ピエール・ガスリーは、2019年にレッドブル・レーシングへと移籍する。2016年シーズン末にF1デビューを逃したピエール・ガスリーは、2017年シーズンは先が見えない中で日本のスーパーフォーミュラに参戦していた。しかし、状況が変化し、ようやくF1に挑むチャンスを与えられた。
そして、2018年シーズンにトロロッソ・ホンダからフル参戦デビューして目覚ましい活躍を続けてきたピエール・ガスリーだが、今度は、同年シーズン限りで離脱するダニエル・リカルドに代わり、2019年シーズンからレッドブル・レーシングへ加入することになった。F1のキャリアはまだ短いが、ピエール・ガスリーはそのドライビングの正確さで高評価を得ている。決意に満ちたこの若きフランス人ドライバーについて知っておくべき8つのトリビアをまとめてみた。1. 早くからジュニアカテゴリーで活躍自らの夢を追うため、ガスリーは弱冠13歳で故郷ルーアンを出た。サッカー選手を夢見るパリ・サンジェルマンのサポーターだった彼がレースの世界を初めて知ったのは、2006年シーズンに参戦したフランス・ミニム・チャンピオンシップ(カート選手権)だった。その後、2009年シーズンに国際舞台へ進出した彼は、参戦したシリーズで次々とタイトルを獲得。2013年シーズンのフォーミュラ・ルノー・ユーロカップで優勝すると、レッドブル・ジュニアチームへ正式に招かれた。2. F1参戦までの紆余曲折2016年シーズンのGP2シリーズで、ガスリーは最終戦アブダビで見事な逆転劇を演じ、GP2(現在のF2)最後のチャンピオンを勝ち取った。このパフォーマンスから、ガスリーの2017年シーズンからのトロロッソ昇格とF1デビューは確実と見られていたのだが、当時トロロッソに在籍していたダニール・クビアトが復調を見せたため、クビアトがもうしばらくシートを維持することになった。F1デビューが幻となった当時、ガスリーは「怒りと落胆、悲しみが交錯していた」と語った。強い信念を持つ若きフランス人ドライバーは、その後日本へ向かい、スーパーフォーミュラで2017年シーズンを過ごすことになった。3. 不屈の意志しかし、ガスリーはついにチャンスを手にした。2017年シーズン終盤のマレーシアGP、不振のクビアトに代わってガスリーがトロロッソのシートへ収まることになったのだ。そしてその決勝を14位で完走し、上々の結果を残した。カルロス・サインツ Jr.の2017年シーズン限りでのトロロッソ離脱が決定しており、さらにはクビアトもチームを追われたため、ガスリーはWECから引き抜かれたブレンドン・ハートレーと共に2017年シーズン終盤5戦のうち4戦を走った。そして年シーズン最終戦アブダビGPの直前、2018年シーズンからのF1フル年シーズン参戦が決定した。4. 偉大な先人たちと同じ道を歩んでいるガスリーがGP2タイトルを獲得した瞬間、彼の名前は、ニコ・ロズベルグ、ニコ・ヒュルケンベルグ、ルイス・ハミルトンといった歴代GP2チャンピオンたちと共にトロフィーへ刻まれた。しかし、2018年シーズンのバーレーンGPで4位入賞を果たした瞬間は、ガスリーにとって単なる殊勲のリザルト以上の意味があった。4度のワールドチャンピオンを誇るセバスチャン・ベッテル、マックス・フェルスタッペン、サインツ Jr.と並び、ガスリーはトロロッソの歴代ベストリザルトを記録したドライバーリストに名を連ねることになった。さらに彼はモナコGP(7位)、ハンガリーGP(6位)でもポイント獲得を重ね、レッドブル・レーシング加入発表直後のベルギーGPでも9位入賞を果たした。5. 資金に頼らずに道を切り開いてきた裕福な家庭の出身ではないガスリーは、キャリアのあらゆる局面でハードワークを強いられてきた。あるインタビューで、彼はその厳しさを次のように語っている。「僕にはマネージャーがいなかったから、資金の豊富なドライバーたちに対して孤立無援で戦いを挑み、自分の地位を築こうとしていた… マネージャーを雇ったり、シートをお金で買ったりしないでここまでステップアップできたのは本当に嬉しい」「なぜなら、今の時代は大きな資金がないドライバーが成功するのは極めて難しいからね。後進の若いドライバーたちに、資金不足でもトップカテゴリーに手が届くことを示せたという意味でも良かった。資金だけがものを言うわけではないんだ」6. 時にはギャンブルを楽しむ質素を是として育ってきたせいか、ガスリーは自分が厳しい金銭感覚の持ち主だと認めている。しかし、時には賭け率の高いルーレットゲームを楽しむこともあるという。「ルーレットは、レーシングカーのドライブ以外では得られない興奮を与えてくれるんだ」とガスリーは語っている。とはいえ、彼がカジノでのチップ集めよりレースでのトロフィー集めに興味を注いでいるのは明らかだ。7. 率直な心情の吐露を厭わない2018年シーズンのイギリスGPで、ガスリーはセルジオ・ペレス(フォース・インディア)との接触でペナルティを科された。10位争いをする中で、ガスリーがペレスをコース外に押し出したのだが、レース後の審議の結果、13位への降格処分が下された。この裁定に対するガスリーの反応は、怒りに満ちたものだった。「5秒ペナルティなんてありえないよ! 毎週末のようにペナルティ対象にならない接触が起こっているけど、接触はレースの一部だし、これがレースをエキサイティングにしているんだ!」「きわどい接戦だったし、僕はそれを楽しんでいた。シンプルにレースをさせてほしいし、不可解なペナルティは一切やめにしてほしいね! 僕はこれからも戦い続けるよ」8. F1デビューイヤーに濃密な経験を重ねているルーキーとして素晴らしいリザルトを残してきたガスリーだが、F1という厳しい戦いの場でのミスコミュニケーションという落とし穴について学ぶ必要があった。シーズン序盤の中国GPで、ガスリーはトロロッソの同僚ブレンドン・ハートレーとの接触事故を起こし、コース上にマシンパーツの破片を撒き散らしたとして10秒加算ペナルティを科された。しかしながら、彼はチームメイト同士の接触を水に流し、真の成長ぶりを見せた。「お互いの誤解があったんだと思う。おそらく、僕が予測していた彼の行動と、彼が予測していた僕の行動に食い違いがあったんだろうね」
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