2021年のMotoGP 第4戦スペインGPは、今季ベストの5番グリッドから決勝に挑んだ中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)が4位でフィニッシュ、復帰2戦目となるマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が予選14番手から9位、予選13番手のポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)が10位、ワイルドカードで出場のステファン・ブラドル(Honda HRC)が予選12番手から12位でチェッカーを受け、それぞれポイントを獲得した。アレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)は、オープニングラップで転倒を喫し、リタイアとなった。
今大会、初日から好調な走りをみせる中上貴晶は、決勝でも想定していた1分38秒台でラップを刻み、4位でフィニッシュした。オープニングラップは7番手。2周目には大混戦の中で8番手へとポジションを落とすが、3周目には6番手に浮上。その後も、アレイシ・エスパルガロ(アプリリア)を先頭に、中上貴晶、マーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)、ヨハン・ザルコ(ドゥカティ)と続く5位争いのグループを形成した。レース後半には、トップを走っていたファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)がペースを落として集団に加わり、5位争いの集団は4位争いへと変化した。しかし、クアルタラロのペースが遅く、グループの差が一気に縮まり混戦となる。その中でペースの落ちない中上貴晶が混戦を抜け出し単独4位となる。さらに、前を走る3番手のフランコ・モルビデリ(ヤマハ)との差を縮めたが、約1秒差になったところで25周のチェッカーが振られた。コロナ禍の中で昨年は7月にヘレスで2連戦が行われた。その2週目に開催されたアンダルシアGPで中上貴晶は、表彰台にあと一歩に迫る4位でフィニッシュしたが、今年も惜しくも表彰台には届なかった。前戦ポルトガルGPで、昨年7月のスペインGPのケガから9カ月ぶりに復帰したマルク・マルケスが、予選14番手から9位でフィニッシュした。今大会、マルケスは金曜日に順調なスタートを切った。マシンのフィーリングもよく、ライディングも本来の走りに近づいてきたことを感じさせたが、土曜日のフリー走行で転倒、さらに決勝日朝のウォームアップでも転倒を喫し、決勝は着実に走ることを目標にした。9位という結果は、マルケスにとって納得するにはほど遠いものだが、ポルトガルGPの7位に続き、今大会も9位完走を果たし、完全復活にまた一歩前進した。ポル・エスパルガロは10位でフィニッシュした。エスパルガロも土曜日のフリー走行と決勝日朝のウォームアップで転倒を喫し、不安を残したが、決勝ではチームメートのマルケスを追撃する形で10位フィニッシュした。エスパルガロはRepsol Honda Teamに移籍して4戦目。まだまだRC213Vのパフォーマンスを出し切れていないが、次戦フランスGPに向けて一歩前進のレースとなった。ワイルドカードで出場のステファン・ブラドルは12位でフィニッシュした。今大会は、ウインターテストとのデータを比較しながらの実戦となったが、フリー走行では総合3番手につけるなど、ライダーとしてすばらしいパフォーマンスを発揮した。厳しい戦いの中で今大会も12位でフィニッシュ。RC213Vの開発が確実に進んでいることをアピールした。予選20番手と厳しいグリッドから決勝に挑んだアレックス・マルケスは、オープニングラップに他者の転倒に巻き込まれ、リタイアとなった。中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)「レース中の自分のパフォーマンスにとても満足しています。いいスタートを切ることができて、最初から最後までベストを尽くしました。いいペースがあり、とても安定していました。このことはうれしいことですが、今回も表彰台のチャンスをわずか0.6秒の差で逃してしまいました。そのため複雑な気分です。チームはとてもうれしそうですし、4位はすばらしい結果だと思います。次のル・マンがとても楽しみです。いいペースをつかむことができたので、この調子でがんばりたいです」マルク・マルケス(Repsol Honda Team)「もちろん、今日はもっと前でフィニッシュしたいと思っていましたが、この結果に満足しています。ポルティマオでは7位でしたが、トップとの差は13秒でした。今回は9位ですが、その差はわずか10秒です。これは一番の目標でした。ポルティマオのときのようにレース中盤は強さを感じましたが、スタートと終盤に少しタイムを落してしてしまいました。全体的には、前回のレースと比べて大きく前進することができたと思います。さらにマシンのことを理解できるようになりました。今夜は明日のテストに参加するかどうかを決めます。一周でも多く周回し。チームとともにすべてのことに理解を深めていくことは重要なことです。ヘレスは最高の週末とはいえませんでしたが重要な一歩になりました。Hondaとチームのすばらしい仕事に感謝しています」ポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)「正直、いいレースではありませんでした。FP4とウォームアップではもっといいペースがあり、フィーリングもよいものでしたが、決勝ではトラクション不足を感じました。レースペースをキープすることができませんでした。何度も限界でプッシュしました。マルク(マルケス)の後ろでフィニッシュしましたが、思っていたような結果ではありませんでした。10位でポイントを獲得できましたが、トップとは11秒も差があります。明日のテストは非常に重要なものになります。今後に向けて、いくつかあるオプションにトライしたいと思います」ステファン・ブラドル(Repsol Honda Team)「12位でフィニッシュできて満足しています。もちろんもっと改善できたところはあったと思いますが、今週末のパフォーマンスにはとても満足しています。とても強さがありました。レースでは終盤に少し腕上りの症状がありました。これがなければもっとスムーズにレースができたと思います。でも、まずまずのレースができたと思います。こうした機会を与えてくれたHRCとチームに感謝しています。忙しい週末でしたが、すべてをうまくこなすことができました。今週末は大きなミスはありませんでした。そして、ポイントも獲得でき、データも得ることができたので、満足しています」アレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)「今日は1周も走れませんでした。ウォームアップでは一歩前進することができたし、トップ10で走行できました。レースではいいスタートを切り、序盤でポジションを上げていくつもりでした。しかし、8コーナーでほかのライダーの転倒に巻き込まれました。目を開けたときにはグラベルにいました。残念です。明日は重要なテストがあるので、前進できるようにがんばります。そして自信が持てるようにがんばります」
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