マックス・フェルスタッペンが、F1ロシアGPでメルセデスに割って入り2番グリッドを獲得するとは、週末のレッドブル・ホンダF1の出来を考えれば想像もつかないことだった。初日にレッドブル・ホンダF1はパッケージの調整に時間をかけた。様々なダウンフォースレベルを試し、バランスを調整したが、マックス・フェルスタッペンが最終コーナーでスピンを喫するなど、到底メルセデスに太刀打ちできるとは考えられなかった。
だが、土曜日を迎えるとマックス・フェルスタッペンのセットアップは見違えていた。前日までの不安定さは解消され、ステアリングの修正が減っていた。それでも、FP3の段階ではまだそこまでの仕上がりには見えなかった。しかし、マックス・フェルスタッペンには自信があったようだ。レッドブルF1のモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、マックス・フェルスタッペンが前日の夕方にQ3にミディアムタイヤで進むというアイデアを出していたことを明らかにしている。そして、予選Q2ではチームの判断力が光った。セバスチャン・ベッテルの赤旗中断によって残り2分での一斉タイムアタックとなったなか、1回目のアタックでミディアムタイヤで5番手だったマックス・フェルスタッペンに対し、チームはぎりぎりでソフトタイヤでアタック中のフェルスタッペンにラップをアボートするように指示を出す。これにより、マックス・フェルスタッペンは9番手でQ2を突破。11番手のシャルル・ルクレールとは0.082秒差という際どいタイム差だった。そして、Q3までにマックス・フェルスタッペンはマシンを完璧に仕上げる。「Q2はマシンバランスに苦しんだけど、Q3に向けて安定するように改善したところ、特に2回目の走行でうまく機能した」とフェフスタッペンは語っている。そして、Q3の最終アタックでは最適なタイミングまでアタックを待った。バルテリ・ボッタスがラップを終えるタイミングでアタックを開始し、ターン1からターン2までの間にスリップストリームを獲得。バルテリ・ボッタスの2回目のアタックが冴えなかった部分もあるが、そこでコンマ数秒のタイムタップを果たせたことがバルテリ・ボッタスに0.089秒という差になって表れた。それでも、トップのルイス・ハミルトンからは0.563秒差がついた。これは今シーズンここまでの予選でのギャップとさほど変わりはない。しかし、ロングストロートと90度コーナーから構成されるレッドブルが苦手とするソチ・オートドロームで大きく離されなかったのは、マックス・フェルスタッペンの対応力とチーム力の賜物と言っていいだろう。決勝はポールポジションのルイス・ハミルトンがソフト、2番グリッドのマックス・フェルスタッペンと3番グリッドのバルテリ・ボッタスがミディアムとタイヤ戦略が分かれることになった。1コーナーまでの距離が長く、スリップストリームを使えるソチ・オートドロームでは前列にいることはそれほどアドバンテージにはならない。「明日のレースは路面がきれいでない側のグリッドからスタートするので不利な面もあるけど、ミディアムタイヤでスタートするというアドバンテージもある。スムーズなスタートができれば、ここではその後のトウの影響が大きいので、ターン2に入るまでに、何かを起こせるかもしない」とマックス・フェルスタッペンも十分に心得ている。スタートと第1スティントでどのようなポジションにつけるかがレッドブル vs メルセデスの見どころとなるだろう。
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