メルセデスは、F1サンパウロGPのレーススタート前にジョージ・ラッセルとルイス・ハミルトンの両車のタイヤ空気圧を変更したため、ペナルティを受けた。レース序盤、メルセデスの2台はグリッド上で「タイヤ空気圧チェック」を実施していたため、技術指令に違反していたことが指摘された。
技術指令は基本的にスポーツの技術ルールの補足事項だが、一般には公開されていない。メルセデスのケースでは、ホイールを車に取り付ける際にタイヤの空気圧が調整されたとの疑惑が浮上した。「タイヤの空気圧は、ホイールがすでに車に取り付けられた状態で調整(圧力解放)されたが、これはFIAフォーミュラワン競技規則第30.5条a)に違反し、技術指令TD003N、2.c)および2.h)に反する疑いがある」と最初の報告書には記されている。レース後の調査で、スチュワードはチームが実際に指示に違反していたことを発見した。しかし、通常、技術的な違反は除外処分となるが、メルセデスは各違反につき5000ユーロ(合計1万ユーロ)の罰金処分となった。スチュワードは、ランス・ストロールがフォーメーションラップでスピンオフし、スタートが中止されたことによるレースの混乱したスタートが一因であると考えた。「レースのスタートが中止された後、新たなスタートの10分間の通知が直ちに与えられた」とスチュワードの要約には記されている。「サーキットのレイアウトとピットレーンからグリッドへのアクセスポイントを考慮し、チームがグリッドに到着するまでの時間が延長された。「グリッドへのアクセスゲートはすぐに開けられなかった」「FIAは、この急な通知では、テクニカルディレクティブで規定された手順に従うのはチームにとって極めて困難、あるいは不可能であることを認めた」「FIAテクニカルデレゲートの規定では、チームによって調整されたタイヤ空気圧が許容範囲内であればよいとされた」「タイトなスケジュール、スタートの中止、グリッドへのアクセス、そしてテクニカルデレゲートがタイヤ空気圧が許容範囲内であればよいと規定したという異常な状況を踏まえ、スチュワードは、このケースでは手順違反に対する罰金が適切であると判断する」「通常、競技セッション中にこのような違反があった場合はスポーツペナルティが科せられるが、今回は適切ではない」レース序盤でレースをリードしていたラッセルは、チェッカーフラッグ時点で4位に後退し、一方、ハミルトンはスタート時の順位から1つ上げて10位となった。