イギリスGP決勝はアレックス・リンスがスリリングな優勝を決める2019年シーズン12戦目となるイギリスGPは、最高のコンディションの下、5万人の熱狂的ファンに見守られて幕を開けた。決勝日のシルバーストンサーキットは晴天に恵まれ気温も上昇、路面温度は45℃を超え、ほとんどのライダーがフロント、リア共にハードタイヤのコンビネーションを選択。
5番手グリッドからスタートを切ったアレックス・リンスは1コーナーを3番手で通過。その直後、リンスのすぐ後ろで2台が大転倒を喫したがレースは中断されることなくそのまま進行。リンスはオープニングラップを3番手で通過した後、2周目に前を走るロッシ(ヤマハ)をオーバーテイクし、何度かファステストラップを刻みながら安定した速いペースで周回を重ねる。リンスは残り12周でトップを走行するマルケス(ホンダ)にアタックを開始。リンスとマルケスは何度か順位を入れ替え、その後マルケスはリンスを引き離そうとペースを上げるが、リンスもまたペースを上げ、ふたりの距離は広がることなくレースは終盤に差し掛かる。残り4周でリンスがミスをし、勝負が決まるかに見えたものの、リンスは最後までオーバーテイクのチャンスを諦めず、迎えた最終ラップの最終コーナーでマルケスのインを差し、ゴールラインでは僅差でマルケスの前でチェッカー。リンスの優勝はアメリカズGPに続く2勝目となり、チャンピオンシップランキングでは3位に浮上した。ジョアン・ミルの代役参戦となったシルバン・ギントーリもまた素晴らしいパフォーマンスを見せ、数人のレギュラーライダーを押さえて12位でゴールして4ポイントを獲得した。河内 健 テクニカルマネージャー「本当に素晴らしいレースでした。シルバーストンは、やはり我々のマシンと相性が良いのだとは思いますが、今日はライダーの頑張りとチームの頑張りにより、真っ向勝負で勝てたことが大きな価値だったと思います。シルバンも代役参戦でしっかりポイント圏内で完走してくれましたし、何より彼とテストチームの仕事の成果が今日の優勝だと思うので、彼らにも心から感謝の気持ちを伝えたいです。ライダー、チーム、そして日本で開発をしてくれているエンジニア、さらにこのプロジェクトに関わっていただいている全ての皆で勝ち取った勝利だと思いますので、今後も皆で努力を続けて上を目指したいと思います。早くジョアンにも復帰してもらい、ふたり揃って上位でバトルできるよう頑張りますので、引き続き応援をよろしくお願いします。」ダビデ・ブリビオ チームマネージャー「アレックスがマルケスと今日のようなバトルをしてくれる日が来ることをずっと願っていましたが、今日はそれがとうとう実現しました。本当に素晴らしい勝利だったと思います。アレックスは序盤からマルケスの後ろにつき、冷静に彼の走りを見ながらオーバーテイクのチャンスを狙うという非常に賢明なレースを行いました。完璧なレースだったと言っても過言ではないでしょう。マルケスに勝つことは決して容易ではないので、まさに最高の気分です。そして今日はテストライダーとして常に我々のマシン開発に尽力してくれているシルバンも素晴らしいパフォーマンスでポイントを獲得できました。全てはチームスタッフと日本で開発に尽力してくれている皆の努力のお陰です。」アレックス・リンス「最高な気分だよ。アメリカではバレンティーノを抑えて優勝して、今日はマルクを抑えて優勝できたなんて自分でも本当に信じられないくらいさ。 どっちもGP界の真のレジェンドだからね。マルクに勝つのが簡単じゃないことは覚悟していたけど、今日はとにかく全力でトライした。だからこの優勝は自分にとっても大きな自信になったよ。マルクの後ろを走っていて、いくつかのセクターは彼の方が速かったけど、違うセクションでは追いつくことができた。終盤は自分の方が少しだけペースが速かったから、このチャンスを逃すな!行くしかない!って自分に言い聞かせてタイミングを狙っていて、最後にそのチャンスが訪れたんだ。素晴らしい仕事をしてくれたチームの皆に心から感謝するよ。」シルバン・ギントーリ「今日は良いレースができたと思う。レースを通してペースも悪くなかったし、終盤もペースを落とすことなく走れたしね。ポイント圏内で完走することが目標だったから、12位なんて目標以上の結果さ。アレックスの優勝は本当に素晴らしかった。チームの努力が報われる瞬間を自分もシェアすることができて、僕にとっても最高の週末になったよ。」
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