ポルシェのワークスチームからスポーツカー世界耐久選手権(WEC)にエントリーする919ハイブリッドは、米国オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズで開催されたWEC第4戦において予選2位、3位という好位置からスタートし、6時間におよぶ決勝レースでは長時間にわたってリードしたものの、結果4位および5位に終わった。
予選で2位を獲得したLMP1クラスの919ハイブリッド(カーナンバー14)をドライブするロマン・デュマ(フランス)/ニール・ジャニ(スイス)/マルク・リーブ(ドイツ)組は、決勝レースでも好調さを見せつけ長くトップを走り続けましたが終盤でトラブルに見舞われ、4位でレースを終えた。もう1台のポルシェ919ハイブリッド(カーナンバー20)のティモ・ベルンハルト(ドイツ)/ブレンドン・ハートレー(ニュージーランド)/マーク・ウェバー(オーストラリア)組は、5位でフィニッシュした。スターティングドライバーを務めたデュマとウェバーは、レース序盤で早くも後退し1回目のピットストップ前には、それぞれ5位と6位を走行していた。最初の100分が経過すると、雨が降り出し急に水に浸かったコースでは、6台の車がスピンしてコースアウトしてスタックしたが、ティモ・ベルンハルトがステアリングを握るカーナンバー20のもそのうちの1台でした。混乱が生じたコースにはレッドフラッグが出され、レースは45分間中断された。セーフティカーの後からの再スタートでは、ジャニがドライブするカーナンバー14はスリック・インターミディエイトタイヤを選択していた。ジャニは間もなくリードを奪い、105周後にピットインし919ハイブリッドを託されたリーブはスリックでコースに復帰する。133周の後、リーブは最終の給油を行うべくリードを保ったままピットに入ったが、その後、エンジンパワーを失い4位に後退したままレースを終えた。カーナンバー20のベルンハルトは、フルウエットタイヤでグラベルから救出された後、レッドフラッグの後も走行を続けることができたが、彼もすぐにスリック・インターミディエイトタイヤに履き替えた。90周目に4位のままハートレーと交代。最後の30分で、ウェバーが再び車に乗り込み、最終的に5位でフィニッシュラインを通過した。ヴォルフガング・ハッツ (ポルシェAG 研究開発担当役員)「チェッカーフラッグの直前まで、今の週末は非常に期待感がもてるもので、私達はレース優勝を目指して戦いました。チームは優れた仕事をしたにもかかわらず、報われなかったのは残念です」フリッツ・エンツィンガー (ポルシェAGのLMP1プロジェクト トップ)「残念ながら、ここ数ヶ月の開発と素晴らしい予選結果をチャンピオンシップのポイント獲得に十分に活かすことができませんでした。ル・マンでの展開と同様、表彰台獲得、さらに言えば優勝のチャンスがありました。私達は、カーナンバー14のパワーダウンの原因を徹底的に分析し、富士スピードウェイでのレースに備えます」アンドレア・ザイドル (LMP1チーム監督)「レースの結果は、もちろん残念なものでした。厳しいレースで、コンディションも複雑でした。レース序盤は、ドライで気温も高く、リーダーのペースに追従することはできませんでしたが、雨の中で私達は驚く程の強さを発揮しました。再スタートでは、可能性を高めるために、それぞれ別の作戦を割り振りました。そして、カーナンバー14にスリック・インターミディエイトタイヤをチョイスし、リードを取ることができました。しかし、終盤にパワートレインにトラブルが発生し、表彰台を逃しました」LMP1クラス ポルシェ919ハイブリッド(カーナンバー14)ロマン・デュマレース序盤は30°を超える気温のため、多少苦戦しました。コースが空いていた周回では問題ありませんでしたが、トラフィックではアンダーステアが強すぎました」。ニール・ジャニ「雨が降り出してからは、どうにもなりませんでした。最初は、1つのコーナーだけがウェットになったのですが、すぐにサーキットのあらゆる場所が水浸しになりました。私は上りに差し掛かったところでスライドしました。グラベルトラップを超えて、芝に突っ込み、コースに戻りました。再スタートはスリック・インターミディエイトタイヤで行くという判断は正解でした。熱さのためサーキットがすぐにドライになることを願っていました。自分はこのタイヤを本当に上手く使い30秒以上のリードを持って車を渡しました。作戦はすべて正しく機能し、チームはすばらしい仕事をしました」マルク・リーブ「厳しい戦いでした。ロマンとニールは良いレース運びをしました。ポルシェ919ハイブリッドをトップで受け取ったことは、素晴らしいことでした。しかし、私がピットストップした後、エンジンが急にパワーダウンしたため、最後までリードを守り切ることができませんでした。チームは車をしっかりと準備してくれました。私達は本当に表彰台に上ってしかるべきでした」LMP1クラス ポルシェ919ハイブリッド(カーナンバー20)ティモ・ベルンハルト「今日は、ついていませんでした。雨が降り出すまで、スティントの出だしは好調でした。私はスリック・インターミディエイトタイヤを選択しましたが、ピットレーンで急に雨が激しくなりました。私は自分が浮いているのに気付きました。まるで乗客のような気分でした。セーフティカーの後からの再スタートでは安全策を取り、フルウエットタイヤで臨みましたが、これが不利に働いてしまいました。その後、スリック・インターミディエイトタイヤに換えたあとは、何も問題ありませんでした。これがレースというものです」ブレンドン・ハートレー「ティモから車を受け取った時点で、すでに1周遅れでした。ポルシェ919ハイブリッドは強い印象を与え、昼も夜も両方ともドライビングを愉しむことができました。担当スティントの途中にはコース上の大きな破片に衝突し、エアロダイナミクスに多少の影響が出てしまいました」マーク・ウェバー「最初、アウディとよいバトルをしました。しかし、トラフィックでは彼らの方が明らかに余裕があり、簡単にさまざまなラインを取ることができていました。一時的に、フルブーストが使えなくなりましたが、走行中に解決することができました。レース序盤の高温と、その後のそれぞれのスティントにも我々が多くを学んだのは間違いありません」
全文を読む