レッドブルのヘルムート・マルコは最新コラムで、マックス・フェルスタッペンのタイトル争いが極めて厳しい状況にあると明言した。現在49ポイント差で残り3レースとスプリント1回。数学的にも逆転はほぼ不可能で、「ノリスに何かが起きない限り希望はない」と述べ、事実上“外的要因頼み”であることを認めている。シーズン後半に戦闘力が大幅に回復した点については「ポジティブ」と評価しつつも、現状のポイント状況は冷徹だ。
「ノリスに何かが起きなければチャンスはない」マルコはSpeed Weekのコラムで、逆転の条件を次のように語った。「49ポイント差で残り3レースとスプリント。今となっては、ノリスに何かが起きてくれないと、マックスの望みを繋ぐことはできない。そうでなければチャンスはない。ノリスがリタイアするか、接触があるかだ」わずかな可能性も、「ライバルのアクシデントありき」でしか成り立たないことを明確にした発言だ。大逆転のシーズンは評価「巻き返せたのはポジティブ」それでもマルコは、シーズン後半にレッドブルが大きく復調した点は前向きに捉えている。「我々はギャップに満足しているわけではない。しかしシーズンを通じてこれほど劇的に巻き返し、再びタイトル争いに戻れたことはポジティブだ」不振からの立て直しという意味では、チームの取り組みを評価している。残り3戦は“予測不能”──ラスベガスはレッドブル寄りマルコはまた、近年はサーキット特性とマシン競争力の関連性が弱まっていると説明する。かつてのように「このコースはこのマシンが得意」という単純な傾向ではなく、最適なセットアップを見つけることがすべてだと語る。そのうえで残りの展望について触れ、ラスベガスは高速セクションが多くレッドブルに向き、カタールとアブダビは中速コーナーが主体でマクラーレン寄りになるという見立てを示した。ただし「従来のこうした傾向はもはや絶対ではない」とも強調している。ブラジルでの不振は“フロア仕様の迷走”が原因ブラジルGPでパフォーマンスが安定しなかった理由については、フロア仕様を週末の間に何度も変更したことが原因だったと明かしている。どの仕様とウイングセットが最適かは把握できたとしており、残りのレースへ向けて方向性は固まったという。コストキャップ疑惑は誤り──レッドブルの申告は正当ブラジルでフェルスタッペンに投入された新エンジンについて、マクラーレン陣営はコストキャップ計上外ではないかと疑念を示していた。しかし実際には、このパワーユニットはきちんと予算制限内で申告されていたことが判明し、疑いは誤りだった。逆転シナリオは極めて限定的──ノリス依存は避けられない数字で見れば、フェルスタッペンの逆転タイトルはノリスの0点回が必須条件であり、マルコの発言はその現実を正確に反映している。もちろんラスベガスではレッドブルが勝負できる可能性が高く、状況が一変する余地はまだ残されている。ただし、タイトル争いを続けるために必要な条件は明確だ。レッドブルの奮闘が続く一方で、最終的にはノリス側の不運が不可欠という厳しい局面にある。