レッドブル・レーシングのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、チームにはF1エンジンサプライヤーと“独自”の関係を築く必要があると考えており、ルノーがワークスチームを所有してそれを実現できなくなったことがホンダとの新たなパートナーシップを決断していた大きな要因だったと認める。レッドブル・レーシングは、ルノーのF1エンジンで2010年から2013年に両方のワールドタイトルを4連覇。しかし、2014年にハイブリッド時代に突入して以降、両社の関係は悪化していくことになった。
ルノーのF1エンジンのパフォーマンスと信頼性の低さは顕著となり、一旦レッドブル・レーシングは2015年シーズン限りで契約を打ち切ることを決定している。しかし、レッドブル・レーシングにエンジンを供給するメーカーは現れず、ルノーのエンジンに“タグホイヤー”のバッチをつけて搭載することで決着。さらに2016年にルノーがワークス復帰して以降、レッドブル・レーシングはカスタマー待遇となったことでその関係はさらに冷え切った。そして、レッドブル・レーシングは今週19日(火)、ルノーとの12年間にわたるパートナーシップを今シーズン限りで解消し、2019年から新たにホンダと2年間のF1パワーユニット供給契約を結んだことを発表した。「我々にはルノーとの時代で4つの異なるマネジメント体制を経験してきた」とクリスチャン・ホーナーはコメント。「それは慣習的ではなかったが、成功を収めた。それは我々がカスタマーパワーユニットでも勝てることを示した」「我々は57勝、150回の表彰台でそれを実証してきた。そして、我々はその道のりのなかでエンジン1基ごと全ての代金を支払ってきた」「将来についての我々の見解は、もはや独自にチームを所有しているシリル(アビテブル/ルノー チームプリンシパル)との状況とはわずかに違ってきている」「もちろん、最近ではエンジンは少し複雑になっているし、このチームではその統合にかなりに重点を置いている」「このビジネスにおいては我々全員が利己的だ。我々は自分たちのチームにとって正しいことにい集中したいと思っている」「ホンダとのこのパートナーシップは、共有することよりも、むしろレッドブルに焦点を絞った独自の結婚を可能にするものだ」2015年末にルノーは2000年から2010年まで所有していた“チーム・エンストン”を買戻し、人員とインフラに多大な投資をして競争力を回復させてきた。その一方でレッドブル・レーシングはカスタマー待遇を戦うことを余儀なくされた。レッドブルの姉妹チームであるトロロッソは、2018年にマクラーレンとの3年間のパートナーシップを解消したホンダにパワーユニットを変更。トロロッソ・ホンダのパートナーシップは、親会社であるレッドブルがホンダの施設、キャパシティ、開発の可能性をより密接に評価し、そして、レッドブルとのワークスパートナーシップの可能性を査定していくことを可能にした。Autosport の報道によると、ルノーは、2019年以降のエンジンとシャシーの機密性を保つために、レッドブルに対して将来のサプライヤーの決断を下すようかなりの圧力をかけていたという。「ルノーのワークスチームがそれを支持していなかったと言うつもりはないが、特にこのパワーユニット時代になってからそれはダイナミクスに変化をもたらした」とクリスチャン・ホーナーはコメント。「ルノーのプライオリティは明らかに彼ら独自のチームであり、彼らはそうすべきだと思う」「F1で最長の関係のひとつである12年間を経て、我々は正しいタイミングだと感じた」「この決定を軽視されたものではない。膨大の量の分析、多くのリサーチがこのために行われた」「我々はチームとビジネスがこの方向に進むためにもこれが正しい道筋であると判断した」レッドブル・ホンダのドライバーとして走ることが決定しているマックス・フェルスタッペンは、ホンダとパートナーシップを組むというチームの決定を信頼していると語る。また、ワークスパートナーシップにより、レッドブルのためにエンジンが開発されることは優位なことだと考えている。「僕は決定を信じている。契約したということはチームも確信を持っているってことだからね」とマックス・フェルスタッペンはコメント。「それに、ホンダがレッドブルとトロ・ロッソのためだけに働いて、純粋に自分のクルマのためだけにパワーユニットが設計されるなんてエキサイティングだ。それもかなりいいことだと思っている」しかし、レッドブル・レーシングは、シャシー側でホンダのF1パワーユニットの開発に制限を課すつもりはなく、シャシー側をホンダのF1パワーユニットに合わせていくとクリスチャン・ホーナーは語る。「我々の真言は『できる限り最高のエンジンを造ってくれ。パッケージ面でいかなる制限も課さない。我々がそれに合わせる』だ」「彼らには才能のある人材を採用してきたし、彼らが一緒に仕事をしているスペシャリストもいる」
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