンベルグ、そして走行できなかったメルセデス勢がQ2敗退となった。Q2敗退: カルロス・サインツJr.、角田裕毅、ニコ・ヒュルケンベルグ、ジョージ・ラッセル、キミ・アントネッリノリスとマクラーレンはQ2終盤で本領を発揮し始めたQ3:ノリス、息を呑む最終局面で頂点へ20台から10台に絞られた最終セッション、ポールポジションを懸けたQ3が始まった。大半のドライバーがソフトタイヤで出走する中、オコンとアルボンはミディアムを選択した。ノリスはQ2の勢いそのままに1分10秒464を記録し、ピアストリに約0.05秒差でリード。ルクレールは3番手でファンの期待を集め、フェルスタッペンとハミルトンがその後に続いた。そして迎えた最終アタックでは、再びモナコ予選らしい白熱の展開に。まずピアストリが1分10秒140でトップに立つと、ノリスが1分10秒125で上回り、ルクレールは1分10秒063で観客を沸かせた。これで決まるかと思われたが、マクラーレン勢は再度アタックへ。全観客がスクリーンを見守る中、ノリスが1分09秒954というモナコ史上最速のラップを叩き出し、ルクレールからポールを奪った。ピアストリもわずかにタイムを更新したが、マクラーレンのフロントロー独占には届かず3番手。ハミルトンとフェルスタッペンがそれに続いた。残りのQ3進出者はハジャー、アロンソ、オコン、ローソン、アルボンだった。Q3進出者(10位まで): ランド・ノリス、シャルル・ルクレール、オスカー・ピアストリ、ルイス・ハミルトン、マックス・フェルス...
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