レッドブル・レーシングが、技術・運営体制の再編に向けて新たな人材獲得に動いている。アストンマーティンで長年にわたって要職を務めてきたトム・マッカローを、レースエンジニアリング部門の責任者として迎える見通しだという。マッカローは2026年末をもってアストンマーティンを離れることがすでに明らかになっている。レッドブルでは、マクラーレンへの移籍が決まったと報じられるジャンピエロ・ランビアーゼが現在担っている役割を引き継ぐ可能性がある。
マッカローが2026年末でアストンマーティンを退団マッカローは10年以上にわたり、フォース・インディア、レーシングポイント、アストンマーティンと名称を変えてきたシルバーストンのチームで要職を務め、主にトラックサイドのパフォーマンスとエンジニアリング部門を率いてきた。2025年初頭の上級管理体制の再編ではF1プロジェクトの第一線を離れ、「チームが参戦するレースカテゴリーのさらなる拡大」を担当する別部門のリーダー職に異動。その際、それまでのトラックサイドでの職務はチーフ・トラックサイド・オフィサーに就任したマイク・クラックが引き継いだ。F1公式サイトは、マッカローが2026年シーズン終了後にアストンマーティンを退団すると報道。その時点では、次の役職については不明とされていた。マッカローのF1でのキャリアは2002年、ウィリアムズにデータエンジニアとして加入したことから始まった。その後はレースエンジニアとなり、ニコ・ヒュルケンベルグ、ルーベンス・バリチェロ、ブルーノ・セナらを担当した。ウィリアムズで約10年間を過ごした後、2013年にザウバーへ移籍し、ヘッド・オブ・トラック・エンジニアリングを担当。その後、英国へ戻ってフォース・インディアに加入し、トラックサイドのエンジニアリング部門を率いた。マッカローが在籍したフォース・インディアは2016年と2017年にコンストラクターズ選手権4位を2年連続で獲得。レーシングポイント時代の2020年にはチーム初勝利を挙げ、コンストラクターズ選手権でも4位に入った。20年以上にわたってF1のトラックサイドで経験を積んできたマッカロー。その次の移籍先として新たに浮上したのがレッドブル・レーシングである。レッドブルがランビアーゼ後任としてマッカローを獲得へドイツ紙『Bild』のジャーナリスト、ミシェル・ミレフスキによると、マッカローはレッドブルで「ヘッド・オブ・レース・エンジニアリング」に就任する予定だという。「Bildが得た情報によれば、トム・マッカローは新たな『ヘッド・オブ・レース・エンジニアリング』に就任する予定だ」「彼はサーキットにおけるすべてのオペレーションを担当し、グランプリ期間中のエンジニアたちの仕事を統括することになる」このポジションを現在務めているのがジャンピエロ・ランビアーゼだ。ランビアーゼはレッドブルのヘッド・オブ・レース・エンジニアリングを務める一方、マックス・フェルスタッペンのレースエンジニアも兼任している。「GP」の愛称で知られ、無線を通じてフェルスタッペンと緊密に連携してきた側近のひとりでもある。しかし、そのランビアーゼはすでにマクラーレンと契約を結んだと報じられている。ミレフスキはランビアーゼの今後について次のように伝えている。「『GP』はマクラーレンへ移籍する」「フェルスタッペンの側近はすでに、この伝統ある英国チームと契約を結んでおり、長期的にはチーム代表になる可能性さえあると言われている」ランビアーゼがレッドブルを離れれば、サーキットでのエンジニアリング業務を統括する重要なポジションが空くことになる。マッカローはその後任として、レッドブルのトラックサイド部門全体をまとめる役割を担うとみられる。一方で、ランビアーゼが兼任してきたフェルスタッペンのレースエンジニアについては、マッカローがそのまま引き継ぐのか、それとも別の人物が担当するのかは現時点で明らかになっていない。レッドブルで続く組織再編マッカローの獲得が実現すれば、レッドブルが進めているマネジメントおよび技術体制の再編における新たな一手となる。チームでは長年モータースポーツアドバイザーを務めたヘルムート・マルコが退任。さらに、育成プログラムの新たな責任者としてグウェン・ラグリューを招聘するなど、人事面で大きな動きが続いている。そこにアストンマーティンで豊富な経験を積んだマッカローが加われば、レッドブルはサーキットでのエンジニアリング体制についても新たな段階に入ることになる。ウィリアムズ、ザウバー、そしてフォース・インディアから現在のアストンマーティンへと続くチームで20年以上にわたってF1の現場を経験してきたマッカローは、ランビアーゼ退団後のトラックサイド体制を再構築するうえで即戦力となる存在だ。レッドブルにとって、フェルスタッペンとチームをつなぐ重要人物を失った後の体制を安定させる重要な人事となりそうだ。