安全性を向上させるため、2011年からF1マシンに装着されるホイールテザーの数が2倍になる。近年、F1ではクラッシュなどによりホイールがクルマから外れる事故が急増している。先週末F1ドイツGPでは、予選でヴィタントニオ・リウッツィがクラッシュし、クルマから外れた左フロントホイールが、後続のティモ・グロックに当たりそうになった。
4月の中国GPでは、フリー走行でセバスチャン・ブエミのフロントサスペンションが破損し、両方のフロントホイールが飛んでいくというアクシデントがあった。どちらの事故も怪我には繋がらなかったが、マクラーレンのエンジニアリングディレクターであるパディ・ロウは、レギュレーションの改定が必要だと述べている。昨年のブランズハッチでのF2では、ヘンリー・サーティースが、クラッシュしたクルマから外れたリアタイヤがヘルメットに直撃し、命を落としている。「ホイールテザーは、我々が非常に懸念しているものだ」とパディ・ロウは語る。「昨年、ヘンリー・サーティースの悲劇的な事故があった。そして、テザーが導入されたときに我々が想定し、規約が意図した以上にホイールが頻繁にF1マシンから外れているのをみている。機能してはいるが、信頼性は十分ではない」パディ・ロウは、テクニカルワーキンググループが2011年に行動を起こすことに合意したと語る。「我々の仕事のひとつは、絶えず安全性に取り組むことであり、我々は来年に実施することに合意した。それはレギュレーションに記載される。全方面に第2のテザーが導入される」「各テザーの信頼性を100%にするよりも、我々が確認したことは、それらが機能しないときは、事故の特性にとっていくつかの理由でそれらが切れていたということだ。我々が考えていることは、各方面に独立して働く2つのテザーがあれば、1つもしくは2つが生き残り、劇的に改善するということだ」ホイールテザーホイールテザーとは、クラッシュ時にタイヤが飛散するのを防ぐために、ホイールとシャシーを繋ぐワイヤーを指す。F1では、1998年のF1ベルギーGPのスタートでの多重クラッシュをきっかけに1999年から義務化されたが、2000年にコースマーシャルが死亡する事故が起きたことで、2001年から各タイヤに2本ずつをテザーを取り付けるこが義務付けられた。ホイールテザーには、ザイオンと呼ばれる非常に強度の高い繊維が使用される。