メルセデスのチーム代表トト・ヴォルフは、F1マイアミGPのスプリントレース中に起きたピットレーンでのインシデントに対し、レッドブルの対応を「まったくの判断力の欠如」と厳しく非難した。この一件は、マックス・フェルスタッペンがピットアウトの際、アンドレア・キミ・アントネッリの進路を塞ぐ形でリリースされたことで発生。アントネッリは接触を避けきれず、フェルスタッペンのマシンのフロントウイング左側エンドプレートを破損させる軽接触が発生した。
レッドブルのピットクルーはかつて“完璧”の代名詞と称されていたが、ここ数戦ではその評判にも陰りが見えている。バーレーンGPでの問題は電装系の不具合によるもので人的ミスではなかったが、今回のマイアミでの事案は明らかな“人為的ミス”であり、状況次第では大事故につながりかねなかった。レースは雨の影響を受け、アントネッリはインターミディエイトタイヤでのポールスタートから第1コーナーで4番手に後退。その後、13周目に路面の乾きに伴ってフェルスタッペンと同時にスリックタイヤへ交換するためピットインした。しかし、フェルスタッペンがピットアウトの合図を受けたのは、まさにアントネッリがメルセデスのピットへ向かって進入していたタイミングだった。両者は衝突を回避するため減速と進路変更を行ったものの、アントネッリのマシンはフェルスタッペンのレッドブルにかすかに接触。その影響でアントネッリは自ピットに入れず、もう1周を走行してから再度ピット作業を行う羽目になった。「これが決勝レースで起きていたら、本当に苛立たしい状況だっただろう」とヴォルフはSky Sports F1の取材に対してコメント。「しかし、それにしても判断力の完全な欠如には驚かされた。安全面を考慮すれば、あのタイミングでのリリースは明らかにあり得ない。誰かがパニックを起こしたんだ」と辛辣に語った。このレースでアントネッリは10位、フェルスタッペンはピットレーンでの危険なリリースにより10秒加算ペナルティを科され、最終順位は17位に沈んだ。レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーも、この件について「完全に人為的なミスだった」と認めている。