2017年シーズンのロードレース世界選手権 最終戦となるMotoGPバレンシアGPが、11月10日(金)~12日(日)の3日間、バレンシア・サーキットで開催される。バレンシアGPは1999年に第1回大会が行われ、2002年からは最終戦の舞台として定着し、今年で19回目を迎える。また、シーズンで最も観客が集まる大会の一つで、今年も3日間で20万人を超える大観衆が集まることが予想される。
バレンシア・サーキットは、一周が4.005kmのテクニカルコース。スペインGPが開催されるヘレス、マレーシアGPが開催されるセパン、オーストラリアGPの舞台となるフィリップアイランド同様、ウインターテストの舞台としても定着している。そのため、ライダーの経験値が高く、チームの持つデータも豊富で、初日からレベルの高い走りが繰り広げられる。コースの特徴は、左回りで低中速コーナーが連続し、メインストレートを除き、常にマシンがどちらかにバンクしている難易度の高いレイアウト。また、この時期のバレンシアは不安定な天候が多く、例年、チームの総合力が要求される。これまでも、ファンの脳裏に刻まれる名勝負とドラマが数多く繰り広げられてきた。今年は、17戦を終えて総合首位につけるマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、2年連続4回目のタイトル獲得に王手をかけ、戦いに挑む。前戦マレーシアGPでもタイトル王手で臨んだマルケスだが、総合2位のアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)が優勝、マルケスは4位でフィニッシュ。チャンピオンこそ決まりらなかったが、ウエットコンディションの難しいレースでマルケスは、タイトル獲得に向けて着実に前進した。最終戦を前に、マルケスは282点を獲得。総合2位のドヴィツィオーゾは261点。その差は21点。ドヴィツィオーゾが優勝した場合でも、マルケスは11位以上でフィニッシュできれば、チャンピオン獲得。ドヴィツィオーゾが2位以下の場合は無条件でマルケスのチャンピオンが決まる。過去マルケスは、10年の大会で125ccクラスでチャンピオンを獲得した。Moto2クラスでは、タイトルを獲得して迎えた12年の大会で、最後尾スタートから優勝するという伝説的なレースを披露して世界中を驚愕させた。MotoGPクラスにスイッチした13年は、タイトル争いが最終戦までもつれ込む中で3位表彰台に立ち、史上最年少記録でチャンピオンに。そして、14年にはシーズン最多優勝記録となる13勝目を挙げ、史上最年少記録で連覇を達成した。バレンシアGPで数々のドラマを生んできたマルケスだが、15年は2位、最高峰クラスで3回目のタイトルを獲得、ホームグランプリに凱旋となった昨年の大会でも2位でフィニッシュ。表彰台に立って地元ファンを喜ばせた。今年はチャンピオン決定戦というシーズンで最も緊張する戦いだが、10年の125cc、MotoGPクラスで初タイトルを獲得した13年に続き、バレンシアGPで3回目のタイトル獲得が期待される。チームメートで総合5位につけるダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、第4戦スペインGP以来となる2勝目を狙う。前戦マレーシアGPでは、予選で今季3回目のポールポジション(PP)を獲得。決勝はウエットコンディションとなり5位だったが、今季苦戦してきたウエットレースで、手応えを感じるまずまずの走りをアピールした。バレンシアGPでは、これまで125ccクラスで1勝、250ccクラスで2勝、最高峰クラスでは、07年、09年、そして12年と3度の優勝を経験している。13年は2位、14年は3位、15年も3位で表彰台に立ち、シーズンを通じて最も得意とするサーキットの一つ。昨年は痛恨の転倒を喫してリタイアという残念な結果だったが、今年はシーズン4回目のPPと2勝目を狙う。総合9位につけるカル・クラッチロー(LCR Honda)が、今季2回目の表彰台獲得を目指す。昨年は2勝を挙げて大きな注目を集めた。今年は、表彰台獲得にあと一歩迫るレースが続いている。後半戦に入ってからは、好走をみせるも転倒が多く、なかなか結果につながっていない。それだけに最終戦バレンシアGPでは、今季最高のレースに闘志を燃やしている。後半戦、ケガのために第15戦日本GPを欠場したジャック・ミラー(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、第16戦オーストラリアGPで7位、第17戦マレーシアGPで8位と調子を上げている。最終戦バレンシアGPは、Estrella Galicia 0,0 Marc VDSで最後のレースとなるだけに、今季ベストを狙う意気込みだ。チームメートのティト・ラバトは、ホームグランプリを迎える。昨年は18戦中9レースでポイントを獲得。今年は17戦を終えて10回のポイント獲得を果たしており、最終戦では11回目のポイント獲得とベストリザルトを果たす意気込みだ。マルク・マルケス(MotoGP 総合1位)「バレンシアでプレッシャーを感じることは自然のことですが、正直、今シーズン後半は常にプレッシャーを感じてきました。マレーシアのように難しい状況もうまくこなしてきたので、気持ちはポジティブです。バレンシアのサーキットは好きなので、気分はいいです。反時計回りのこのサーキットは自分には向いていると思います。もちろんポイントのアドバンテージがあるのはいいことですが、あまり考えすぎないようにしたいです。簡単な状況だとは全く考えていないので、いつも以上に自信があるわけではありません。週末に向けて一定のメンタルを保ち、これまでと同じように作業していきます。そしてFP1の最初から速さを出していくことが大切だと思うので、100%の力を出したいと思います」ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合5位)「ポジティブな気持ちでバレンシアへ向かいます。いい結果でシーズンを終えることができるようにがんばりたいです。ここバレンシアはいつもいい雰囲気で、ファンからはたくさんのいいエネルギーをもらっています。マレーシアではマシンのセットアップに関して前進があったので、今週末への自信につながりました。このサーキットは過去にも強く、いい結果を残しているので非常に好きです。前のレースで得た前進を活かし、マシンがここでも上手く機能していいレースができることを願っています」カル・クラッチロー(MotoGP 総合9位)「今週末の最終戦が楽しみです。セパンではいいスピードをみせることができましたが、レースはあまりうまくいきませんでした。このことは忘れて2017年をいい結果で終わらせたいです。バレンシアはあまり得意なサーキットではありませんが、レイアウトは自分のライディングスタイルに合うところがありますし、Hondaに合う部分もあります。日曜日は大きなレースになる...
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