マクラーレンのアンドレア・ステラ代表が「レッドブルのシーズン終盤のアップデートは、2026年レギュレーションに向けた開発を犠牲にしている」と示唆したことに対し、レッドブルのヘルムート・マルコ顧問がこれを完全に否定した。マクラーレンはメキシコGP後、残りのグランプリで新パーツを投入しない方針を明らかにしており、コンストラクターズチャンピオンの座を確保した現段階で、2026年新規則へのリソース移行を優先する戦略を取っている。一方、レッドブルはRB21に複数の改良を加え、マックス・フェルスタッペンが再びタイトル...
ステラ代表は、「彼らは2026年に関して何か別の課題を抱えているのかもしれない」と述べ、レッドブルが現行マシンに注力する姿勢を皮肉交じりに分析していた。しかしマルコは『Autosport』のインタビューでこう反論した。「まったく同じ話を2021年にも聞いたよ。当時もトト(ヴォルフ/メルセデス代表)は『レッドブルは2022年の新レギュレーションに間に合わないだろう』と心配していた」と語り、過去を引き合いに出した。「我々の哲学の一部は、常にルールが変わるたびに、できる限り長く競争力を維持するための作業を続けることなんだ。これはこれまで3回のレギュレーション変更でも同じだった。だから、彼ら(マクラーレン)が心配することがないなら、それでいいさ」と続けた。2021年当時、レッドブルは最後まで開発を続けながらも、翌2022年の新時代で17勝を挙げて両タイトルを獲得しており、その成功体験が今回も方針を裏付けている。レッドブルの一貫した開発哲学レッドブルは、ルール変更期でも「最後まで現行マシンを追い込む」姿勢を崩さないことで知られる。2022年・2026年といった大転換期でも、短期的な勝利と長期的な競争力を両立する自信を持っている。マルコの発言は、その哲学が単なる勝負勘ではなく、過去の成功実績に裏打ちされたものだということを示唆している。対照的なマクラーレンのアプローチ一方、マクラーレンは2026年規則への準備を優先する保守的な姿勢を取っている。すでに「現行車の開発は成熟点に達した」とするステラ代表の言葉通り、長期的な技術投資にシフトしており、短期的なレース結果よりも中期的なプロジェクト成果を重視している。2026年への布石と心理戦今回のやり取りは、単なる技術論を超えた“心理戦”でもある。マクラーレンはレッドブルの動きを「焦り」と見る一方で、レッドブルはそれを「勝者の余裕」として笑い飛ばしている。2026年のレギュレーション大変革を前に、両陣営の開発哲学の違いが、来季以降の勢力図を左右する鍵になりそうだ。