レッドブルF1代表のクリスチャン・ホーナーは、F1で導入された新たな「フレキシウイング規制(技術指令、以下TD)」について、その影響を判断するにはまだ早いと語った。これは、カナダGPでライバルのマクラーレンが目立たぬ結果に終わったことを受けてのコメントだ。バルセロナGPから導入されたこのTDは、チームが重荷重時のウイングの過剰なフレックス(しなり)によって得る性能向上を制限することを目的としている。
バルセロナではその直後にもかかわらず、マクラーレンはランド・ノリスとオスカー・ピアストリの1-2フィニッシュを達成していた。だが、続くカナダGPでは両ドライバーが一発の速さに苦しみ、ピアストリが予選3番手、ノリスが4番手にとどまった。さらに決勝では、ノリスがレース終盤にピアストリと接触してリタイアを喫するなど、チームにとっては厳しい週末となった。マクラーレンの不調について、TDが影響した可能性があるかと問われたホーナーは、「それを評価するにはもっと多くのレースと異なるサーキットでのデータが必要だ」と冷静に語った。「マクラーレンが今季初めて表彰台を逃したレースになったが、そういう日は我々としてはポイントを最大限に稼ぐ必要がある」ピアストリは「長期的にはチームを信頼している」と述べ、今回の結果にはさほど動揺していないことを強調したが、ホーナーもまたポイント差は依然として大きく、シーズンはまだ半分にも達していないと強調する。「ポイント差はまだ大きいが、我々は最後まで戦うつもりだ。まだ折り返し地点にも来ていないし、スプリントもたくさん残っている。開発を進めて、少しずつ性能を積み重ねていければ、誰も諦めることはない」カナダGPを「堅実なレース」と評価カナダGPでは、マックス・フェルスタッペンがポールスタートのジョージ・ラッセルに食らいつきながらも2位に終わったが、ホーナーは全体として「堅実なレースだった」と満足感を示している。「最初のスティントではミディアムタイヤでかなり攻めた。それが開き始めてからは、第2スティントが一番苦しい時間帯になった」「フロント左タイヤのグレイニング(摩耗)に苦しんだが、最後のスティントでは後方のキミ(アントネッリ)より良く、ラッセルとほぼ互角のペースだった。ラッセルのタイヤの方が5~6周新しかったことを考えれば良い内容だった」また、モントリオールのサーキット特性がRB21に合わない中でのこのパフォーマンスは「意外だった」としつつ、次戦以降への前向きな手応えも口にした。「このタイプのサーキットではメルセデスが速いことはわかっていた。フェラーリはレースではあまり良くなかったし、マクラーレンも速さを見せる場面はあったけど、彼らをオーバーテイクするのがどれだけ難しいかがよく分かった」ホーナーはレース中、メルセデスのエンジニアであるピーター・ボニントンと談笑する姿も見られたが、その表情はシーズン後半に向けての静かな自信をうかがわせるものだった。
全文を読む