レッドブルが2チーム体制を維持することへの疑念は、2026年シーズンに入っても消えていない。ライバル陣営からは、オン・トラックでの協力や人材移動、技術情報の共有などが競争の公平性を損なう可能性があるとの指摘が続いている。しかしレーシングブルズ代表ローラン・メキースは、少なくともレース中の振る舞いについては「今季のレースを見れば答えは明らかだ」と主張する。本当にレーシングブルズはレッドブルを優遇していないのか。2026年シーズン前半の実例を振り返る。
レッドブル2チーム体制への疑念は消えず議論が再燃したきっかけのひとつは、メルセデス代表トト・ヴォルフがアルピーヌへの出資に関心を示したことだった。最終的に取引は成立しなかったものの、マクラーレンCEOのザク・ブラウンはFIA会長モハメド・ビン・スライエム宛てに書簡を送り、同一オーナーによる複数チーム保有への懸念を表明した。ブラウンは、チーム間での人材移動に伴うガーデニング休暇の短縮や知的財産(IP)の移転、さらにはレース中の協力行為が発生する可能性を問題視している。その根拠として、2024年シンガポールGPでダニエル・リカルドが終盤にファステストラップを記録し、タイトル争いをしていたランド・ノリスから1ポイントを奪った件や、2026年マイアミGPでリアム・ローソンがマックス・フェルスタッペンへ順位を譲った件などが挙げられてきた。こうした疑念に対し、メキースは強く反論している。「我々は11チームが独立してレースを戦うことを支持している」「人材移動やガーデニング期間についても非常に詳細な規則が存在する。我々はFIAの規則を守るだけでなく、それ以上に厳しい基準を自ら設けている」さらにメキースは、今季のレース内容そのものが疑惑を否定していると主張した。オーストラリアGPで見られた激しい攻防開幕戦オーストラリアGPでは、アービッド・リンドブラッドが印象的なスタートを決めた。9番手スタートからオープニングラップで一時3番手まで浮上したリンドブラッドは、アイザック・ハジャーとの激しいポジション争いを展開。ハジャーが仕掛けても簡単には譲らず、結果的に両者が争う間にルイス・ハミルトンの先行を許した。その後もリンドブラッドは何度もポジションを取り返し、協力する様子はまったく見せなかった。レース後半にはスタートで後退したフェルスタッペンが背後まで迫ったが、リンドブラッドは数周にわたって前を守った。バーチャルセーフティカー後の再スタート前には、エンジニアから「マックスとの争いでタイヤを使い過ぎるな」と指示が出された。一見すると意味深な無線にも聞こえるが、フェルスタッペンは新品ミディアムタイヤ、リンドブラッドはフィニッシュまで持たせる必要のあるハードタイヤを履いており、タイヤマネジメントを考えれば自然な判断だった。それでもリンドブラッドは再スタート直後の最初の攻撃を防いでおり、意図的に道を譲った形跡はなかった。中国GPでも譲る姿勢は見られず中国GPでもレーシングブルズ勢はレッドブル勢に遠慮を見せなかった。スプリントでは、ハジャーが接触でマシンにダメージを抱えながら走るなか、ローソンが5周目にオーバーテイクを成功させて前へ出た。ローソンはそのまま7位でフィニッシュし、ハジャーを後方へ追いやった。決勝では再びフェルスタッペンがスタートで順位を落とし、まずリンドブラッドの後ろで足止めされた。リンドブラッドはヘアピンでロックアップを喫しながらも守り続け、ターン1でもフェルスタッペンをアウト側へ追いやるなど徹底抗戦した。最終的にフェルスタッペンが前へ出たものの、ミスによって再びポジションを失う場面もあり、リンドブラッドは簡単に順位を譲らなかった。ピットストップ後にはローソンの後ろで再び足止めされる展開となったが、ローソンも数周にわたり抵抗を続けている。またレース終盤にはハジャーがリンドブラッドを攻略したが、その際もリンドブラッドはヘアピン進入でハジャーをコース外へ押し出しかねないほど激しく守っていた。鈴鹿ではハジャーが無線で激怒2026年日本GPは、メキースの主張を裏付ける最も分かりやすい例だった。鈴鹿ではレッドブル系4台が接近した状態で周回を重ねたが、リンドブラッドはハジャーに対して一切遠慮を見せなかった。11周目のシケインでは激しく進路を塞ぎ、その後も何度もラインを変えながら防御を続けた。これにハジャーは無線で怒りを爆発させた。「何をやっているんだ」さらに数周後には、リンドブラッドがハジャーを芝生へ押し出しかねないほど強引なディフェンスを見せた。「そんなことはできないだろ」ハジャーが無線で抗議すると、エンジニアは「彼を報告する」と応じた。その後、リンドブラッドには黒白旗が提示されている。結局ハジャーが前へ出られたのは、アンダーカット戦略が成功したためだった。もし両チームが順位操作を行っているのであれば、このような接触寸前の攻防が発生すること自体が不自然と言える。議論を呼んだマイアミGPの一件一方で、疑念が完全に払拭されたわけではない。その最大の理由がマイアミGPだった。フェルスタッペンはターン11でローソンへのオーバーテイクを試みたが、ブレーキングで突っ込み過ぎてコース外へ膨らんだ。ローソンもエスケープゾーンを使用したものの、ポジションは維持していた。しかしその直後、レーシングブルズはローソンに順位返還を命じた。「できるだけ早くマックスに順位を返せ」ローソンは「彼が僕にぶつかってきた」と反発したものの、翌周にポジションを譲っている。この場面は、レッドブル優遇の証拠として取り上げられることが多い。ただしローソン本人は後に、「チームの判断ミスだった」と説明した。「正しく状況を確認できていなかっただけだ」「同じ状況がもう一度起きても、今なら同じ判断はしないと思う」少なくとも当事者は、フェルスタッペンを助ける意図があったことを否定している。オン・トラック協力の証拠は見当たらずモナコ、カナダ、スペインではレッドブルとレーシングブルズが直接争う場面自体がほとんどなかった。しかし開幕からのレースを振り返る限り、リンドブラッド、ローソン、ハジャーはいずれもレッドブル勢に対して遠慮なく戦っている。特に鈴鹿でのリンドブラッドの防御は、むしろ「協力関係」を否定する材料と言えるだろう。もちろん、人材移動や技術情報の共有といった構造的な問題については今後も議論が続くはずだ。実際、メキース自身もレーシングブルズからレッドブルへ異動した経歴を持つ。それでも少なくとも現時点では、レース中にレーシングブルズがレッドブルを意...
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