2025年F1アメリカGP決勝前、レッドブル・レーシングがマクラーレンのピットウォールに設置された視覚的基準マーカーに干渉しようとしたとして、審議対象となっていたことが明らかになった。これは、ランド・ノリスのグリッド位置を示すためにマクラーレンが貼っているテープを巡る一件であり、FIAはレッドブルに対し罰金処分を科している。
マクラーレンはノリスのスタート位置を確認しやすくするため、彼のグリッドボックス付近のピットウォールにテープを貼って目印としている。このマーカーはノリスの好みに応じて微調整され、グリッドでできる限り前方に車を止めるための補助として機能している。アメリカGPでノリスは2番手に予選通過し、グリッド位置はコースイン側のピットウォール寄り。そこにはチームメンバーが退避するためのゲートが設けられており、フォーメーションラップ開始後に閉鎖手続きが行われる。しかし、その際にレッドブルのチームメンバーがゲート閉鎖中に再びそのエリアへ侵入し、マーシャルの制止にも反応しなかったと報告されている。複数の情報源によれば、その人物はノリスのグリッドスロットと平行するピットウォール上に手を伸ばしており、低解像度ながら映像証拠からも「マクラーレンのテープに接触しようとした可能性が高い」とされている。実際、レッドブルが最近のレースでも同様の行為を試みていたとの指摘もあり、マクラーレンはアメリカGPではテープを剥がしにくい方法に変更していたという。もっとも、マクラーレンが使用しているこの視覚的マーカーは正式なFIA規定には含まれていないため、その設置自体も、他チームによる干渉も「ルール上は違反ではない」。ただし、競技精神の観点からは疑問が残る行為であり、今回のケースでは安全管理上の規定違反として問題視された。最悪の場合、スタート遅延につながる危険もあったとされている。レッドブルのチーム代表ローラン・メキースはスチュワード裁定前の段階で次のように説明した。「グリッド手続きの中で、我々のクルーの1人がマーシャルの指示に従わなかったと判断されたようだ」「我々としてはチームと確認したが、全員が指示には従っていたと確信している。おそらく誤解があったのだと思う」「我々はFIAと映像を確認し、今後改善できる点はあると理解したが、意図的に無視したわけではない。非常に小さな問題だと思っているが、再発防止のために対応する」分析:スポーツマンシップとルールの“グレーゾーン”この件は単なる手続き違反以上に、「レース前の準備行為をどこまで競争要素とみなすか」という問題を浮き彫りにしている。マクラーレンのピットウォール上のテープは公式規定外の“補助ツール”であり、厳密には保護対象ではない。よって他チームが干渉しても即座に違反とはならない一方で、意図的に相手チームの準備物を妨害する行為は、F1のスポーツマンシップ精神に反する。また、フォーメーションラップ開始後にピットウォールに戻る行為は安全上の重大なリスクを伴うため、今回の罰金処分は単なる形式違反というよりも「安全確保を軽視した行為」として位置づけられたとみられる。ローラン・メキースが「誤解」と説明するように悪意がなかったとしても、FIAが厳格に対応したのは、将来的な再発防止とグリッド作業の透明性を守る狙いがあると考えられる。Source: The Race
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