ルノーF1のチーム代表を務めるシリル・アビテブールは、レッドブルが提案するF1エンジンの開発を凍結させ、さらに性能調整をするという新しい提案は受け入れられないものだと述べた。レッドブルは、現在のエンジンサプライヤーであるホンダが2021年シーズン末でF1から撤退すると言う決定をしたことで、2022年以降のF1エンジンがない状況に陥っており、様々なアプローチを議論している。
レッドブルは、ホンダが2021年のために製造したF1エンジンの知的財産権と運用をチームで引き次いで自社で運用していくことを望んでいるが、その一方でメルセデス、フェラーリ、ルノーとのF1エンジンの高価な“軍拡競争”に参加したくはないとしている。フェラーリは、F1エンジンのパフォーマンスコンバージェンス(性能調整)のメカニズムが確立されるのであれば、F1エンジンの凍結に応じるとしているが、メルセデスはその提案は“侮辱的”だと反対している。シリル・アビテブールは、ルノーF1もその提案には不満を抱いていると語る。「我々全員が自分たちの立場を表明する会議があった」とシリル・アビテブールは Sky F1に語った。「我々は立場を変えていない。一連のレギュレーションがある。我々は特にエンジン凍結において何らかの妥協をする準備はある。我々は収束が起こっていることを受け入れているし、多額の資金を費やすのはクレイジーだと考えている」「とは言え、そこには明らかなラインがある。我々はエンジン、エンジン開発、パフォーマンスに関する70年にわたる競争に背を向けるつもりはない」「我々にとって、パフォーマンスの差別化要因として、エンジンはF1の中核だ。それが我々にとっての意味だ。我々はその境界線を越えることはない。それは非常に明白だ」それでも、シリル・アビテブールは、F1のエンジンサプライヤーの状況は深刻な問題だと認める。レッドブルは、ホンダF1の適切な代替策が見つからない場合はF1を撤退すると脅迫している。シリル・アビテブールは「我々はレッドブルのための解決策を見つける必要がある」と語った。現在の競技規則では、ルノーF1は必要に応じてレッドブルとその姉妹チームであるアルファタウリにF1エンジンを供給することが義務付けられている。しかし、レッドブルは2018年にルノーとのパートナーシップを終了し、ホンダF1との短命であるが成功したパートナーシップを過ごしているため、再びルノーと組むことはクリスチャン・ホーナー、ヘルムート・マルコ、チームオーナーのディートリッヒ・マテシッツにとって魅力的ではない。「レギュレーションにはすでに解決策がある」とシリル・アビテブールは語った。「何が起こるかは決して分からない。特に、我々は常にレギュレーションを遵守すると言ってきた。我々に義務がある場合はそうするつもりだ」しかし、レッドブルが社内でF1エンジン開発プログラムを作成できるようにルールを変更することは、まったく別の問題だ。「彼らがホンダとそれを行うことができるのであれば、検討を祈るが、我々はそれ以上進むべきではないと思う」とシリル・アビテブールは語った。「レッドブルが最高のエンジンを搭載するべきだとレギュレーションを書く必要があるならば、それは何か違う。だが、これはここで問題になっていることではないと思う」実際、シリル・アビテブールは、レッドブルが再びルノーのF1エンジンを搭載する可能性についてかなりオープンな姿勢を見せている。今回は対等なパートナーとしてではあるが。「カスタマーチームよりも、むしろパートナーチームがいた方がいい。F1はそういったチームのグループで形成されていることは皆さんも分かると思う」とシリル・アビテブールは語る。「金融、商業、政治、技術のいずれに関しても、おそらくそこにはいくつかの機会がある」「だが、我々は列車が逝ってしまったことも受け入れる必要があると思う」とシリル・アビテブールは認め、それがルノー自身のF1における長年の将来についての最近の不確実性が一因となったことを認めた。「ルノーのF1への取り組みに関して疑問符がたくさんあった時期があった。我々は長期的なカスタマーやパートナーチームを確保する立場にはなかった」「次の列車がいつ通過するかを確認する必要がある。私にとって、それは将来の計画に追加する大規模な仕事にはなることはないだろう」