不安定なコンディションに翻弄され続けたMotoGP フランスGPは、チームスズキエクスターライダーのふたりを最後まで苦しめ、ジョアン・ミルは3度の転倒、アレックス・リンスはチャンピオンシップポジションを死守する懸命なバトルと、それぞれが厳しい闘いを強いられることとなった。シーズン第5戦を迎えたル・マンサーキットでの決勝は、天気予報に反し雨は逃れたものの、気温が上がらず寒い1日に。
ウォームアップラップがスタートし、ライダー達が一斉にコースに飛び出してしばらくすると、ふたりのライダーがほぼ同時に転倒。映像に映し出されたのはミルとアブラハム(ドゥカティ)だった。ミルはすぐにピットに戻ったが、スタートシグナルはすでに消えた後で、素早くスペアマシンに乗り換えてピットレーンから遅れてスタートを切る。ミルは最後まで孤独な闘いを続け16位でゴール。しかしこの週末はテクニカルなル・マンサーキットでウェットの難しいコンディションを経験し、さらに経験値を上げた。一方、決勝を後方19番手からスタートしたアレックス・リンスは、27周のレースで徐々に順位を上げ、ミスを避けて安定したリズムを刻み10位でゴール。チャンピオンシップは3番手に順位を落とすが、確実にポイントを追加し、次戦に挑む。河内 健 テクニカルマネージャー「我々スズキにとって非常に厳しい週末でした。アレックスは悪いグリッドポジションから全力で挽回してくれましたが、それでも10位という結果がやっとでした。決勝中のパフォーマンスも決して満足のいくものではなかったので、今回の結果をしっかり解析して、次からリスタートしたいと思います。ジョアンはサイティングラップの出来事が何故そうなってしまったのか、まだはっきり掴めていないのですが、まずはライダーに怪我がなく、完走してくれたことが唯一救いだと思っています。これから転倒の原因を調査し、二人とも次のムジェロでまた新たなスタートを切れるようしっかりと準備して挑みたいと思います。」ダビデ・ブリビオ チームマネージャー「今週末は我々チームにとってかなり苦戦の週末でしたが、アレックスは確実にポイントを追加して、そのお陰でチャンピオンシップランキングをひとつ落としただけで済みました。ジョアンはウォームアップラップでの転倒によってピットスタートとなり、さらに苦しいレースを強いられてしまいましたが、そこから学ぶことも多くあったと思っています。時には思うように事が運ばないのがレースですが、そんな中でもアレックスが着実にトップ10でフィニッシュしたことを誇りに思いますし、前向きな気持ちで次のムジェロに向かいたいと思っています。」アレックス・リンス「今週末は予選の戦略ミスもあったし、色々なことが思うようにいかなかった。自信もあったし、自分ではもっともっと良い結果を残せると思っていたから残念だよ。予選の挽回を決勝でするつもりだったのに、コーナーの進入が思うようにいかなくて予想以上に苦戦し、10位が精一杯だった。でも今日はコンディションのせいで転倒のリスクが高かったし、実際Moto3、Moto2でも多くのライダーが転倒していたから、6ポイントを獲得できたことをポジティブに考えるようにするよ。まだまだシーズンは長いし、次に向けて気持ちを切り替えてまたムジェロでは全力で頑張るよ。」ジョアン・ミル「ウォームアップラップでの転倒は残念としか言いようがないよ。ハードなブレーキングをしたわけでもないし、ブレーキングが早すぎたわけでもなかったから、どうしてあんなことが起こったのか自分でも理解できないんだ。タイヤが十分に温まっていなかったのかも知れないね。今週末は4度も転倒してしまったけど、自分ではプッシュしすぎた感覚はなかったから、原因をしっかり追求して、もう一度初心に戻って学ぶべきことをしっかり学ばなくちゃいけないと思っている。次のイタリアGPが待ち遠しくて仕方ないよ。」
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