チェコGPはリンスが表彰台争いの末、4位フィニッシュ前日の雨模様が一転し、朝から青空が広がったチェコGP決勝日。チームスズキエクスターの3人のライダーはそれぞれ午前のウォームアップでドライコンディションのレースセットアップを決め、決勝に向けての準備が完了。しかし決勝前、ブルノサーキット上空に突然暗雲が立ち込め、激しい通り雨が降った。
ライダーは定刻通りグリッドに着くも、雨が上がって乾き始めた路面は場所によって状態が違い、レースディレクションがライダーの安全性を考慮してレースディレイを決定。40分後にクイックスタート方式でレーススタートとなった。レースはウェットパッチが残る路面状況でスタート。しかし、わずか1周目の4コーナーでモルビデリ(ヤマハ)が他車と接触して転倒。転倒した車両はアウト側に流れ、モルビデリのアウトラインにいたジョアン・ミルは転倒車両を避けられず、そのまま巻き込まれて転倒し、スタートからわずか数十秒で痛恨のリタイヤとなる。幸いミルに怪我はなかった。一方アレックス・リンスは好スタートを決めて4台のトップグループの最後尾につける。ウェットパッチの残る路面で、リンスは慎重かつスムーズな走りで徐々に3番手のミラー(ドゥカティ)に迫り、ファステストラップタイムを記録する直前にミラーをオーバーテイク。その後トップ4台の順位は入れ替わりなくリンスはラスト2周まで3番手をキープするが、終盤リアタイヤのグリップに苦しみ、4番手のミラーにオーバーテイクを許し、4位でレースをフィニッシュ。しかしチャンピオンシップでは3位のペトルッチ(ドゥカティ)との差を僅かに縮める結果となった。また、ワイルドカード参戦のシルバン・ギントーリは決勝を20位で完走。再びチームに貴重なデータをもたらした。河内 健 テクニカルマネージャー「アレックスに関しては非常に悔しいレースでしたが、前戦2戦連続で転倒リタイヤに終わっているので、そういった意味では再びトップグループで走り、4位で完走できたことはシーズン後半戦の始まりとしては悪くない結果だと思います。一方ジョアンですが、他車の転倒に巻き込まれ、残念ながら早々にレースを終えてしまいました。良いスタートを切って本人も自信があっただけに非常に残念です。今週はワイルドカードでシルバンが参戦しましたが、テストチームからの色々な協力もあり、我々も良いレースを組み立てることができました。早く表彰台に戻り、強いレースを続けていきたいと思いますので、引き続き応援よろしくお願いします。」ダビデ・ブリビオ チームマネージャー「今日はアレックスが終始トップグループでバトルをし、まさに我々が目指している通りの展開だったので結果には満足しています。タイヤマネージメントが難しいことはあらかじめ予想していましたし、もちろんそれは他のライダーも同様ですが、アレックスはそこをうまくマネージメントして4位という上位フィニッシュを遂げてくれました。ジョアンにとってはとても残念な結果でしたが、あの状況で他車の転倒から逃れる術はなかったので仕方ないでしょう。次戦オーストリアは我々にとってあまり相性の良いサーキットではありませんが、少しでも良い条件で走れることを願っています。」アレックス・リンス「スタートから最後まで前を走るドビツィオーゾ(ドゥカティ)を必死で追いかけ続け、表彰台まであと一歩というところだったのに、終盤にひとつ順位を落としてしまった。ラスト5ラップでタイヤのグリップが急激に落ちてしまい、どうすることもできなかったんだ。表彰台を逃してしまったことはもちろん悔しいけど、前の2戦が転倒リタイヤだったから、4位で無事に完走できてよかったと思っている。明日のテストで新しいパーツを色々とテストする予定なので、来週のオーストリアではまた新たな気持ちでウィークをスタートするつもりさ。」シルバン・ギントーリ「決勝は思いの外苦戦したけど、この週末は総じてポジティブだったと思う。FP1、FP3ではペースも良かったし、久しぶりにライダーとしてテンションが上がったしね。明日からの事後テストでまた色々と試して、チームのために少しでも多くの情報を提供できるように全力を尽くすよ。」ジョアン・ミル「スタートでモルビデリの外側にいて、彼が転倒した時は逃げようがなかったんだ。グリッド後方からスタートするとこういったリスクは常にあるけど、こんな形で1周もせずにレースを終えることになってしまって本当に残念だよ。ドライコンディションで走った今朝のウォームアップのフィーリングが良かったから決勝を楽しみにしていたけど、これもレースだから仕方ないね。気持ちを切り替えて来週のオーストリアでまた頑張るよ。」
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