マルク・マルケスがMotoGP第12戦チェコGPのスプリントレース(ブリノ)で、ペドロ・アコスタとの異様な駆け引きを制して優勝を飾った。レース後にはフロントタイヤの空気圧規定に関する調査が行われたが、処分は下されず、勝利はそのまま認められた。この日、マルケスは意図的にトップを譲るという“戦術”を敢行。これは最低空気圧の3周連続クリアというルールに対応するためだったと見られる。終盤には再びアコスタを抜き、チェッカーを最初に受けた。
レース直後、マルケスのマシンは「10周のうち最低3周の空気圧基準」を満たしたかどうかの疑いで調査対象となった。しかしマルケスは「だから笑ってるんだ」と自信を見せ、最終的にペナルティは科されなかった。同様に調査対象となった小椋藍とアレックス・リンスも処分なしとされた。実はマルケスは、2025年の開幕戦タイGPでも同様の理由でトップを一時譲る作戦を行っている。今回の事態の背景には、MotoGPが2020年を最後に開催していなかったブリノでの走行データが極めて限られていたこと、さらに再舗装により路面が高速化していたことも影響したと考えられる。この勝利により、マルケスは今季12戦中11勝目を挙げ、ランキングでは2位に95ポイント差をつけて首位を独走している。マルク・マルケスはフロントタイヤの空気圧規定を意識して一時的に順位を譲ったが、終盤に再び逆転して勝利を手にした。一方、ポールポジションからスタートしたフランチェスコ・バニャイアは、マルケス同様に意図的に後退する動きを見せ、アコスタを先行させた直後にエネア・バスティアニーニに競り負けて順位を落とした。最終的にファイナルラップでラウル・フェルナンデスに交わされ6位。表彰台争いからは脱落した。表彰台の残り2席を巡っては、バスティアニーニとマルコ・ベゼッチが接戦を繰り広げたが、最終的にはバスティアニーニが3位を死守。ベゼッチは一時前を走っていたが、ファビオ・クアルタラロがややワイドに膨らんだ隙に飛び込んだところでラインを失い後退した。クアルタラロは最終的に5位でフィニッシュ。トラックハウス・アプリリアのラウル・フェルナンデスが6位に食い込み、ホンダのヨハン・ザルコが7位で同陣営唯一のポイント獲得者となった。怪我からの復帰戦となったホルヘ・マルティンは中盤までポイント圏内を走行したが、終盤にペースが落ち、残り3周でKTMのポル・エスパルガロに抜かれて9位に後退。その後ブラッド・ビンダーにも交わされ、11位でチェッカーを受けた。アレックス・マルケスは今季最悪のスプリントとなり、スタート直後から大きく順位を落とした。ファビオ・ディ・ジャンアントニオは下位走行中にクラッシュしてリタイア。ホンダのジョアン・ミルも好グリッドからの後退が止まらず、ターン3でコースオフして勝負権を失った。序盤でレースを終えたのはテストライダー勢のアウグスト・フェルナンデスと中上貴晶。後者は、リヤが滑ったフェルナンデスに巻き込まれるかたちで激しい接触を受け、クラッシュに見舞われた。MotoGP チェコGP 決勝結果1.マルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム)2.ペドロ・アコスタ(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)3.エネア・バスティアニーニ(レッドブルKTMテック3)4.マルコ・ベゼッチ(アプリリア・レーシング)5.ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム)6.ラウル・フェルナンデス(トラックハウスMotoGPチーム)7.フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)8.ヨハン・ザルコ(カストロール・ホンダLCR)9.ポル・エスパルガロ(レッドブルKTMテック3)10.ブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)11.ホルヘ・マルティン(アプリリア・レーシング)12.ジャック・ミラー(プリマ・プラマック・ヤマハMotoGP)13.ミゲール・オリベイラ(プリマ・プラマック・ヤマハMotoGP)14.フェルミン・アルデグエル(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP)15.ルカ・マリーニ(ホンダHRCカストロール)16.小椋藍(トラックハウスMotoGPチーム)17.アレックス・マルケス(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP)18.アレックス・リンス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム)19.ジョアン・ミル(ホンダHRCカストロール)リタイア― ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(プルタミナ・エンデューロVR46レーシング・チーム)― 中上貴晶(イデミツ・ホンダLCR)― アウグスト・フェルナンデス(ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チーム)