FIA(国際自動車連盟)が進めていた2026年F1パワーユニット(PU)の「ADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)」初回評価の再審査で、レッドブルの異議申し立ては認められない見通しとなった。レッドブルは、FIAが自社の内燃エンジン(ICE)をグリッド最強と評価したことに異議を唱え、詳細な説明を求めていた。
しかし再審査を経ても当初の判定は変更されない見込みで、同チームは引き続き性能向上のためのADUOアップグレードを認められない可能性が高い。FIAはレッドブルへの説明を準備 判定変更の兆候はなしレッドブルは、FIAによるADUO評価で自社PUがメルセデスやフェラーリを上回る「ベンチマークエンジン」と認定されたことに納得しておらず、評価方法の詳細な説明を求めてきた。その結果、レッドブルだけが現時点でADUOによる性能アップグレードを一切認められていない。チーム代表ローラン・メキースはスペインGPで次のように疑問を呈していた。「より深く議論したいのは、我々が持っているデータには、メルセデスより優位にあることを示すサンプルが一つも見当たらないからだ」FIAのADUOランキングは内燃エンジン(ICE)の性能のみを対象としており、高出力バッテリーやエネルギー回生システムの性能は評価対象外となっている。レッドブルの要請を受け、FIAは5月のカナダGPまでを対象とした初回評価期間のデータを再確認した。しかし『The Race』によると、この再審査は最終段階に入っているものの、レッドブルのICEがメルセデスより少なくとも2%優れているとした当初の判断が誤りだったことを示す証拠は確認されていないという。そのため、モナコGP決勝日に各チームへ正式通知された初回評価結果は維持される見通しだ。ベルギーGP前に正式発表へ 他メーカーは開発を進行FIAはレッドブルとの最終的な協議を続けているものの、ベルギーGPまでに正式なADUO評価結果を公表するとみられている。それに先立ち、FIAは収集したデータや評価理由についてレッドブルへ詳細な説明を行う用意がある。ただし、他PUメーカーに関する機密データについては守秘義務のため開示されない見込みだ。現状ではレッドブルのみがアップグレード権を持たない唯一のPUメーカーとなる可能性が高い。一方、フェラーリは今週末のオーストリアGPでADUOを利用した今季初の性能向上版PUを投入。アウディもスペインGPでドライバビリティ改善を実施したとされる。ホンダも今季中に認められたアップグレード枠の一つを使用する予定で、夏休み前後、早ければベルギーGPで新仕様を投入する可能性がある。第2評価期間でもレッドブルは厳しい立場レッドブルが第2評価期間でADUO対象となるかどうかは、メルセデスが内燃エンジンの性能向上を実施するかに左右される。第2評価期間はモナコGPからハンガリーGPまでとなっており、もしメルセデスがICEの性能を据え置き、他のPU要素のみを改良した場合、レッドブルは再び「最強ICE」と判定される可能性が高い。そうなれば、同チームは再び大規模な性能アップグレードを実施できない状況が続くことになる。今回の再審査では、レッドブルが求めていた評価変更は実現しない見通しとなった。ベルギーGPまでに正式発表が行われれば、同チームは唯一アップグレード権を持たないPUメーカーとしてシーズン後半戦を迎える可能性が高く、今後の勢力図にも影響を与えそうだ。