エイドリアン・ニューウェイは、F1界で最高のデザイナーのひとりではあるが、近年はその影響力が影を潜めつつある。しかし、レッドブル・ホンダが2020年にF1ワールドチャンピオン獲得するために彼の力が必要なのは明らかだ。数々のF1タイトル獲得マシンを設計してきたエイドリアン・ニューウェイだが、近年ではF1離れが報じられている。最近ではアストンマーティンと共同開発したハイパーカー『ヴァルキリー』の設計に没頭。
また、昨年、エイドリアン・ニューウェイは、元F1ドライバーでフォーミュラEチャンピオンのジェン・エリック・ベルニュらと共同で電動SUVの新シリール“エクストリームE”に参戦するペローツエ・レーシングを設立している。これまで極限まで細部にこだわったF1マシンを世に送り出してきたエイドリアン・ニューウェイだが、2019年のレッドブル・ホンダRB15は、新しいフロントウイング規則にうまく対応できず、序盤戦でスロースタートを切ることになった。2006年にレッドブルのF1ドライバーを務めるロバート・ドーンボスは、エイドリアン・ニューウェイの動きは、レッドブル・ホンダにとって憂慮すべきニュースだと考えている。「あの男は天才だ。彼は9つのワールドタイトルという肩書を持っている。基本的にすべては彼を中心に展開している。だが、私が今耳にしているのは、彼はレッドブルでの仕事ははるかに少なく、100%コミットしていないとのことだ」「彼はアストンマーティン ヴァルキリーといった外部のプロジェクトに取り組み、今はジャン・エリック・ベルニュとチームを組んでいる。組織全体が一人の男を中心に展開しているときに、その一人の男が完全にそこにいなければ、問題が発生することになる」それでも、F1ジャーナリストのジョルジオ・ピオラは、レッドブルにはまだF1で最高のデザイナーがいると考えている。「レッドブルは2019年の線を継続していくだろう。彼らにはまだニューウェイというF1で最高のデザイナーがいる」とジョルジオ・ピオラは語る。「もちろん、ホンダのエンジンがどうなるかを待たなければならない。だが、わずかに劣ったパワーでもレッドブルはメルセデスとフェラーリと戦うことができる」2021年にはF1に新しいレギュレーションが導入される。ジョジニオ・ピオラは白紙からF1マシンを設計できるときこそがエイドリアン・ニューウェイが真価を発揮するときだと語る。「彼らが再びそれを成し遂げることを期待している。レッドブルは新しいレギュレーションで常にそこにいた。2009年にブラウンGPはダブルディフューザーのコンセプトを生み出したが、レッドブルはすぐにそのレベルに達し、2013年まで支配することができた」