F1名門チームが作り上げたサーキット専用マシン「ブラバム BT62」が、マウント・パノラマのクローズドカーでのラップレコードを更新。名門復活の狼煙をあげた。ブラバム・オートモーティブは、3度のF1ワールドチャンピオンであるジャック・ブラバムの息子で、自身もF1に参戦したデビッド・ブラバムがかつてのF1チームの名を冠して創設したオーストラリアの自動車ブランド。
そのブラバム・オートモーティブが生み出した「ブラバムBT62」は、2018年5月に100万ポンド(約1億3800万円)で発売。最高710馬力を発揮する5.4リッター 自然吸気V8エンジンを搭載し、乾燥重量972キロという超軽量のカーボンファイバー製ボディは最大1200キロものダウンフォースを発生させる。ブラバム・オートモーティブは、バサースト12時間レースが開催されているマウント・パノラマでブラバム BT62によるデモ走行を実施。ルーク・ユールデンがステアリングを握り、タイムアタックを敢行した。ベンチマークとなるタイムは、昨年のチャレンジ・バサーストでアウディ GT3カーでクリストファー・ミースが記録した1分59秒だったが、ブラバムBT62はそれを上回る1分58秒68をマーク。非公式とはなるものの、マウント・パノラマのクローズドカーによるラップレコードを更新した。ちなみにマウント・パノラマの非公式ラップレコードは、2011年に現在SUPER GTに参戦するジェンソン・バトンがマクラーレンのF1マシンで記録した1分48秒8となっている。運転したルーク・ユールデンは、実際にはもっとタイムを縮められた可能性があると語る。「チャンスを与えてくれたブラバムに感謝している。ブラバムでバサーストのラップレコードを破れるなんて、おそらく一生に一度のことだろう。興奮しているよ」とルーク・ユールデンは Autosport にコメント。「でも、これにがっかりしないようであれば、僕はレースドライバーにはなっていなかっただろう。僕たちはあのラップでいくつか問題を抱えていた。もっと多くのポテンシャルがある。ポテンシャルをフルに示すことができなかったのはちょっと残念だ。余裕で1分57秒台はさせたと思うし、もしかしたら1分56秒台も可能だったかもしれない」「リスクを冒せる部分はもっとたくさなんる。200万ドルのクルマだし、あまり馬鹿げたことをするつもりはなかかった。プッシュはしたけど、少しマージンを残していたよ」デビッド・ブラバムは、彼のクルマがベンチマークタイムを破ったのを見るのは感動的な経験だったと述べた。ブラバム BT62のラップは公式セッションのものではないので、公式ラップレコードとしては記録されない。「クルマ、そして、その背後にいるチームのことを非常に誇りに思っている」とデビッド・ブラバムはコメント。「テストをする時間がほんの少ししかなかったことを考えれば、ここに来て、ブラバムが本来いる場所であるトラックに戻り、そして、オーストリアの象徴的なこのトラックに来て、あのようにマシンがレコードを破るのを見るのはかなりクールがことだ」「胸がいっぱいになった。それについては疑いの余地はない。私の父の時代、そして、彼が成し遂げたことに戻り続けている。我々は今、ブラバムにとっての新しい章を作っている。これは旅の始まりだ。次を楽しみにしている」ブラバムは、2021/2022シーズンのFIA 世界耐久選手権のGTEプロクラスへの参戦を表明しており、それに先駆けていくつかのレースにBT62で参戦することを計画している。