2019年のMotoGP 第2戦 アルゼンチンGPが、3月29日(金)~31日(日)までの3日間、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスの北東約1,200kmに位置するアウトドローモ・テルマス・デ・リオ・オンドで行われる。当地での開催は今年で6回目となる。テルマス・デ・リオ・オンドは、サンティアゴ・デル・エステロ州の州都サンティアゴ・デル・エステロから約65kmに位置し、温泉が出ることから、アルゼンチン国内ではスパリゾート地として知られている。また、このサーキットからはアンデス山脈の雄大な景色を望むことができる。
アウトドローモ・テルマス・デ・リオ・オンドが完成したのは2008年。その後、13年に大幅な改修が行われ、同年8月には初の世界選手権となる世界ツーリングカー選手権(WTCC、現WTCR)が開催された。そして、翌年の14年4月には、ロードレース世界選手権(WGP)が初めて開催された。初開催の14年の決勝日は5万2,749人(3日間の合計で12万5,961人)。15年は5万234人(同合計で13万360人)。16年は5万1,535人(同合計で13万6,969人)、17年は6万1,223人(同合計で16万7,398人)、18年は6万3,305人(3日間:17万1,604人)と観客数は着実に増加している。テルマス・デ・リオ・オンドは人口2万5,000人の小さな街だが、アルゼンチンGPには毎年大勢のファンが詰めかけ、この国の一大イベントの一つに成長し、地元の経済発展に寄与している。そのため、ファンはもちろんのこと、レース関係者にとっても宿泊施設などを確保するのが非常に難しい大会の一つ。宿泊施設を確保できないファンたちが夜を徹してお祭り騒ぎを楽しむイベントとなっている。アウトドローモ・テルマス・デ・リオ・オンドは、ほぼ平坦な土地に作られた一周4.806kmのコースで、メインストレートが1.076kmと長く、中高速コーナーが続くシンプルなレイアウトとなっている。アルゼンチンGPのスタートは、ブエノスアイレス郊外のアウトドローモ・オスカル・ガルベスで1961年に初めて開催され、99年まで断続的に計10回開催された。テルマス・デ・リオ・オンドに舞台を移してから今年で6年目となり、アルゼンチンGPは通算16回目の開催となる。テルマス・デ・リオ・オンドに舞台を移した過去5年間では、3年連続(通算5回)チャンピオンのマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、予選では14年から17年まで、4年連続でポールポジション(PP)を獲得している。昨年は不安定な天候の中で6番手と初めてPPを逃したが、コース攻略という点では、ライバルを圧倒してきた。決勝でも、14年、16年は優勝したが、15年は他車と接触して転倒リタイア、17年も転倒リタイアに終わっている。いずれも優勝争い、もしくはトップを快走していながらの転倒という悔しい結果だった。そして昨年は、混乱したスタート進行の中で、スタート方法に違反があったとしてライドスルーのペナルティーを科せられた。そのため、ほぼ最後尾となる19番手までポジションを下げたあと、すばらしい追い上げをみせて5番手まで浮上したが、他車との接触でタイムが加算されるペナルティーで18位、ノーポイントという悔しい結果だった。こうして過去5大会で圧倒的なスピードを見せてきたマルケスだけに、今年は3年ぶり3回目の大会制覇の期待が寄せられる。開幕戦カタールGPでは、優勝争いを繰り広げての2位。今大会も、優勝を目指すことはもちろんだが、表彰台獲得を目標に戦う。チームメートでRepsol Honda Teamで2戦目を迎えるホルヘ・ロレンソ(Repsol Honda Team)は、今季初表彰台、初優勝に挑む。ロレンソは、ウインターシーズンのトレーニング中に左手を負傷、そのために2月のマレーシアテストをキャンセル、2月下旬のカタールテストだけで開幕戦カタールGPに挑んだ。初日は快調なスタートを切ったが、2日目のフリー走行で転倒を喫し、その影響で予選グリッドは15番手、決勝は後方グリッドから追い上げて13位でフィニッシュした。ロレンソは、ウインターテストで負傷した左手に加え、開幕戦カタールGPの転倒でろっ骨を痛めたが、この2週間のインターバルで、左手とろっ骨は順調に回復した。アルゼンチンGPでは、14年大会の3位以来となる2度目の表彰台獲得を目指す。昨年の大会を制しているカル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)が、開幕戦カタールGPからの2戦連続表彰台と大会2連覇に挑む。クラッチローは、昨年10月のオーストラリアGPのケガのために、ウインターテストは十分ではなかったが、RC213Vのセットアップが順調に進み、開幕戦カタールGPでは3位でフィニッシュ。カタールGP初表彰台を獲得して絶好のシーズンのスタートを切った。今大会はシーズンを通して得意とするサーキットの一つ。今年はHondaライダーとして6年目のシーズンとなるが、15年の3位、17年の3位、昨年の優勝に続き、アルゼンチンGP4回目の表彰台獲得を目指す。MotoGPクラスで2年目のシーズンを迎える中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、開幕戦カタールGPで9位でフィニッシュ。順調なスタートを切った。今年は、ウインターテストから好調で、開幕戦の目標はトップ10入りすることだった。予選ではベストグリッドとなる9番手につけ、決勝でもトップグループを視野に9位でフィニッシュした。昨年の最終戦バレンシアGPでベストリザルトの6位でフィニッシュ。以来、スペインのバレンシアとヘレス、年明けのマレーシアとカタールテストでつねにトップ10入りを果たしてきた。昨年のアルゼンチンGPでは、MotoGPクラス初ポイント獲得となる13位でフィニッシュ。今年は2戦連続シングルフィニッシュとベストリザルト獲得に挑む。マルク・マルケス(MotoGP 総合2位)「カタールGPでは、いいスタートを切って、最後までバトルすることができました。アルゼンチンGPでも、いいレースをして、なるべくたくさんのポイントを獲得することが目標になります。カタールGPが終わってから、アルゼンチンGPまで2週間のインターバルがありました。この2週間の間には、モトクロスのトレーニングに戻ることができました。体調もよくなっています。今回のレースは自信があります」カル・クラッチロー(MotoGP 総合3位)「優勝したことがあるサーキットは、得意なサーキットだと思われがちですが、それほど単純ではありません。アルゼンチンのサーキットは好きですが、昨年は普通とは違う状況でした。スタートの混乱とその後のペナルティーなどがなければ、マルクが勝っていたと思います。昨年のレースでは、MotoGPではなにが起きるか分からないということが証明されました。気持ちを新たにし、先入観を持たずアルゼンチンに向かいたいです。そして、さらにポイントを獲得したいと思います。すべてのレースで優...
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