メルセデスF1のチーム代表トト・ヴォルフは、F1サンパウロGP決勝で2位に入ったアンドレア・キミ・アントネッリの走りを称賛した。ルーキーのアントネッリは、終盤にタイトル争い中のマックス・フェルスタッペンを抑えきり、自身最高位となる2位でフィニッシュした。この結果により、アントネッリはヨーロッパラウンドの不調から完全に立ち直り、シーズン終盤に向けて確かな成長を示した。
「プレッシャーの少ない環境で完璧に遂行」ヴォルフはレース後の取材で、今回のパフォーマンスがアントネッリにとって最も完成度の高い週末だったかと問われると、次のように答えた。「週末を通して本当に強かった。最初からすべてがうまく噛み合っていた。初めて訪れたサーキットということもあり、良い意味で期待値が下がり、プレッシャーも少なかったのかもしれない」「フェルスタッペンのような速いドライバーを、新しいタイヤで追ってくる状況の中で抑えきったのは見事だった。完璧な遂行であり、これから先の可能性を示す素晴らしい走りだった」「若者が大人へと成長している」さらにヴォルフは、アントネッリがヨーロッパ以外のサーキットで調子を取り戻している理由についても言及した。「それは成長の過程だと思う。来年はすでに経験のあるサーキットに戻ってくるわけだが、過度な期待を背負わずに臨めるだろう。まさに“学びの年”であり、我々が想定していたアップダウンのあるシーズンそのものだ。今日は間違いなく“アップ”の日だね」「この先の3戦で、若い少年が若い大人になり、真のレーシングドライバーとして成熟していく姿を見られると思う」メルセデス、コンストラクターズ2位へ前進ブラジルGPでは、アントネッリが2位、ジョージ・ラッセルが4位とダブル入賞を果たし、メルセデスはコンストラクターズ選手権で2位浮上への一歩を踏み出した。レッドブルとの差は32ポイント、フェラーリとの差は36ポイントに広がった。しかしヴォルフは依然として慎重な姿勢を崩さない。「1レースで30ポイントのスウィングは起こり得る。フェラーリのようにダブルDNFになれば、すぐに立場が入れ替わる。だからこそ地に足をつけて、一戦一戦を確実に戦うことが大切なんだ」「これがF1のあるべき姿」アントネッリがフェルスタッペンを抑え込んだ一方で、ラッセルもオスカー・ピアストリの追撃を見事に防ぎ、4位を守り切った。「これこそF1本来の姿だ。攻める側も守る側も全力で戦っていた。2人とも素晴らしい仕事をしてくれた。アントネッリの2位はもちろん輝かしい成果だが、ラッセルの防御も同じように誇らしい」「エネルギーマネジメントも完璧だった。エンジン担当、レースエンジニア、ドライバーが一体となってエネルギー回収と使用を最適化し、ストレートで最大限の力を発揮できた。あれが勝負を分けた要因のひとつだった」成長を続ける18歳、次戦以降への期待アントネッリのインテルラゴスでの2位は、彼がメルセデスの将来を担う存在であることを改めて印象づけた。ヴォルフの言葉どおり、残り3戦で18歳のルーキーがどこまで進化を遂げるのか、注目が集まる。
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