ミック・シューマッハは、ここ数年F1グランプリの舞台から離れていたことで、自身の「ツールボックス」が大きく成長したと感じており、2026年にF1新規参戦を目指すキャデラックにとって、自分が理想的なドライバーになったと語った。2021年と2022年、バックマーカーだったハースで2シーズンを過ごしたシューマッハは、不本意な形でF1を離れることとなった。
その後、メルセデス、アルピーヌ、ステークへの移籍の噂が流れたものの、いずれも実現には至らず、世界耐久選手権(WEC)に参戦しつつ、メルセデスF1のリザーブドライバーも務めていた。しかし、昨季終了時点でメルセデスを離脱し、F1の舞台からは距離を置いていた。しかし現在、2026年のF1参戦を目指すキャデラックの候補リストにシューマッハが含まれているとされ、復帰のチャンスが見えてきている。26歳のシューマッハは、F1への思いをこう語る。「F1は、僕にとって本当に大切なテーマだ。僕はF1が大好きだ。小さな頃からF1を愛してきたし、F1は僕の視界から決して消えたことはない」キャデラックについて問われると、「現在、素晴らしいプロジェクトが進行中で、とても興味深いテーマだ」と答えた。シューマッハは最近マイアミGPを訪れ、週末中にキャデラックのCEOであるダン・トゥーリスと話し合いの場を持ったことも知られている。「そこにいることは大事だったし、F1のパドックに戻れたのは本当に素晴らしかった。F1は美しい場所で、偉大なモータースポーツだし、モータースポーツの頂点である理由がそこにはある」ハース時代以降、F1グリッドから離れてはいたものの、メルセデスやそのエンジンパートナーであるマクラーレンとウィリアムズ、さらにWECでのアルピーヌでの経験が、自身をより優れたドライバーに成長させたと彼は感じている。「僕のキャリアパスはとてもオープンだし、今やっていることもまたそうだ。だから、僕を見た人は、自分が何を手にするかが分かると思う」「もちろん、F1で過ごした2年間から自分は大きく成長した。メルセデスのリザーブドライバーを務めたし、マクラーレンやウィリアムズとも同時に仕事をして、そういう面で多くの知識を得られた。いろいろなチームに関わったことはとても興味深い経験だった」「そしてWECでは、本当に良い選手権で、新しいことを学び、見ることができた。シングルシーターにずっと乗っていると、スポーツの中でも非常にニッチな世界にいることになる。でも、今やっていることはそれとはかなり違っていて、とても面白い」「知識の幅が広がれば、いろいろな場面で役に立てると思う。たとえば、他のドライバーの心理をよりよく理解できるようになった」「それに内部的な部分――F1のシステムはWECと比べてかなり限られているけど、WECではトラクションコントロールやエネルギーマネジメントのようなツールがあって、ドライバーがその開発に積極的に関わっていく必要がある」「そういう意味で、たくさんの要素が自分をより良いドライバーにしてくれたのは間違いない。メルセデスでの経験と合わせて、自分の“ツールボックス”を作り上げるのにとても役立った」また、ハース時代の失意の経験を通じて、自身のメンタル面でも成長できたと述べた。「正直、それはずっとやってきたことだと思う」「失望というのは成長の一部であり、大人になる過程の一部でもある。人生において困難な瞬間は、心も体もより強く、よりレジリエントな人間にしてくれる」「僕は、人生で起きるすべてのことには理由があると思っている。そして、それを自分を打ちのめすものと捉えるか、あるいは前に進むためのチャンスと捉えるかは、自分次第なんだ」