フェラーリのカルロス・サインツJr.がポールポジションから見事な勝利を収めたが、マックス・フェルスタッペンがいなければ、もっと厳しい戦いになっていたかもしれない。スタートラインでレッドブルに遅れをとったサインツは、9周目にレッドブルを奇襲で追い抜いたが、その後フェルスタッペンがランド・ノリスのレースを妨害したため、超高速のマクラーレンはサインツにさらなるプレッシャーをかけることができなかった。
フェルスタッペンとノリスのダブルクラッシュ(フェルスタッペンがサインツにリードを奪われた次のラップのターン4とターン8)により、ノリスは最初のスティントを通してレッドブルの後ろに留まった。フェルスタッペンはピットストップで受ける10秒のペナルティを2回科せられたが、ノリスが第1スティントを通してレッドブルのペースに抑えられていたという事実は変わらなかったフェルスタッペンは素晴らしいラップを披露し、サインツに次ぐ2位で予選を通過したが、レッドブルはレースではマクラーレンに匹敵しなかった。「ペナルティに同意するかどうかは問題ではない。ペナルティは与えられたのだから」とフェルスタッペンは語った。「ペナルティは僕にとって最大の問題ではなかった。最大の問題はペースがなかったことだ。タイヤにかなり苦しみ、アタックできなかった…決して良い感触ではなかったし、フェラーリとマクラーレンを抑えるのは難しいだろうと分かっていた」フェルスタッペンがターン8でノリスを再びコースアウトさせ(その過程でシャルル・ルクレールの追い越しを許した)、ランドはタイトル獲得に向けて完走できないと悟り、「トラブルを避ける」ことに集中した。つまり、フェルスタッペンがピットインするまでの17周で、ノリスはサインツに12.5秒遅れをとったことになる。さらに4周走行を続けると、その差は15秒にまで膨らんだ。これは、クリーンエアにいたフェラーリが、フェルスタッペンの後を追うノリスよりもタイヤを楽に走らせていたためだ。ノリスがハードタイヤに交換した後、マクラーレンは「生き返った」と語る。ルクレールとサインツはその後のラップごとにノリスのピットストップに反応し、全員が再び走行を開始すると、アンダーカットによりノリスとサインツの差は13秒強に縮まり、ルクレールは4.7秒リードしていた。ノリスのアウトラップはルクレールより0.8秒速かったが、サインツもそれに匹敵した。ノリスはサインツに次ぐ2位でゴールしたが、元チームメイトのサインツを追い抜いて優勝するには周回数が足りなかった。ハードタイヤを履いたマクラーレンは、トップより0.2秒、ルクレールより0.5秒ほど速いラップタイムを定期的に記録していた。ノリスの課題は、タイヤの摩耗とペースをトレードオフし、フェラーリに追いつく際にグリップを良好に保つことだった。ノリスは60周目までにルクレールのDRS範囲内に入り、数周後にはルクレールが最終コーナーでタンクに激しくぶつかるという大きな衝撃を受けたため、簡単に追い抜くことができた。残り9周でノリスはサインツから8.5秒遅れていた。最後まで追いつくには、トップのフェラーリに対して十分なペースの優位性はなかった。しかし、フェルスタッペンの不正な動きによって生じた15秒の遅れがなければ、このレースはまったく違った展開になっていたかもしれない。
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