レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、2019年の空力レギュレーション変更によって1500万ユーロ(約18億6600万円)のコストが追加でかかったが、データ上では2019年F1マシン『RB15』のパフォーマンスレベルは、すでに昨年中盤の水準に達していると述べた。今年、F1はレースのクオリティの向上やオーバーテイクの増加を狙って、後続マシンがより接近できるように簡素化されたフロントウイングやバージボードなどを含む空力レギュレーションの変更が実施される。
レッドブルは、昨年5月にこれらの変更を推進していくと決定された際、裏付けされたデータがないこと、変更によってもたらされる財政的な影響を理由に反対の声を上げていた。ヘルムート・マルコは、フロントウイングの変更はオーバーテイクの見込みを改善するだろうとしつつも、空力レギュレーションの変更によって追加で1500万ユーロのコストがかかり、レッドブルのリサーチとシミュレーションによると、2019年F1マシン『RB15』のパフォーマンスレベルはすでに昨年中盤のパフォーマンスに達していると述べた。「空力データは昨年の夏と同じだ。メルボルンに着く頃にはおそらくそれ以上になっているだろう」とヘルムート・マルコは Autosport にコメント。「だが、今ではメルセデス、フェラーリ、そして、我々との間で議論のための良い基盤がある。我々はレギュレーションは技術者によって決定されるべきではないということで合意している」「技術者が関わるとすぐにコストが上がり、全てが複雑になる。物事は明確に述べられなければならない」レッドブルは、ホンダのF1エンジンはすでにルノーを上回っていると述べており、昨年と同等のシャシーにさらなる馬力が追加されれば、メルセデスとフェラーリとのタイトル争いに積極的に絡んでいけるかもしれない。レッドブル・レーシングは昨年まで予選で苦戦をしいられていたが、今年のホンダのF1エンジンにはメルセデスとフェラーリ同様に予選Q3で追加のパフォーブーストを得る“パーティモード”が備えられるとされている。また、ヘルムート・マルコは、ルール変更はF1のダブルタイトルを5連覇している“メルセデス主導”で行われたと語る。「誰もがメルセデスが他のクルマの後ろにいるときにオーバーテイクにどれくらい苦戦しているかを見ることができる」とヘルムート・マルコは述べ、2019年のレギュレーション変更の本質に対する不満はあるが、レッドブルの政治的関係は以前よりも強くなっていると言う。ヘルムート・マルコは、メルセデスとの良好な関係に加え、昨年夏にCEOのセルジオ・マルキオンネが急死したことを受け、レッドブルとフェラーリの間で“多くのシンパシー”が生まれた主張する。F1では2021年に予定されている大幅なレギュレーション変更にいついて話し合いが続けられており、F1の主要チームが重要な問題に対して足並みを揃えることができることは重要になる。F1の所有者であるリバティメディアは、F1の統治方法、F1チームへの分配金、技術レギュレーションの大幅な変更など、当初意図していた規制の見直しにおいて行き詰っている。ヘルムート・マルコは、リバティメディアが前向きな方法で合意させることに失敗している例として、予選制限とエンジン規約に関して進展がないことを指摘した。「我々は何も決めないことでゆっくりと批判的なフェーズに到達してきていると思う」とヘルムート・マルコはコメント。「私が非常に高い値段で株式を取得した上場企業のリバティならば、2021年にどう見えるかと予想していることをどこかの段階で株主に説明する必要が出てくるだろう」「収益の機会はどうなるのか? それはどのように継続されるのか?」レッドブルは、ホンダとのパートナーシップにおける初マシンとなる『RB15』の発表日はまだ明らかにしていないが、ヘルムート・マルコはプレシーズンテスト数日前にシルバーストンでお披露目する計画があることを明らかにしている。