天候変化によりフラッグ・トゥ・フラッグ・レースとなった2021年のMotoGP 第5戦フランスGPで、Monster Energy Yamaha MotoGPのファビオ・クアルタラロが苦手のウエット・コンディションを克服して3位を獲得。チームメイトのマーベリック・ビニャーレスはドライ・コンディションの序盤でレースをリードしたが、雨が降り出したところでミスがあり10位でフィニッシュ。PETRONAS Yamaha Sepang Racing Teamのバレンティーノ・ロッシとフランコ・モルビデリはそれぞれ11位と16位だった。
ファビオ・クアルタラロが3位表彰台獲得しランキングトップへMonster Energy Yamaha MotoGPのライダーふたりがフロントローに並んだとき、ル・マン・ブガッティ・グランプリ・サーキットの上空には灰色の雲が垂れ込めていた。今にも雨が降り出して路面コンディションが変化し、難しくまた危険ですらある展開が容易に想像された。ポールポジションからスタートしたクアルタラロは初め3番手につけ、その後ビニャーレスとJ・ミラー(ドゥカティ)をパスしてトップに浮上。しかしまもなく雨が降り出したため、残り22ラップでピットに戻り、ウエット用マシンに乗り換えて3番手でコースに復帰した。前方を走る2台が転倒したため2ラップ後には再びトップに立ったが、それも長くは続かず、4ラップ後にはミラーに先行されて2番手に後退。またマシン交換の際にピットを間違えたことによるロングラップ・ペナルティを科されていたが、これはスムースに対応して2番手を維持した。このあとしばらくはポジションを維持して単独走行。しかし終盤で再び路面が乾き始めると、フロントに装着したソフト・コンパウンドのレインタイヤのグリップが低下し、残り6ラップではJ・ザルコ(ドゥカティ)にも先行を許すこととなった。このあとも苦しい状況が続いたが、最後までコントロールして走り切り、トップから14.468秒差の3位でチェッカー。ホームGPで表彰台に上った。チームメイトのビニャーレスはグリッド2番手からスタートし、ポジションを維持して第1コーナーへ。そしてクアルタラロ、ミラーと競り合いトップに立った。ところがまもなく雨が降り出し、コーナーではらむ間に5番手へ後退。さらにウエット用マシンに交換してコースに復帰したときには9番手まで順位を下げていた。ウエット・コンディションでは、それまでのような良いフィーリングが得られず、また終盤でドライ・ラインが現れると、前後ソフト・コンパウンドのレインタイヤがオーバーヒートして苦戦を強いられた。それでもトップ10を目指して懸命にプッシュを続け、最終的にはトップから40.577秒差の10位でチェッカーとなった。この結果、クアルタラロはチャンピオンシップで合計80ポイントとなり、2位に1ポイント差でランキングトップを奪回。ビニャーレスは合計56ポイントで5位につけている。ヤマハは合計107ポイントでコンストラクターズ・ランキング2位、Monster Energy Yamaha MotoGPもまた、合計136ポイントでチーム・ランキング2位となっている。次回、第6戦は5月28~30日、イタリアはムジェロ・サーキットで開催される。バレンティーノ・ロッシが11位獲得、フランコ・モルビデリは転倒から挽回して16位ロッシはグリッド9番手から好スタートを切り、オープニングラップでふたつ上げて7番手につける好調ぶり。しかし第11コーナーでは他車の転倒を避ける間に13番手に後退してしまった。その後、雨が降り始めると5ラップを走り終えてからピットに戻り、マシンを乗り換えて12番手で復帰。ハイペースをキープして12ラップ目までに10番手まで上がり、1ラップ後にはもうひとつ上げたが、路面が再び乾き始めるとペースを維持できなくなり、11番手に後退してチェッカーを受けた。チャンピオンシップでは合計9ポイントでランキング19位となっている。チームメイトのモルビデリはグリッド4番手からスタート後、8番手に下げて第1コーナーを通過。ロッシと競り合いながらオープニングラップを走行していたが、第11コーナーで他車と接触してコースアウトしてしまった。これで大きく順位を下げたモルビデリはマシン交換後のチャンスに賭けたが、懸命の挽回にもポイント圏内への復帰はかなわず16位でレースを終えた。チャンピオンシップでは合計33ポイントでランキング8位をキープしている。Monster Energy Yamaha MotoGPファビオ・クアルタラロ(3位)「人生最大の、奇妙で難しいレースと言っていいと思います。しかもフラッグ・トゥ・フラッグ・レースは初めての経験でした。雨が降る前、スリック・タイヤでの走行は非常に好調で、マーベリック(ビニャーレス)とミラーがやや慎重に走っているときも、私は"OK! 行けるよ!"と非常に楽観的でした。ところが第9コーナーでは雨がたくさん降っていて、マシンが右に左にと揺さぶられました。このときは"こんな感じでピットに入って行ったとしたら、それはそれですごいな!"などと考えていました。結局、絶好のタイミングでピットに戻ったのですが、まずバスティアニーニのピットに入りそうになり、次にマーベリックのマシンに乗ってしまいそうになりました。大変な混乱でした。それでも最後には表彰台に上ることができました。このような状況のなかで、ここまでやれるとは想像していませんでした。ランキングトップ奪回については、私たちの仕事の結果であり、うれしいですが、まだ14戦も残っているのですから今はあまり考えていません。それよりも、難しい状況のなかで大きくポジションを落とさず、ひとつ上げられたことは良かったと思います。次からも集中し、一歩一歩前進を目指します」マーベリック・ビニャーレス(10位)「ひとつ明らかなことは、もしもドライ・コンディションが続いていたなら、優勝のチャンスがあったということです。グリッド2番手から好スタートを切り、レースをリードしました。マシンのフィーリングは最高で、開幕戦以来の絶好調だったのです。この時点で勝利をほぼ確信していました。ところが2ラップ後に雨が降り始めると、あまりにがっかりして集中力を失ってしまいました。そしてミスをしてはらみ、大きく遅れてしまったのです。そのあと2ラップはまったくスピードが上がらず、どうすることもできませんでした。しかし良かったところもあります。好スタートは本当に久しぶりで、そのあとすぐにトップに立つことができました。次のムジェロはチャンスだと思っています」マッシモ・メレガリ(チーム・ディレクター)「予想通り、天候に左右される一日となりました。結局、想像できるあらゆるコンディションを経験することになったのです。ファビオ(クアルタラ...
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