レッドブルのテクニカルディレクター、ピエール・ワシェは、最近の勝利に沸く期待に現実的な視点を添えている。F1チームが猛暑のシンガポール市街地に向かうなか、ワシェは今週末の一戦が改良マシンにとって究極の試金石になると強調した。マクラーレンのオレンジ軍団が2025年シーズンを支配し、17戦中12勝を奪ってきたなか、レッドブルはイタリアとアゼルバイジャンで連勝を果たし、希望を取り戻した。
だがワシェは、来週末に開催されるマリーナベイでの波乱必至のグランプリこそが真の評価の場になると釘を刺す。モンツァ・マジックからの連勝ブーストすべては今月初めのモンツァから始まった。レッドブルは画期的な新型フロアを投入し、マックス・フェルスタッペンが勝利を収めたのだ。このアップグレードは「スピードの殿堂」だけでなくバクーでも効果を発揮し、フェルスタッペンが再びマスターフルな走りを披露してチームにシーズン4勝目をもたらした。ファンの間ではシーズン終盤の巻き返しや、フェルスタッペンがドライバーズタイトル争いに割って入る可能性への期待が高まっている。しかしワシェは、F1 Nationポッドキャストで冷静に語った。「新しいフロアを持ち込んで、それが機能しているように見える」とワシェは説明し、最近の優位性はパーツとセットアップの組み合わせによるものだと指摘した。「ローダウンフォースのサーキットでは、再び競争力を発揮できているように見える」しかしシンガポールは全く別物だ。曲がりくねったハイダウンフォースの舞台であり、マシンを容赦なく痛めつけ、不意打ちの連続が待ち受けている。「シンガポールで我々がどこにいるのかを確認することになる。通常、あそこは我々の得意なトラックではない。それが本当の試金石になる。我々があそこで競争力を持ち、あまり大きな差をつけられなければ、問題を解決できたということだ」とワシェは率直に語った。コンストラクターズタイトル争いに食い込めるか?フェルスタッペンの活躍がタイトルへの期待を呼ぶ一方で、ワシェは熱を冷ますように現実的な見方を示した。レッドブルの視線はマクラーレンを追うことではなく、まずはメルセデスやフェラーリとの2位争いに注がれている。「レースごとであり、レースに勝つことがどれほど難しいか、この競争に勝つことがどれほど難しいかを理解する必要がある」と彼は警告する。「我々は2連勝したが、それで優勝争いに加わったと言うのは早すぎる。我々の焦点はクルマをできる限り速くすることにある。そして最大の焦点は、コンストラクターズ選手権でフェラーリとメルセデスに勝つことだ」関連記事:フェルスタッペン、ニュルブルクリンクでNLS GT3デビューへレッドブルがマリーナベイに向かう中、アップグレードと戦略の調整が、最近の得意舞台とは対照的なサーキットで通用するかどうかが試される。決定的な週末を前に、ワシェの言葉は空気中に漂っている。これは勝利の凱旋ではなく、真剣勝負の試練の場なのだ。そしてレッドブルは、闘う準備を整えなければならない。