レッドブルF1のチーム代表クリスチャン・ホーナーは、スペインGPでマックス・フェルスタッペンを巡って発生した混乱に関連し、FIAの判断の不透明さを批判し、今後の協議の必要性を訴えた。スペインGPのセーフティカー明け、フェルスタッペンは無線で「ジョージ・ラッセルにポジションを返すように」と指示され、これに激怒した。ラッセルに先行を許したのは、フェルスタッペンがセーフティカー中のピットストップで唯一ハードタイヤを選択されたことで、周囲のソフト勢に対して不利な状況に置かれた直後のことだった。
レース再開直後、フェルスタッペンはストレートでフェラーリのシャルル・ルクレールに接触された直後、ターン1でラッセルの猛アタックを受け、ランオフエリアに逃れる形となった。復帰後はラッセルの前に出たが、サウジアラビアGPで同様の状況下、ランド・ノリスにポジションを返さなかったことで10秒ペナルティを受けた経験から、今回もそれを恐れたレッドブルは即座にラッセルへのポジション返上を決断した。ところがその後、フェルスタッペンがラッセルに接触したことで別件の「衝突を引き起こした」行為として10秒のペナルティが科された。ホーナーはレース後、RacingNews365を含むメディアに対し、次のように説明した。「マックスは明らかに不満だった。まずストレートでルクレールに当てられ、さらにターン1でジョージにダイブボム(無理な飛び込み)を食らったからだ。今のレギュレーションでは、すべては“フロントアクスル(前輪軸)”の位置次第だ。ドライバーたちはそのルールを理解していて、それに則って戦っている。問題は『あの瞬間にジョージは完全にコーナーをコントロールしていたのか?』ということ。ギリギリではあったが、入れたようにも見えた。今季は数多くの事例で、接触が“ノート(記録)”され、スチュワードに送られ、その後にペナルティが出るという流れがあった。だから今回も“ポジションを返さなければならない”と判断した。」皮肉なことに、スチュワードはこのターン1のインシデントに関して「ラッセルにはコーナーの権利がなかった」と判断しており、仮にフェルスタッペンがそのまま走行していてもペナルティにはならなかったという。ホーナーは続けてこう述べた。「審判(レースディレクター)として、“プレーオン”か“ポジション返上”かを明確に伝えてくれるとありがたい。チームが主観的に判断するのは非常に難しい。過去の前例や、目の前の状況を見て、スチュワードやレースディレクターの考えを“推測”しなければならない。だからこそ、『返せ』あるいは『返さなくていい』とレースディレクターが即座に判断を伝えてくれることが、チームにとっては非常に有益だ。」現在のF1では、チームがレースディレクターであるルイ・マルケスに問い合わせをしても明確な返答が得られない状況にあるという。「何の返答も得られない。質問しても、何も戻ってこないんだ」とホーナーは不満を吐露。この点について、RacingNews365の「マルケスと話し合う必要があるのでは?」という問いには、「SAC(スポーティング・アドバイザリー・コミッティ)で議論すべき内容だと思う」と答えた。
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