F1バーチャルGPは、シャルル・ルクレール(フェラーリ)の最終戦への不参加が決定し、昨年1ポイントも獲得できずにシーズンを終えたウィリアムズF1のジョージ・ラッセルがチャンピオン(非公式)を獲得するという結末になった。新型コロナウイルスによるレース中断中にF1はeスポーツイベント『F1 Esports Virtual Grand Prix』を開催。だが、7月5日にオーストリアでシーズン再開が決定し、今週末のバーチャル・カナダGPが最終戦となる。
F1公式ゲーム『F1 2019』を使用したF1バーチャルGPだが、最終的に参加した現役F1ドライバーは11名。若手ドライバーが中心で1大会で8名を超えることはなかった。マックス・フェルスタッペン、ロマン・グロージャン、セバスチャン・ベッテルは他のプラットフォーム、ルイス・ハミルトンは提携するグランツーリスモを宣伝するという始末。さらに6月14日に開催される最終戦F1バーチャル・カナダGPにはシャルル・ルクレールとランド・ノリスが同日に開催されるバーチャル・ル・マン24時間レースを優先して欠場するという尻つぼみ・・・。これにより、正式なチャンピオンシップタイトルではないものの、これまで3連勝を果たしているジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)がチャンピオンを獲得することが決定した。最終戦はバルテリ・ボッタス(メルセデス)、アレクサンダー・アルボン(レッドブル)、ピエール・ガスリー(アルファタウリ)、ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)にジョージ・ラッセルを加えた5名が参加する。ラティフィは初戦から第7戦まで皆勤賞となる。F1グリッドで最も遅かったウィリアムズF1で1ポイントも獲得できなかったジョージ・ラッセルがチャンピオンという珍事。リアルかリアルじゃないかを問う声があるが、グラフィックは超リアルだ。だが、マシンはカラーリングが違うだけであり、風や路面のバンプによる空力特性の変化などは再現されていない。だから、ウィリアムズの名前がついたマシンでも勝てる。だが、F1が開催されない寂しい期間にファンを楽しませてくれたF1ファンには感謝しかない。また、F1およびコードマスターズにとっては、現役F1ドライバーがデモンストレーションしてくれたという意味で公式ゲーム『F1 2019』、そして、7月10日に発売予定の新作『F1 2020』の良いプロモーションになったと言える。また、関連機器メーカーも良い宣伝になったはずだ。だが、今回F1ドライバーが使用したような高価なハンドルコントローラーや大きなスペースをとるリグ(シャシー)は決して必要ではない。本格的なeスポーツ参戦を目指す人や、気分を味わう余裕のある人、レビューを上げてYoutubeで小遣い稼ぎをしたい人以外は、ゲーム機付属のコントローラーで十分に楽しめるゲームだ。今後、F1やモータースポーツに興味を持つきっかけとなることを願いたい。ジョージ・ラッセルのドライビング(ゲームの腕前)は優れているかもしれないが、本物のレースはそれだけではない。F1マシンの戦闘力、ピットストップやトラブルなどへの対応といったチーム力が物を言う実際のシーズン開幕が待ち遠しい。