映画『F1/エフワン』が、2026年の第98回アカデミー賞で4部門にノミネートされた。対象となったのは、作品賞、編集賞、音響賞、視覚効果賞の4部門で、モータースポーツ映画としては異例の評価となる。授賞式は3月15日にロサンゼルスで開催され、F1中国GPの週末と重なる日程だ。ブラッド・ピットが主演を務めた同作は、2025年の劇場公開後に世界的ヒットを記録し、全世界興行収入は6億ドルを突破。
これは2013年の『ワールド・ウォーZ』を上回り、ブラッド・ピット主演作としても最高興収作品となった。監督は『トップガン マーヴェリック』で知られるジョセフ・コシンスキー、プロデューサーはジェリー・ブラッカイマー。さらに、7度のF1ワールドチャンピオンであるルイス・ハミルトンも製作に名を連ねている。作品は実際のF1レース週末に広範囲で撮影が行われ、そのリアリティが高く評価された。作中でピットは、かつてF1を去った元ドライバー、ソニー・ヘイズを演じる。ヘイズは現役復帰を果たし、新人ドライバーのジョシュア・ピアース(ダムソン・イドリス)とともに、架空のチーム「APXGP」で戦う設定だ。このAPXGPは実際のF1イベントにも組み込まれ、2023年のイギリスGPではフォーメーションラップで実際に最後尾に並ぶ演出が行われた。映画のローンチ時、ピットは長年の思いをこう語っている。「私は20年間、レーシング映画を作ろうとしてきた。バイクも、クルマも、いろいろな分野で試してきたが、なぜか実現しなかった。」「そこに大きな後押しが生まれ、F1への関心も高まり、アップルのような企業が本格的に支援してくれる状況になった。」さらにピットは、コシンスキー監督とブラッカイマーの存在が作品の方向性を決定づけたと振り返る。「『マーヴェリック』を終えたばかりのジョーとジェリーが、『これまでで最もリアルなレーシング映画を作りたい』と言った。それこそが、我々が成し遂げたことだと思っている。」作品賞ノミネートは、モータースポーツ映画にとって極めて珍しい出来事だ。スポーツ映画として最後に作品賞を受賞したのは、2004年の『ミリオンダラー・ベイビー』までさかのぼる。この評価は、F1にとっても商業的・文化的成功を象徴するものとなった。リバティ・メディアは以前、本作が約5億ドル規模の一時的な収益押し上げ効果をもたらし、2025年のチームへの賞金分配が過去最高水準に達した一因になったと説明している。なお、こうしたアワードでの勢いを背景に、続編制作に向けた初期的な協議も始まっている。ジョセフ・コシンスキー、アップル、そしてルイス・ハミルトンの各関係者が、続編の可能性について話し合いが行われていることを認めている。